このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

県道342号宮村湯田中線 小池峠



長野市周辺に面白そうな道はないかと地図をパラパラめくっていた 私、天空開発。
すると高山村から山ノ内町に抜ける県道の峠道を発見した。
ただの峠道ではない。
県道を示す、黄色の道が峠に向かっているのだが、途中でプツンと途切れ、そこから点線になっているのだ。
ちょうど峠を挟み、二本の黄色い線が向かい合い、その間を点線が結んでいるというような感じである。

それが一体何を意味するのか。
要するに未開通県道である。
峠部分の点線が歩行者用の登山道を示すのか、林道を示すのか、はたまた凄まじい廃道かは分からない。
とにかく点線部は県道指定されるようなまともな道ではないということだ。

これは是非とも現地に出向き、確かめるしかない。
実家で暇を持て余していた私は、意気揚々と愛車のサドルに跨った。
まずは県道の起点、高山村へ向かわねばならない。


地図を開く(別ウィンドウ)
 
① 蕨平


今回の県道の入口付近の高山村蕨平である。
高山村は標高500m〜900m付近まで人が暮らしており、ここ蕨平も760mとかなり高地にある。
県道入口はここから少し戻った所にある。
何故わざわざ蕨平まで来たかというと、飲み物が買いたかったからだ。
実は、ここまでの道のりが並大抵じゃない登坂の連続で飲み物を飲み干してしまったのである。
その苦行を文章にすると「暑い」「坂きつい」「選挙カー煩い」の繰り返しになるので、ここでは割愛させていただく。

ちなみに今私が立っているこの道は主要地方道66号豊野南志賀公園線。
ここから山田、五色、奥山田などの温泉郷を経て、志賀高原の熊の湯温泉へと抜ける。
最高点は2000mにも迫る超山岳コースで、こんな所で既にへばっている私の手にはとても負えない。

飲み物を購入すると、踵を返し、県道入口へと向かう。


宮村湯田中線の入口は非常に分かりにくい。
ちょうど豊野南志賀公園線が深い谷を低い所で渡ろうと、ヘアピンを描いている部分である。
道は1車線の幅で林に吸い込まれており、パッと見、林道や作業道にしか見えない。


入口から県道らしからぬ道が伸びる宮村湯田中線。
早くも嫌な予感が頭を過ぎる。
まあ、小池峠は標高1000m、あと250m登ればよい。

ちなみに左のフェンスは水道の施設である。



 
② ついに現れた


まずは森の中を抜ける道である。
右には沢が流れており、所々に丸木橋が渡されている。
県道は舗装ながら、荒れた路面のまま登り続けている。


突如視界が開け、道幅も広がる。
立派な側溝もあり、左の草むらは元々は農地であったことが窺い知れる。
この2車線幅の道であるが、ある看板の出現と共にすぐに狭くなる。




県道この先通行不能

この表示よ、この表示。
こういう表示のある道との闘いを、私は待ち望んでいた。
一体どう不能なのか!!
言っておくが、「自動車での通行が不能」程度であれば、私は貴様をいとも容易く 捻り潰すぞ!!

こういう標識を初めて見てテンションが上がっていたのか、暑さで頭がおかしくなっていたのか・・・。
なんつーか・・・・・・、この時点で、私はこの道をナメきっていた・・・・・。



 
③ 舗装が途切れる

「通行不能」の先も、自動車でも走ることができるような道が続いた。
細くて荒れた舗装での急勾配であったけど、実際に一台の軽トラのすれ違った。
この先に高山村を見下ろす畑があり、ここの持ち主の車であると分かった。


畑の先から舗装が途切れ、美味しそうな道が奥へと続いていた。
ここからがマウンテンバイクの独壇場である。
私はとてもよくしまったダートへ飛び込んでいった。


相変わらず上り坂は続いていたが、疲労は消えてきた。
というよりも、道が面白いので疲労を忘れていたという表現の方が正しい。
様々な植物が生い茂り、視界が利かない中、次にどのような光景が広がるのか楽しみで仕方なかった。


道の両脇、真ん中に生えている草は多くなってきたが、まだ轍は残っている。
脛や両腕を掠める植物が増えてきてようやく気付いた。
私半袖短パンではないかっ!!!!



 
④ 分岐点


しばらく進んだ所で、私は分岐点に突き当たる。
事前調査を怠ってきた(ナメすぎだ)私は悩んだ。


直進はいかにもという感じの林道。
一般車両進入禁止の看板と共に、トラ縞ロープが張られている。


左は廃道然とした道。
見るからに暑そうな草地獄である。
私はここで左を選択した。
左の廃道が目指している方角が、峠と一致するのだ。
そんな短絡的な考えで、とりあえずはチャリを置き、単身で様子を見に行くことにした。

草を掻き分け、僅かなる道の痕跡を眼と脚で追う。
なんと植物で覆われた路面は、朽ちたアスファルトであり、ここが舗装されていた ことを物語っていた。
草薮も途切れ、この道で間違いないと思われた。


ハズレ
この道の先端は草茂る小さな空き地で、この先道が続いている様子はなかった。
というか、沢が形成する谷があまりに険しすぎて、道を通すスペースさえなかった。
正解はあの林道っぽい道か。
私は小走りで愛車の元へ戻った。



 
⑤ 土の路面


トラ縞ロープを抜けてから、路面の印象が一気に変わった。
先程まではよく乾いたダートであったが、現在私の足元にあるのはそれよりもっと湿ったおり、土ぽかった。
MTBによる走行は後者の方が断然面白かった。
土の路面は、度重なる降水の影響をもろに受けていて、細かな凹凸が多い。
サスペンションが効いたMTBで進むのはそれはそれは格別であった。


道は九十九折りを繰り返し、登ってゆく。
時折木々の間から見える高山村の山村との距離もどんどん離れていくのが分かる。
路面状況が悪いものの、轍は残り、まだオフロード車ならば通行は十分可能である。
幾つかのブラインドカーブの先に何が現われるか気になったが、しばらくは大して変わらぬ景色が続いた。
そして—————。





大・崩・壊
路肩、いや道の半分以上がごっそり抉られ、無名の沢に喰われてしまっている。
事実上ここが自動車で来られる最終地点である。
これより先は歩行者とチャリだけのみが許された世界である。

しかし私は嫌な予感がした。
崩壊箇所より先は長らく車が入っていないということである。
事実私の足元の二本の轍も徐々に薄れ始め、反比例して植物の成長が著しくなってきている。
そして、その光景は遂に私の網膜に飛び込んだ。













ぬわっ!!!!!!




1ページずつ更新することにしました。
だってその方がずっと気楽だもんね。




次回 天空開発がもがく!!

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