このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
一段高い路盤には瓦礫が堆く積もり、それらに押し潰された構造物が静かに横たわっていた。 これがロックシェードであることは、何となく分かったが、元々どんな姿をしていたのかは俄かには想像し難い。 積み重なった瓦礫を乗り越えると、足元にロックシェードの屋根が現れる。 海岸から路盤、そして路盤から屋根の上へと、この辺りは上り下りを余儀なくさせられる。 見るとこのロックシェードの向こうで、旧道は大きくカーブし、次なる隧道へと引き込まれている。 再び路盤の高さにまで降りなければならない。 ロックシェードの抜けた天井部分から、内部へと慎重に降りる。 それでも瓦礫はガラガラと崩れ、非常に肝を冷やした。 ちょっとした冒険だ。 ロックシェードの次には原木6号隧道が控えている。 先ほども述べたように、5号隧道は現存しない。 …ということは、このロックシェードの辺りに隧道があったというのだろうか。 それともロックシェードが5号覆道という名称であり、5号隧道というものは最初から存在しなかったのか。 定かではない。 ロックシェードの屋根は一部残存している。 その隙間からは腰が引けるほどの断崖が見える。 こんな華奢な屋根が、自然の猛威から道路を護り続けてきたというのだから恐れ入る。 小さな岬、というよりも海に迫り出した岩塊の間を緩やかにカーブする路盤。 路盤はこれまた威圧感たっぷりの岩塊にぶつかり、そこには小さな穴が口を開けている。 申し訳なさそうに口を開けており、坑口も半分土砂で塞がれているが、これがこの区間で最長を誇る原木6号隧道である。 6号隧道を前にして、来た道を振り返る。 そこで私は言葉を失った。 それまではただの鉄骨の残骸に見えたロックシェードが、ただならぬオーラを身に纏って立っていた。 迫り来る断崖、足元を洗い流す荒波。 過酷な環境の中生き残ったロックシェードは、恐ろしいほどの存在感を放っていた。 |
これが長さ43mを誇る6号隧道。 今までの隧道とは雰囲気が明らかに異なり、さながら地獄の入口のようである。 入口の半分を土砂で埋められ、折れた落石覆はまるで入る者を拒むかのように垂れている。 さて、43mの素掘り隧道とは如何なるものか。 入ってみよう。 暗闇。 今までの短い隧道では感じることがなかった「闇」があった。 天井からは結構な量の水が滴っており、洞床の至る所に水たまりを形成している。 懐中電灯を待ち合わせていなかった我々は、携帯電話の灯りを頼りにソロソロと進んでいく。 6号隧道の出口に近づいたころ。 ん、波の音が聴こえる。 海沿いだからそれも当然なのだが、それにしても大きく聴こえる。 まるで洞内に響き渡るような・・・。 え? これは・・・? うぉぉぉぉぉぉぉ!!横穴!!!! これは緊急避難通路か!? こんな昭和生まれの素掘り隧道にこんな防災設備が…!? …まぁ、自然とは言え、かなり貴重な存在なのではないだろうか。 素掘り隧道から分岐する海食洞。 6号隧道の先の路盤もまた、著しく損傷している。 護岸壁が一部崩れ、路盤の下にまで波が押し寄せてきている。 こうして道路は、波に飲まれていってしまうのだろうか。 |
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