このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

国道278号線旧道 日浦地区


 
現在地

③ 朽ちた落石覆








一段高い路盤には瓦礫が堆く積もり、それらに押し潰された構造物が静かに横たわっていた。
これがロックシェードであることは、何となく分かったが、元々どんな姿をしていたのかは俄かには想像し難い。






積み重なった瓦礫を乗り越えると、足元にロックシェードの屋根が現れる。
海岸から路盤、そして路盤から屋根の上へと、この辺りは上り下りを余儀なくさせられる。

見るとこのロックシェードの向こうで、旧道は大きくカーブし、次なる隧道へと引き込まれている。
再び路盤の高さにまで降りなければならない。







ロックシェードの抜けた天井部分から、内部へと慎重に降りる。
それでも瓦礫はガラガラと崩れ、非常に肝を冷やした。
ちょっとした冒険だ。





ロックシェードの次には原木6号隧道が控えている。
先ほども述べたように、5号隧道は現存しない。
…ということは、このロックシェードの辺りに隧道があったというのだろうか。
それともロックシェードが5号覆道という名称であり、5号隧道というものは最初から存在しなかったのか。
定かではない。







ロックシェードの屋根は一部残存している。
その隙間からは腰が引けるほどの断崖が見える。

こんな華奢な屋根が、自然の猛威から道路を護り続けてきたというのだから恐れ入る。







小さな岬、というよりも海に迫り出した岩塊の間を緩やかにカーブする路盤。
路盤はこれまた威圧感たっぷりの岩塊にぶつかり、そこには小さな穴が口を開けている。
申し訳なさそうに口を開けており、坑口も半分土砂で塞がれているが、これがこの区間で最長を誇る原木6号隧道である。





6号隧道を前にして、来た道を振り返る。
そこで私は言葉を失った。

それまではただの鉄骨の残骸に見えたロックシェードが、ただならぬオーラを身に纏って立っていた。
迫り来る断崖、足元を洗い流す荒波。
過酷な環境の中生き残ったロックシェードは、恐ろしいほどの存在感を放っていた。




④ 最長の穴





これが長さ43mを誇る6号隧道。
今までの隧道とは雰囲気が明らかに異なり、さながら地獄の入口のようである。

入口の半分を土砂で埋められ、折れた落石覆はまるで入る者を拒むかのように垂れている。

さて、43mの素掘り隧道とは如何なるものか。
入ってみよう。





暗闇。
今までの短い隧道では感じることがなかった「闇」があった。
天井からは結構な量の水が滴っており、洞床の至る所に水たまりを形成している。
懐中電灯を待ち合わせていなかった我々は、携帯電話の灯りを頼りにソロソロと進んでいく。





6号隧道の出口に近づいたころ。
ん、波の音が聴こえる。
海沿いだからそれも当然なのだが、それにしても大きく聴こえる。
まるで洞内に響き渡るような・・・。








え?
これは・・・?





うぉぉぉぉぉぉぉ!!横穴!!!!

これは緊急避難通路か!?
こんな昭和生まれの素掘り隧道にこんな防災設備が…!?

…まぁ、自然とは言え、かなり貴重な存在なのではないだろうか。
素掘り隧道から分岐する海食洞。







6号隧道の先の路盤もまた、著しく損傷している。
護岸壁が一部崩れ、路盤の下にまで波が押し寄せてきている。
こうして道路は、波に飲まれていってしまうのだろうか。



次回!!最終回!!
最後に立ちはだかる障害とは!?
次回へ

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