このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
長かった6号隧道を振り返ってみる。 手前の路盤は波に洗い流されてしまっている。 隧道の入口のコンクリートの隙間からは僅かに草が生えている。 それでもこの道を車が行きかった時代は確かに在った。 当時のドライバーの目に映ったのは、綺麗に芝を植えられた法面ではなく、柱状節理の岩であったのだ。 6号隧道の先には、既に7号隧道が見えている。 坑口までの路盤は、一部崩壊しているものの、良い状態で残っている。 開通から約80年間、海岸道路を守り続けてきた石垣である。 当時は石垣の護岸と、コンクリートの縁石のみで守られた道であったのだろう。 住民の生活に光を投じた道路ではあるが、通行はやはり死と隣り合わせであったのだろうか。 この旧道区間の最後を飾る7号隧道。 坑口前には、やはり瓦礫が積もっており、6号と同様近い未来、埋没するのかもしれない。 瓦礫を乗り越え、最後の隧道を今潜る。 事前調査を欠いていたので、探索の時点では7号隧道も数ある隧道の一つとしか意識していなかった。 いつまで続くのか分からない「廃隧道フィーバー」に対する興奮もこの辺りがピークであった気がする。 7号隧道は17m。 あっと言う間に抜けてしまう。 隧道の先は、乱雑に散らかった路盤。 さらにその先には大きく海に迫り出す岬。 日浦岬である。 全長17mとは思えないほどの7号隧道の闇。 幅員も4mと、他の隧道よりも50cm程広いのだが、それも全く感じさせない。 右側の圧倒するような垂直の崖と、左側の余裕のない渚が隧道狭く見せているのだろうか。 行く先に目を転じると、非常に保存状態の良い路盤。 湾をグルリと周り、その先には橋!! そして大規模すぎる切り通し。 この先も楽しそうだ!! よく見ると、路盤って薄っぺらいコンクリートの板なんだなぁ。 橋、そしてゲートが見えてきた。 あれが旧道の終点であろうか。 ホッとすると同時になんだか淋しくなる。 ここから見ると、改めてコンクリート板の薄さが実感できる。 なんていうか・・・踏んだら動きそうだ・・・。 岩の上にコンクリート板乗っけただけなんじゃないか? と疑いたくなるような光景。 今、車が走ったら、板チョコのようにパキッと綺麗に折れてしまうかも知れない。 幸いなことに、人間が乗ったくらいではなんともならなかった。 最後の最後は橋。 何故か橋の上だけはアスファルト舗装である。 跨いでいるのは小さな磯。 これだけの幅のために・・・。 これだけの深さのために・・・。 何だか微笑ましい橋。 橋の片側は崩壊し、進むのが困難だが、何とか渡りきる。 それにしてもいつ落ちてもおかしくない橋だ。 少々の高波でさらわれてしまうのではないだろうか。 最後の危うい橋を渡り、あとは現道に戻るだけ。 日常と非日常とを分かつゲートを越えれば・・・。 ○|‾|_ 掴むところ無くて、上越えられない・・・。 狭くて、下潜れない・・・。 両側険しい切り通しだから、横抜けられない・・・。 どうしよう。 ああ、どうしよう。 あぁ・・・。 ああ思わぬところから抜けられたよ、zwiebel。 |
ゲートを抜け、廃道を抜け、残りの旧道もあと僅か。 これより先は現在も利用されている、「日常」のエリア・・・ じゃねぇ!!!! こんなの「日常」の光景じゃない!!!! やたら幅広の切り通しに、ズラリと並べられたテトラポット。 うわわわわ、巨神兵の群れのようだ!!!! とりあえず突撃〜!!!! おわっぷっぷっぷ!!!! 撤退撤退!!!! 悪夢のようなコンクリートの林を抜け、ようやく我々は「日常」の世界に帰ってくることができた。 テトラポット漕ぎってのは、下手な藪漕ぎよりも辛いな・・・。 興奮状態のまま、港の方へとふらふらと。 港があるため、旧道の中でもここまでの区間は現在も利用されている。 弓なりに伸びた海岸の細道を二人の場違いな男がとぼとぼ歩いてゆく。 港で作業をする人たち。 あぁ、こっちを見ないで・・・。 旧道は民家の間を縫うように抜け、現道と合流する。 合流という言い方は厳密ではなく、実際は交差し、奥の道へと進むのが旧道である。 そのまま旧道は日浦の集落を抜け、その先で再び現道と合流する。 交差点を左に折れると、日浦トンネル。 昭和48年と、若干年代物であり、幅員も狭いが、線形は非常に良い。 亀田半島の往来を支え続けている、舞台「国道278号線」の役者の一人である。 帰りはこのトンネルを潜り、zwiebelの車まで戻る。 あうううう、狭い・・・。 いや、旧道の隧道に比べりゃ広いけど・・・、ダンプとか来ると怖い。 ひぃぃぃ、鼻の中黒くなりそ。 旧道探索で熱くなっていた体も、このトンネルウォークですっかり冷えてしまったという。 |
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