このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
渡島半島の西岸は国道229号が忠実になぞっているのだが、ちょうど大成町と北檜山町(現せたな町)の間で、一旦内陸側に入り、峠を越えている。 というのも、その間の海岸というのが、本土最西端の尾花岬を含む断崖絶壁なのだ。 今回探索する道道北檜山大成線は、その海岸線をなぞって北檜山と大成を結ぶ道なのだが、肝心の断崖地帯の手前が未通区間となっている。 つまり、両側から伸びてきた盲腸道道が、尾花岬を挟んで向かい合っているという形になっている。 その両端を繋げるため、道路は建設中であるが、現在も道道は地元民の唯一の生命線として重要な役割を果たしている。 今回探索するのは、旧大成町側に残っている旧道である。 北海道の中でも一足早く春が訪れた道南のせたな町大成区。 私とzwiebel(彼も HP にて当道道のレポートを掲載しています)は大成区側からこの道を北上してきた。 大成区の中心街を抜け、いくつもの小集落を通り抜け、家並が途切れると、真新しいトンネルが現れる。 2004年に開通した帆越山トンネルである。 このトンネルの向こうにあるのは、現在のところ太田集落のみである。 お目当ての旧道はこのトンネルの海側を通る旧道。 これである。 物々しい看板と重量級バリケードのお出迎えだ。 その向こうには日本海にベッタリ寄り添う、気持ち良さそうな道が続いている。 奥には覆道っぽいのも見えているし…。 これは行くしかない。 澄み切った青空の下、長大トンネル脇の長大旧道の散歩が始まった。 バリケードを越えると、すぐにアスファルトが剥がれ、荒々しいコンクリートの路面がむき出しになる。 ガードレールさえもなくなり、廃道然とした道になる。 廃れた道は、緩やかなカーブを描きながら覆道に吸い込まれていく。 ボロボロな道に比べて、覆道は綺麗である。 覆道を抜けると、アスファルトが復活している。 …と思ったら一瞬砂利道になり、再びアスファルトへと目まぐるしく路面が変わっている。 舗装を剥がしている途中なのであろうか? 旧道は全区間を通じて1.5車線幅である。 険しい断崖と荒々しい海に挟まれた狭い道なので、通行には多少神経を使ったことだろう。 危険な道ではあるものの、その景観は格別だ。 ボロボロのコンクリート舗装が石畳を彷彿とさせ、それが日本海のダイナミズムと相まって、ある種完成された散歩道のように感じる。 遊歩道として整備すれば、観光客もそれなりに集まりそうだ。 こんな道を独り占めできる素晴らしさをかみしめながら、歩を進めた。 海の方へ視線を転じると、奥尻島がよく見える。 この辺りは日本海に向かって突き出しているため、本土で最も奥尻島に近い。 私にとって未踏の奥尻島。 その気になれば泳いでいけそうな近さが、また歯痒い。 |
視線を前方に戻すと、さらなる混沌へと分け入っていく廃道。 ワッフル模様の法面と、口を開けている覆動から、この先の険しさが見てとれる。 波打った路面を第7覆道に向かって歩いていく。 道の脇には、ガードレールの支柱があったと思われる穴。 旧道にあるガードレールは残らず撤去されており、仕事の徹底ぶりが伺える。 第7覆道は窓の部分がないため、覆道というよりも隧道という印象を受ける。 これは落石の防止という目的の他に、波浪の浸入を防ぐという目的があるからであろう。 また、覆道内は外よりも路面が随分綺麗である。 これはやはり覆道によって守られている分、波で洗われることも少ないからだと思う。 実際、この道の旧道歴3年とは思えないほどの荒廃ぶりは、2004年の台風18号の被害によるものらしい。 第7覆道を抜けると、道は小さな入り江をぐるっと迂回する。 入り江は巨岩がゴロゴロ転がっており、釣好きの方は喜びそうだ。 道好きは入り江の向こう側、豪快な崖を足元を舐めるように通り抜けている覆道を見て狂喜乱舞する。 ※画像にカーソルを合わせると画像が拡大されます。 入り江を大きく回りこんだ所で、旧道は大きく崩壊していた。 これまでの小さな綻びではなく、道路としての機能をスッパリと絶つ程の絶望的な崩壊だ。 かつての道道をここまで破壊したのは海か山か。 時に鋭い牙を剥く大自然。 そんな怖ろしい姿など想像できぬ程、今日の海は穏やかで綺麗だ。 ひょいひょいと崩壊箇所を越えると、第6覆道はもう目の前だ。 その手前に豪快な切りとおしがある。 分かりにくいかもしれないが、崖側からは小さな滝が流れ落ちている。 この滝はzwiebelによってパンケ大成滝と名付けられた。 第6覆道。 カーブしているのか、向こう側は見えない。 それ以外は今までの覆道と変わらないように見えるが、この覆道は ちょっと面白かった。 |
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