このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
木々の影から見えた滝!! しかし手前には木々と巨岩が道を覆い隠してしまっている。 一筋縄には攻略できないらしい。 我々は神々しい程に高い断崖の奥、Vの字に切れ込んだ落ち口を睨んだ。 進むしかないのだ。 写真には収まりきらないような崖が我々の周りを取り囲んでいる。 大げさな表現ではなく、周りは270度以上崖である。 火山灰層なのだろうか・・・。 非常に脆そうな崖でハラハラする。 モリノ カミガ アラワレタ 森の神のカウンターパンチをかいくぐり、前へと進む。 イシノ マオウガ アラワレタ 「うーむ、これは厳しいな」と途方に暮れる源造。 ちなみに魔王の左脇をすり抜け進む人影は、知らないおじさん。 「おっ、おじさんの後に続け〜!!!!」 はあはあ。 おおおおおおおお!!!! 我々は歓声をあげた。 これが長年(一年)恋焦がれ、出会いの時を待ち続けたインクラの滝かぁぁぁ!!!! 今まで出会ったどんな滝よりも、よかった。 どこか大陸的で雄大な滝であった。 |
滝の正面に出るには、もう一つ岩山を越えねばならない。 これを越えるには、さすがに両手が必要であるため、手に持っていた靴は岩陰に置いてきた。 両手で体を支えながら、スパイダーマンのように岩を登る。 そしてようやくインクラの滝の正面に立つ。 インクラの滝。 樽前山の裾野に広がる台地から水を落とす、落差44mの直瀑である。 スッパリ切ったような断崖は、美しさを越えて、ある種の不気味さを感じる。 そして50mに達するかというこの落差。 落ち口より上流はどうなっているのだろう・・・。 この圧倒的なスケールを前に、私は身震いせずにはいられなかった。 崖の上から止めどなく吐き出される水。 ドウドウと音をたてて落ちては砕ける水。 水の粒一つ一つに見てみる。 ゆっくりと、スローモーションのように宙を舞い、落ちていき、やがて見えなくなる。 そんな粒が無数に集まって滝を形成している。 こんな写真では伝えきれない、水の粒たちの熱演である。 ぽかーん 下流を望む。 幾重の山が折り重なり、さらにその向こうには町があり、そして海がある。 「インクラの滝」という名の舞台から降りた水たちは、 我々が遡ってきた沢を下り、うねり、森を抜け、動物たちの喉を潤し 町を流れ、国道をくぐり、海へと向かう。 たった20kmほどであるが、果てしない物語である。 嗚呼、人間など小さきものだ。 ってなんて所にいるんじゃ!!!! いつの間にか斜面を降りて、滝のすぐそばにいる源造。 さっきまで、離れたところからボーっと滝を眺めていたと思ったら・・・。 彼の暴走はこれに留まらなかった。 源造、決死の撮影!!!! これ、滝の裏側から、見上げて撮ったもの。 裏からと言っても、俗に言う「裏見の滝」のようなスペースはない。 まさに彼の防水カメラと無鉄砲さが成し得た業である。 天空開発、洗髪!!!! もはや圧倒的な自然に対する足掻きである。 おかしなテンションになってきたぞ。 次はお前の番だよ、Y本。 追い込まれた後輩Y本。 滝の裏を走って対岸へ!!!! ああ、もう馬鹿者だ。 3馬鹿だ。 最後に言っておこう。 危険なので絶対に真似しないでください!! 濡れた体を拭き、服を着る私。 背後の岩壁と比べれば、もはや歴然としている。 嗚呼、どんなに足掻いたところで、人間は所詮小さなものだ。 服を着て、リュックも背負って、靴を回収して・・・。 もうインクラともお別れだ。 |
行きはほとんど獣道を登ってきたので、帰りは沢を下っていくことに。 長靴とサンダルの三人は、軽快に岩の上を伝っていったり、浅瀬を歩いたりして、下流へと歩を進めていった。 冷たい水が気持ちよい。 体重をかけた木が折れて、岩場で転倒してしまったの図。 木の枝のクッションにはまり、もがいている所を撮られてしまった。 くそー。 モリノ ジュウニンガ アラワレタ この住人は我々には何の危害も加えずに、ただ倒木の上に寝そべっているだけであった。 砂防ダムまで下ってきた。 堰の高さまで土砂が積もり、もはや砂防能力は失われている。 砂防ダムの出現は、我々に冒険の終わりを告げていた。 堰の淵に立って、淋しそうに下を見下ろす源造。 ジャブジャブと波を立てるY本。 それらを撮る私。 冒険は終わりだ。 このコンクリートの堰の向こうには、駐車場。 車が帰りを待っている。 |
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