このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
斜度16%の道に向けて、私の足元から既に急勾配は始まっている。 私はたまらず、三つしか変速を持たないチャリから降りた。 何人ものチャリダーを跳ね返してきたバケモノロードを前に、ノーマルチャリに乗ったチャリダー一年生はあまりに無力すぎたようだ。 私は相棒を押しつつ、前傾姿勢のまま怪物の体内へと踏み入っていった。 体内、もといロックシェードの中はひたすら急勾配特有の凸凹舗装が続いている。 ロックシェードを覆っている網の目からは、暖かい光が差し込んでいるが、如何せん狭く、排気ガスが篭っているため、あまり居心地が良い場所ではない。 押していても辛いほどの急勾配を、お荷物となったチャリを引きずって一歩一歩登っていく。 お。 こんな所に出口が・・・ もともとこの出口は知っていたのだが、やはりホッとする。 出口の外からは道が続いている。 といっても獣道同然で、歩行者以外の通行は不可能であろう。 この道は高度をグングン上げる七曲りとは対照的に、等高線と平行しながら、泉平集落へと続く道である。 泉平集落には天然記念物にも指定されている「素桜神社の神代ザクラ」があり、私も小学校の遠足で、この道を通っていったことがある。 水平な獣道と比べ、七曲りが如何に急な坂かが写真からお分かりいただけるだろう。 お荷物チャリはここに置いていくことにした。 これが高校時代から使用していた、私の愛車。 こんな所に駐輪したら、不法投棄と思われそうだが、気にせずに進むことにした。 |
チャリを置き、身軽になった私に向けて、次なる刺客が放たれた。 私の行き先・・・、道の中央に鎮座するそいつはロックシェードの上まで伸びている。 七曲りの最初にして最大のボスぬ向けて、私はゆっくりと歩を進めていった。 これが七曲り名物の一本松である。 この道路を建設されたときも、切り倒されずに残ったそうだ。 切ろうとしたら怪我人が出たので残した、というありがちな話である。 薄暗い道の中で突然現れるこの大木は確かに異様な姿である。 長野市の中でも有名な心霊スポットで、車を運転していると、木に吸い寄せられるという噂がある。 |
一本松を通り過ぎたあたりで右側、すなわち山側を眺める。 落石よけの網の向こうには土色の斜面が迫り、その上にはこれから通るロックシェードが見えている。 つまり、この先ヘアピンを持って180度方向を変え、高度を一気に稼ぐのだ。 これがその最初のヘアピンである。 ヘアピン部分は特にキツイ勾配となっており、ヘアピンのたびにチャリダーは苦しむことになる。 さらにロックシェードに覆われているため、景観はまた独特だ。 ヘアピンを通過する車は、意外とスピードを出している。 山道に慣れている長野県ドライバーならではだが、歩いているこっちとしてはヒヤヒヤする。 第一のヘアピンを越えるたところで山側(今度は左側)を見ると、また上にロックシェードが見える。 そう、私は既に連続ヘアピン区間の真っ只中にいるのである。 写真は第二のヘアピンから第三のヘアピンへ向かうところである。 その場所から谷側(右側)を見下ろすと先程通った箇所が・・・。 ここはちょうど三つ前の写真から見えた場所である。 見下ろして初めて気づくのだが、ロックシェードはかなりちゃちな造りである。 こんな華奢なもので落石が防げるかどうか、若干不安である。 そして第二のヘアピン。 相変わらず見通しは最悪で、カーブミラーが短い間隔で設置されている。 第二、第三のヘアピンの間からは、第一のヘアピンが見下ろせる。 非常に窮屈なヘアピンで、さながら急斜面に放り出された大蛇のようである。 カーブがキツイので、屋根もかなり強引な造りだ。 第二のヘアピンから第三のヘアピンはすぐである。 そして第三のカーブの外側には二つ目の出口が口を開けている。 ここもさっきと同じように、歩行者用のように見える。 これが第三のヘアピン。 今までよりも緩いカーブである。 私がここを去って後、路線バスがこのヘアピンを曲がっていたが、やはりきつそうだった。 左奥にはもう第四のカーブが見えている。 二つ目の出口から外に出てみた。 そこは人工物が見当たらない大峰山の山腹であり、落ち葉積もる道が続いている。 ここから見ると、全く道には見えない七曲りである。 馬頭観音へと続く道らしいが、全面通行止のようだ。 |
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