このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
沢が様子を変え始めた。 先程まではサラサラと流れていたのだが、一転して流れがなくなっている。 我々が歩かなければ、波一つ立たない程穏やかな水面。 しかし、我々は後になって思い知らされることになる。 ああ、これが嵐の前の静けさであったのだと…。 巨岩帯突入!!!! 軽自動車くらいの大きさの岩がゴロンゴロン転がる凶悪な地帯。 これが奥に鎮座している「悪魔の顔」が放った刺客か!! 悪魔の試練ってやつか!! 四肢をフルに使って乗り越えてゆく。 道のりはひどく困難だが、巨岩の林の間に出来た水溜りは驚くほど美しく澄んでいる。 小さな魚影がウヨウヨと泳ぎ回っており、我々は踏み入ることを躊躇った。 人間の侵入が阻まれているこの辺りは、魚たちの楽園であった。 決して禁漁河川ではない。 ここの魚の平穏は、法によってではなく、悪魔の試練によって守られているのだ。 それにしても防水カメラは偉大だなぁ。 あまりの美しさに見とれる男たち。 音をたてずに元気な魚たち見守ること1分。 「こんな環境に入り浸ってるようじゃ、魚が平和ボケする」という結論に至る。 先程の優しい心は何処へやら、澄んだ釜を、 魚たちは驚き、一斉に岩陰に潜ってしまう。 うんうん、これは避難訓練じゃよ、ふぉっふぉっふぉ。 巨岩の熱いブロックを突破するのは非常に困難で、恥ずかしながら先を行くモミアゲは登れても、私では登れない箇所が幾つかあった。 そんな時でも、躍起になって登ろうとせずに冷静になれば、迂回路は見つかるものだ。 これが沢登りの楽しい所だと思う。 ルートは無限に用意されている。 自分に合ったルートを好きに選んで進めば良い。 特に私の場合は高所恐怖症なので、巨岩の上をピョンピョンと進むことなど考えられない。 だから皆が身軽に跳んでいくのを横目に、水の中藪の中、重戦車の如く進んだ。 両側の断崖がどんどん狭まって、奥の方で集束しているのが分かる。 目指す滝は、もうすぐそこだ。 ややっ!?あれは!! 木々の間かチラリと姿を覗かせた大瀑布。 とんでもない高さから水を落としていることが、一目で分かった。 自然と歩みも速まる。 |
でででーん!! す、すげぇぇぇぇ!!!! 水量が少ないながらも、この大迫力。 威圧感たっぷりの大岩壁が我々の前に聳えていた。 滝に辿りつくためには、もう少し巨岩帯を漕がなければならない。 これが社台滝だ!! その巨大さ、その踏破の難しさ。 そしてその独特な面構えは、多くの滝ファンの心を掴んで離さない。 こんな歪な凹凸が浮かぶ滑滝は、他ではちょっとお目にかかれない。 画面中央のやや左寄りにジョナサンが立っているが、彼と比べてもその巨大さがお分かりいただけよう。 悪魔の顔。 独特な凹凸を下から見上げると…。 うぉぉ、怖い。 確かに悪魔が見下ろしている…。 いや、むしろゾンビに見えるな。 どのようにしてこんな造型が出来たかは分からないが、なかなか凄まじい迫力である。 ようやく滝の真下に到着し、荷物を下ろす。 岩の上に腰を下ろし、見上げると……なんという迫力だ。 悪魔が大口を開けている!! と…取って食われる…!! ちなみに 日本の滝データベース によると、社台滝の落差は100m。 インクラの滝(44m)の2倍以上の落差を誇る。 うおおおおお!! 100m級の滝に打たれるモミアゲ。 くぁぁぁぁぁ!! 続けジョナサン!! ぬおおおおお!! 私も行くぞ!! ガラナァァァァ!! 滝を浴びながら、ガラナを飲む源造。 滝を浴び終えて、放心状態の人々。 滝行の結果、煩悩でも抜けたか? 視線の先は、社台滝。 皆思い思いに至福の時を過ごす。 私は夢の滝下ビール。 まるで風呂上りのオヤジのような格好でグビグビっと飲む。 うっ、うめぇ、温くなってたけど。 モミアゲもビールを持参していたが、不安定な岩場に置いた結果、社台川に飲ませてしまうこととなった。 |
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |