このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
今回の舞台は、北海道東部に位置する陸別町である。 寒さの祭典、しばれフェスティバルが行われている町であり、当サイトではおなじみの場所だ。 さて、今回紹介する道道であるが、道路地図を開いてみると、土地勘のない者が見ても、一目でおかしな道道であることが分かる。 どんな道道なのか。 ![]() 右の地図を見ていただきたい。 赤い実線で示したのが、今回紹介する道道620号線 苫務小利別停車場線である。 苫務、そして小利別という陸別町内の二つの小集落を結ぶ道道だ。 いや、ご覧のとおり、正確には結んではいない。 道中の2箇所に断絶があり、三つに分割された道道なのである。 峠部分が未通で、二つに分断された道道はよく見かけるが、三つに別れた道道というのはなかなか珍しい。 しかもこんなに短い区間でブツブツと途切れているのは異例である。 そんなことからこの道道がどんな状況であるのか、長らくの間気になっていた。 今回は10月下旬に陸別町を訪問する用事があったので、ついでに探索することになったわけである。 ちなみにその用事とは…卒論調査のことである…。 便宜上、本レポートでは三つに分断された部分を、北から小利別ゾーン、日宗ゾーン、苫務ゾーンと呼ぶこととする。 |
陸別町中心街(地図で言うと宇遠別の辺り)で卒論のための調査をしていた私であるが、ちょうど空き時間ができた。 何しようかなと考えていて、ふと思い出したのが道道620号線の存在だ。 レンタカーで国道242号線を北上し、陸別町の北部に位置する小利別集落までやってきた。 これから小利別ゾーンの探索である。 陸別町小利別。 道道名に「小利別停車場」とあるように、2006年に廃止になるまではふるさと銀河線の小利別駅があった。 今、私は国道と道道620号線の分岐点に、南の方を向いて立っている。 案内標識を見ると、行き先が書いていないどころか、矢印すら描かれていない。 まだ道道に入っていないのに、早くも行き止まりムードが漂う。 さて、曲がってみると…。 うーむ、怪しいなぁ・・・。 ひょろひょろとした道が、利別川を橋で跨ぎ、その先の丘の方へと伸びている。 写真に写っている農家の専用道路といった趣だ。 一応2車線幅はあるが、中央線は無いヒョロヒョロとした印象。 この農家を掠めると、その先は牧草地が広がり、完全な無人地帯となる。 農家を過ぎてしばらくすると、舗装が途切れる。 行き止まり道道らしく、先細りしてきた。 牛が牧草を食む、長閑な風景の中を道道は進んでゆく。 ここが道道であるという証。 ヘキサがあるなしで、走行している時の安心感が随分と違うのは気のせいだろうか。 まぁ、道道と言っても下手な林道の方が余程立派なのであるが…。 道道は林の中へと分け入ってゆく。 林を抜け、グングン丘を登ってゆく。 結構な勾配だ。 背後を振り返れば、小利別の集落を一望することができる。 稜線によって切り取られた、青空に向かって登っていく気持ちの良い瞬間。 その先に何があるのか、胸が高鳴る。 レンタカーはAT車なのであるが、ギアをローに入れてノロノロと登ってゆく。 その先に待ち構えていた風景とは!? えぇぇぇぇぇ!? み…道がない!? 丘の頂上で砂利道は唐突に途切れ、そこからは草に覆われた廃道然とした道らしきモノが続いていた。 小利別の方を向いてみる。 国道分岐から約800m、頼りないながら、私とレンタカーを導いてきた砂利道はこんな所で道としての責任を放棄した。 なんの前触れもなく…。 とりあえず、車で進めるのはここまでであろう。 私は丘の上のスペースに車を停め、廃れた道道に踏み入った。 草むらの乗り越えた先は完全な熊笹群生地帯。 完璧に自然に呑まれてしまっている。 うーむ、この密度はキツイなぁ。 熊笹の密度が非常に濃く、すぐに進むのが困難になってきた。 いったん引き返し、逆側から挑もう。 仕方あるまい。 小利別ゾーン、探索終了。 |
一旦道道を国道まで下り、右折。国道を南下していると、2km程で町道との分岐が現れる。左の写真がそれだ。これを右折すると、日宗ゾーンに行くことができる。 快適な町道を走ると、すぐに突きあたりが現れる。 この目の前を左右に横切る道が、道道620号線日宗ゾーンだ。 ここは右折する。 小利別ゾーンと比べ、素晴らしく快適な道である。 まったくの無人地帯を快走しているように思えるが、かつては日宗という集落がここにはあった。 明治時代、小利別駅開業と同時に開拓の手が入り、一時は澱粉工場などもあった。 しかし、この辺りはしばれの町陸別の中でも特に寒さが厳しいという土地。 次第に人は離れてゆき、現在では数軒の農家が残るのみとなっている。 道道はやはり唐突に砂利道へと変わる。 オーバースペックな快走路もここまでだ。 これより先は、広めの砂利道が伸びており、先の方で二股に分かれている。 道路地図には載っていないが、何故かレンタカーのカーナビには、廃道区間が描かれており、それによると二股は右へ行くようだ。 舗装路が砂利道に変わる地点に、標識なき標柱が…。 いくら通行量が少ないとは言え、可哀相なものである。 |
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