このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
延々と林道を歩き続け、ようやく発見した遺構。 北又渡より上流は、現在でも登山客による利用が多くあり、遺構らしき遺構は望めないと思っていただけに嬉しい発見だ。 これまでの区間は林道に吸収されてしまっていたのだろう。 さすがに橋は新たに架ける必要があり、林鉄の色が僅かに残されたのだ。 そろそろ引き返そうか…と思っていたが、もう少し進んでみよう。 対岸を見ると…おおっ!!橋台だ!! しかし…この角度で対岸に突っ込むとなると…崖にぶち当たってしまうのだが…。 もの凄い勢いでカーブしているのだろうか。 それとも隧道をもって崖に突っ込んでいるとか…? とにかく対岸に行かないことには分からない。 橋の先はT字路。 轍から判断して、右折する車が圧倒的に多いようだ。 看板に記載されている光岳は日本百名山にも選定されており、南アルプスの中でも人気の高い山で、登山客も多いのであろう。 森林鉄道もまた、上流、つまり光岳方面へ向かっているので、私も右折する。 上流へと進む林道。 完全な未舗装となっているが、交通量が多いため、走行には支障はなさそうだ。 車を置いてきたことを、ここでも後悔した。 林鉄の橋は、写真のガードレールの辺りまで伸びていたはずだ。 …となると、その山側の草木が生い茂っている辺りに何かありそうなのであるが…。 おお!!橋台ではないか!! 何かあるとは思っていたが、この高さに橋台があるとは思わなかった。 林鉄は林道よりも少し高い位置を通っていたのだな。 さて、気になるのはこの橋台の奥だ。 この向こうには崖があるだけなのであるが…。 何とか橋台によじ登る。 そこで振り返って撮影したのが、右の写真だ。 林道の光橋と、林鉄の橋の位置関係を分かりやすく示してみた。 林道が最短距離で(つまり直角に)川を渡っているのに対して、林鉄は斜めに渡っている。 また、この高さに橋台があることから、林鉄は林道よりも3m程高い位置を通っていたことが分かる。 ※カーソルを合わせると画像が変化します。 切り通しである!!!! 林道脇の断崖を、大胆にも切り通し、ルートを確保していたのである。 切り通しは大きく右にカーブし、懸命に上流方面へ舵を切っている。 恐らく鉄道における曲線半径の限界に近いカーブだと思う。 私は窮屈にカーブした切り通しへと足を踏み入れた。 土砂や枯れ葉が積もり、路盤を覆い隠してしまっているが、切り通しとしては現在でも機能しているようである。 カーブを曲がりきった先で切り通しは終わっている。 切り通しの終点で地面が消えているが、元々は軌道敷が続いていたのであろう。 林道によって軌道跡が削り取られたのであると思われる。 予想通り、林道によって消されていた林鉄跡。 北又渡より上流は林鉄色が薄く、退屈であったが、この切り通しの発見は大きな収穫であった。 車で来ていたら見逃していたかもしれない。 そういった意味では結果オーライと言えよう。 私の拙い文章では、光橋周辺の林鉄と林道の位置関係が分かりにくいと思うので、これまた拙い図を用意した。 遠山川を渡った林鉄がさらに上流を進むにあたり、出来るだけカーブを緩くする。 これがこの切り通しの役割であろう。 切り通しの謎は解けたが、一つだけ分からないことがある。 右の写真は、切り通し手前にある橋台を撮影したものである。 林鉄は私がカメラを構えている方向から来て、写真奥へと進んでいた。 しかし、この橋台はあらぬ方向を向いているのだ。 これはどういうわけだろう…。 ※カーソルを合わせると画像が変化します。 もしこの橋台が向いている方向に橋が伸びていたとしても、対岸は軌道がありえたはずのなさそうな断崖。 うーむ…。 橋台の形がおかしいだけなのかな・・・。 さらに上流へと進む。 日没が近くなってきており、自然と早足になる。 切り通しを過ぎてからは、特に遺構らしいものは見当たらず、何の変哲もない林道が続く。 むむ!?橋か!? 一瞬ときめいてしまったが、残念ながら登山道の橋のようだ。 GWということもあってか、橋を渡っていく登山者の姿が見受けられた。 易老岳登山道の入り口から、少し進むと、広い駐車場が現れた。 県外ナンバーの車が犇めき、下山したばかりの登山者たちが、道具を片付けている。 GWとは言え、こんなに混雑しているとは思わなんだ…。 日も暮れかかっていたが、もう少し進んでみよう。 駐車場から少し進んだところに、隧道が!!!! 私の手持ちの地図でも、存在が確認できる隧道であり、途中から私はここを最終目的地点に定めて歩いてきた。 これより上流にも何か遺構がありそうな感じではあるのであるが、えっちらおっちら戻ることを考えると、時間的には非常に厳しい。 区切りは悪いのであるが、この隧道を確認したら引き返そう…。 うむ…、普通の隧道だ。 林鉄の隧道を再利用してものであろうが、綺麗にされ過ぎている。 …まぁ、現役車道なのだからこんなもんか…。 少し残念な気持ちでくぐりぬける。 林道はまだ上流に延びているが…、そして非常に中途半端であるが、上流部の探索はここで打ち切り。 自動車で登山道の駐車場まで来ていれば、もう少し時間に余裕があったのかもしれないが、こればかりは仕方ない。 歩いてきたからこそ、橋脚や切り通しを発見できたのだから良しとしよう。 読者の皆様からは叱られてしまいそうであるが、これにて上流編は終了。 下流編の方はもう少し面白いと思われるので、そちらをお楽しみに。 |
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