このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

遠山森林鉄道③


ゴールデンウィークの夕刻、私は遺構の少ない、遠山森林鉄道の林道化された区間を探索していた。
これから進めていくのは、その約4時間前の探索のレポート。
長らーくお待たせしました、隧道連続の下流区間のレポート開始です。


 
③ メインディッシュのはじまり

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昼過ぎ、北又渡にて遠山川との初対面を果たした私。
遠山川の左岸に渡り、まず下流へと続く道を選んだ。
地形図からも、下流側には隧道が連続しているのが確認できたからだ。

写真の道は下流へと進む道、すなわち車道化した林鉄跡である。





真新しい轍が刻まれた道を進むと、呆気なく隧道が現れた。
おいおい、こんなに簡単に森林鉄道の隧道が見つかっていいものなのか?
森林鉄道に対して、えらく崇高なイメージを抱いていた私は若干拍子抜けしつつも、大喜びであった。

険しい崖が川に迫り、とても隧道無しでは突破できそうにない区間だ。





素掘隧道!!!!

そして、如何にも林鉄の隧道らしい、その断面の小ささ。
車道としてはかなり厳しいサイズだったのではないだろうか。

人生初、森林鉄道の隧道に今踏み込む!!!!





一本目の隧道は問題なく、貫通していた。
路面もしっかりしており、現在でも自動車の通行はできるだろう。
ゴツゴツした岩肌からは、ところどころ水が染み出しているものの、特に崩壊しているような箇所は見られない。
同じ旧南信濃村には、地質が脆くてトンネルが掘れないという青崩峠があるが、こちらの地質は良好なようである。






隧道の壁面には、土埃にまみれた照明が残されていた。
配線の先は、残念ながら確認していないが、隧道の外までコードが伸びており、沿線の電源室に繋がれていたのだろう。

現在は当然明かりはつかないため、ヘッドライトを装着して、慎重に進んだ。






隧道内は直線であるが、坑口の線形は上流下流ともに急カーブである。
林鉄ならともかく、車道時代には手前でクラクションを鳴らさなければならなかったであろう。

一応、隧道を抜けた先も轍が残っており、自動車の通行があることがうかがえる。
恐らく、林業関係者か釣人か…。







しかししばらく進むと、崩壊箇所があった。
規模の大きな崩壊ではないため、乗り越えるのに然程苦労はしないが、自動車が進めるのはここまでであろう。
…ということは…この先の荒れ具合が心配である。







崩壊を越え、細々と続く林鉄跡。
落石が散在しており、四輪車の通行は許してくれそうもない。
僅かに残っているガードレールが、ここが車道としても使用されているた事を静かに主張していた。







沢の流れによって切り取られている箇所もある。
足を濡らさぬように、ひょいと飛び越える。

所々こういったアクセントがあるものの、まるで散歩道のような歩きやすさだ。
林鉄と言えば、人里離れ、また災害が多発する山奥に敷かれ、またその多くが廃止から30年以上経過しているため、荒廃し、軌道跡をトレースすることが困難な場合が多い。
遠山森林鉄道の場合は、車道として利用されていた期間があったからこそ、良い状態で保存されているのであろう。






沢を越え、ずんずん進んでいくと…。

なんと二本目!!!!

隧道の手前が若干崩れているが、大丈夫か?







うむ、隧道は無事なようだ。
コンクリートによる立派な坑口。
直線であるため、向こう側の光も見えている。

一部を除けば、本当に歩いていて気持ちの良い道で、少し手を加えれば遊歩道にもなりえそうな気がする。




隧道の手前で、対岸の方へ目をやってみると、急峻な谷を一跨ぎにする巨大なトラス橋が!!!!
これの橋は、私が北又渡まで来る時に使用した、この一帯の集落を結ぶ市道に架かっているもので、名を赤石大橋という。

迂回などとても不可能な谷に架かっている様はまさに圧巻であり、写真を撮り忘れてしまったのが残念だ。

赤石大橋に関しては下記のリンクからご覧ください。
「k.yaya Home Page」様





一本目の隧道と異なり、壁面はしっかりコンクリートでまかれている。
現役当時からなのか、車道化後かどちらなのかは分からないのであるが…。

壁面が滴る水のせいで、路面が湿っているため若干歩きにくい。







コンクリート巻きなのは半分だけで、下流側は素掘の壁面となる。
元々、半分だけコンクリートなのか、新たに半分だけコンクリートを塗ったのか、それとも半分だけコンクリートが剥がれおちたのか。
それは定かではない。





下流側半分は素掘りと述べたが、出口付近の壁面に関しては、上流と同じくコンクリートである。

隧道の外には、緑が溢れかえっており、洞内の闇に縁どられて一層鮮やかに見える。
その昔、天領として伐採が禁じられ、その後解禁され、怒涛のように切り出され、南信濃に木材景気をもたらした木々である。







脇を石垣に護られ、ひっそりと佇む下流側坑口。
今にも木材を満載した貨車を牽いたディーゼル機関車が飛び出してきそうな程、良い雰囲気の隧道だ。

写真左にワゴン車が写っているが、取り残されてしまったのであろうか。



次回!!まだまだ続く隧道ラッシュ!!
林鉄橋も登場!!


次回へ

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