「なんとか一部分でも再開しようや」いうて、いろいろやりよんなったとバッテン、2009年1月6日の廃止届け期限が来て、ついに三セク高千穂鉄道も全線廃線ばして解散て決まった。ていうことは、もうこの駅には絶対列車は来んていうことになった訳。
駅長が訪ねたとは運休から、もう2年も経っとったとい、駅の待合いはキレイに掃除されとって、いつ列車が来てもよかごとなっとった。
天岩戸駅は、昭和47年(1972)7月22日に国鉄高千穂線の駅として開業。平成元年(1989)4月28日、第三セクター転換により高千穂鉄道の駅ということになった。
終点高千穂駅の一つ前。渓谷の斜面に設置された1面1線片ホームの地上駅やった。もちろん無人駅で、1日平均乗車人員はなんとなんとたったの3人。
これは2003年度の高千穂鉄道線内で最も利用客が少なかったゲナ。高千穂線では隣に続く「深角駅(ふかすみ)」「影待駅(かげまち)」も日本の秘境駅に入っとるくらいで、はなから(博多弁で初めから)寂れた駅やった。
駅名からはよう「高千穂町大字岩戸」にあるて思われがちやが、ぎりぎり「高千穂町大字三田井」にあって、天岩戸神社の最寄り駅とはいうても、おおよそ4キロ程もはなれとるケン、便利とはいわれん。
高千穂鉄道、もともとは改正鉄道敷設法で「熊本県高森ヨリ宮崎県三田井ヲ経テ延岡ニ至ル鉄道」として定められ、延岡から三田井(高千穂)を経て高森まで延ばす計画やったっちゃが、国鉄時代に延岡〜高千穂間が開業したのにとどまっとった。
高千穂〜高森間23.0kmの建設はどうやったかていうと、高森トンネル掘削中の異常出水事故で中断されたまんま、昭和55年(1980)には国鉄再建法で「そのだんじゃなか」いうて、工事が凍結されてしもうとった。
開通しとった延岡〜高千穂間は、国鉄からJR九州が引き継いで営業しよったとバッテン、なんせ田舎路線で赤字続きタイ。とうとう昭和59年(1984) 第2次特定地方交通線として廃止決定したとば、沿線の市町村が「それじゃあ住民の足がのうなる。観光客も来んごとなるバイ」いうて、三セク高千穂峰鉄道ば作って運営ば引き継いどった。
ところが、どうしたマンの悪さかいね、平成17年(2005)9月6日のこっタイ。
台風14号による増水で第一五ヶ瀬川橋梁、第二五ヶ瀬川橋梁が流されてしもうてクサ、全線で運行休止。
復旧にかかる見積もりばしてみたらクサ、とてもじゃなか金額になって、復旧断念と廃止の方針が決まっとった。

天岩戸(あまのいわと)神社は、
神話の中でも誰もがよう知っとる天照大神(アマテラスオオミカミ)の天岩戸開き、ば伝える神社タイ。
天岩戸神社にはアマテラスが身ば隠したていう天岩戸(洞窟)と、オオヒルメノミコトば祀る西本宮がある。
オオヒルメノミコトちゃ誰な ?
天照大神の別名タイ。そやケン天岩戸神社と呼ばれとる西本宮のほうが、ほんぱしらタイ。
太陽の神、アマテラスは、弟の荒ぶる神、須佐之男命(スサノオノミコト)があんまり暴れるもんやケン、腹かいて岩屋の奥に隠れてしまいなった。太陽神がかくれたケン、世の中は真っ暗闇タイ。
困った八百万(やおよろず)の神々が、集まって対策ば練んなったとが天岩戸神社から少し歩いたところにある天安河原の洞窟(仰慕窟・キョウボガイワヤ)の前やった。
相談の結果、岩屋の前で宴会ば開くことになった。
芸達者の天鈿女命(アメノウズメノミコト)が、岩戸の前で賑やかに色っぽく舞い踊り、それば肴に神々はその周りで宴会ば始めたていう。
この踊りが後に神楽の原型になったて伝えられとる。駅長も見た訳じゃなかケン、ようは分からんバッテン、かなりストリップ系のいかがわしか踊りやったごたる。
その騒ぎが気になって、アマテラスが岩戸ば少うし開いたところば、手力雄命(タヂカラオノミコト)がすき間に手ば突っ込んでコジ開け、岩戸ば投げ飛ばしなったケン、世に再び光が戻った。ていうお話。
天岩戸神社境内には、鈴のような形の実がなる招霊(おがたま)の木がある。アメノウズメはこの招霊の枝ば持って前ば隠しながら踊ったていわれとる。
ホーム端は高千穂鉄橋、その先は大平山トンネルが続く ホームから東には500mで高千穂トンネルがある
上・時間表通りに列車がきそうなくらい綺麗にしとる。
下・終点の高千穂へはトンネルひとつ。深角へは高千穂鉄橋ば渡って、高千穂線最長の大平山トンネル(3km)ば抜ける。
駅のすぐ横が高千穂鉄橋やケン、崖ば下りたら頭上100mほどに見える。
高千穂鉄橋は、鋼トラスで橋の長さが352.5m。最大スパン117.6m。河床からの高さ105mは、完成した昭和46年(1971)では、高森線の第一白川橋梁(65m)ば抜いて日本一やった。
上・河床から105m。国道から見た高千穂鉄橋。
左上・下から見上げると流石に日本一高い。列車が通らず残念。
左下・ホームの端と鉄橋はつながっとるとやが、とうせんばっちょ
神社創建の由緒は分からんバッテン、社伝によればアマテラスの孫の瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が祀ったとらしか。高千穂町でいちばん古か高千穂神社の創建が、伊勢神宮と同じ垂仁天皇の時代てされとるケン、この時期に社殿が建てられたとやろうて、地元の郷土史家は推定しとんなるゲナ。
現在ある社殿は、弘仁年間(810〜824)に大神惟基によって再興されたもんていわれとる。
上・神社の入口にある手力雄命の像。 下・天安河原の洞窟(仰慕窟・キョウボガイワヤ)は薄気味悪か。
去年(2008)の12月28日で、ついに再建でけず高千穂鉄道は正式に廃線が決まった。鉄道の資産は、高千穂線が走りよった延岡市、日之影町、高千穂町が譲渡ば受けることになるらしか。
高千穂町にとっては、これがまた大変迷惑なことで、おうじょうこいとんなるとタイ。なしかいうたらクサ、この高千穂橋梁が町のもんになったら、管理するといとっけむなかゼン(お金)のかかるけんタイ。
なんせ、もう、でけてから40年近う経っとる橋やろうが。しかも3年以上ほったらかしとるケン、腐食もしとるし塗装代だけでも4億かかるとゲナ。そんなら鉄橋やケン、撤去すりゃあよかタイて思うても、撤去費用はどがしこかかるか見当もつかんていうことらしか。財政難の高千穂町長さんなあ、どげんしょうかて頭抱え込んどんなる。
駅長やったら、高千穂〜天岩戸間3kmば駅も線路もひっくるめ、鉄道公園にして観光トロッコ列車ば走らせる。高千穂橋梁には手すりばつけて、トロッコが通るとき以外は、歩るいて渡れるごとする。九重夢大吊橋のごたあ訳にはいかんやろうバッテン、景色は抜群やケン、筑後川昇開橋よりゃ観光客がいっぱい来るやろう。
天岩戸駅前ば整備して、こっから天岩戸神社までバスでつなぐ。いちばんよかとは、トロッコも止めてクサ、
36番線で紹介した「DMV」
にすれば、線路も道路も走れて効率がよか。これで観光がいっきに復活するハズやけどどうやろかい。