このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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わずか1週間後に、鳥取県で開催される“
第9回全国和牛能力共進会
”を控えた平成19年10月5日。宮崎県下で北諸地域に次ぐ畜産地帯である児湯郡をメイン会場に、“第54回宮崎県畜産共進会”が開催された(肉畜は10月23日)。
今更ではある気がするが、その様子を紹介させて頂こうと思うのである。
県の畜産共進会については隔年で開催されるが、これまで当サイトでは平成15年に開催された
第52回県共
より紹介をさせて頂いている。
共進会開催の意義は、宮崎県下の各地区(西臼杵、東臼杵、児湯、宮崎、北諸、西諸、南那珂)における畜産業の技術進歩を測る事にある。生体部門と肉畜部門の2つのフィールドでそれぞれの地区がこれぞと思う出品を行うのであるが、前者では牛馬といった大家畜、後者では牛枝肉、豚枝肉の審査が厳格に行われる。 平成19年10月5日。
全開に続き、今回も住んでいる地元の出品牛を手伝う気持ちであったので、夜明け前の国道10号線を北上した。
会場は
児湯郡市畜産農業協同組合連合会(児湯畜連)
。家を出発した時にはまだ暗闇であったのだが、到着する頃には朝日が真白く輝いていた。
県共の生体部門は2日間の日程で開催される。比較審査部門は和牛、乳牛、馬の3部門が設けられていて、限られた日程の中、各々の出品者が優等賞を目指すのである。 会場では既に1日目からの審査が始まる和牛の測尺が始まっていた。
この測尺は以前も触れた事があるかも知れないが、牛の発育を測るために必要不可欠のものである。
発育とは言っても、ただ体が大きければ言い訳ではない。大きすぎても減点される。
家畜には発育の善し悪しという物があって、和牛には
全国和牛登録協会
が示した“発育曲線”というものがある。
その曲線は3本の線からなっていて、牛の日齢に理想的な体重という物を知る事が出来る。真ん中の線が平均値で、その上下はそれぞれ上限、下限の曲線。それをオーバーする事があれば、たとえ姿形が優れていても、品評会での入賞に制限がかけられるのである。 出品牛が測尺をしている間、待機場では管理者が黙々と牛の手入れを行っている。
待機場は出品された県内各地域事に区分され、出品市町村やJA職員も真剣なまなざしでその後継を見つめる。
これは地元高鍋の高鍋農業高校出品の牛。同校はこの後、大会初の快挙を成し遂げるのだが・・・。
熱湯に浸し、硬く絞り上げたタオルで牛の体が拭きあげられている。これは“湯拭き”という作業。この作業無くしては脂の膜に覆われた牛の毛が立たない。和牛の世界というのは発育、そして品位の世界である。管理者のこういった地道な作業一つ一つが出品する牛を輝かせていく。ワックスなどの人工物を使用すれば当然ながら品評会での上位入賞は無くなってしまうのであるが、そういった小細工などは必要ない。みるまに牛の体は黒く光り出した。
出品牛の輝くような躯体には飼養者の愛情が込められている・・・と言う事を毎度感じてしまうのであった。
日がある程度上り出すと、牛が出品された県内各地域からの応援が到着しだす。
地域のJAはもちろん、出品者の家族、ご近所さんやJAの部会員、市町村などの関係者・・・。たくさんの人たちが自分たちの地域の代表となった牛を取り囲み、激励していく。
写真は
JA都城
。当JA管内は県下随一の畜産地帯でもあるので、組合長自ら応援である。 こここ・・・、
こけっ!?
開会式まではまだ時間がある。ここで会場となった児湯家畜市場内をうろうろしてみる事とした。
会場内には“ふれあい市場”というものが設置されていて、ここでは畜産資材を扱う会社などが自社取り扱い製品のPRブースを構えている。汚水処理施設をはじめ、牛の引き綱やブラシなどといった日常使いの道具、そして配合飼料などに混じって、宮崎県良質たい肥流通促進協議会のブースがあった。
ブース内にはこの県共進会と前後して開催されたたい肥共励会の上位入賞者のたい肥が展示されている。画像は混合ふん(牛+豚)のものであるが、よく調整されたたい肥となると手触りはサラサラ・・・としており、臭いも土のようでまったく不快ではない。
どうしても宮崎県は畜産県という事もあり、利用料よりも排出量の方が大きくはみ出してしまうわけであるが、今後課題であるのは流通と利用。このようなイベントでの展示がきっかけとなり利用拡大となって欲しいところではある。
ここで登場頂いたのは県の
畜産試験場
が設置したブースにいた地頭鶏のつがいである。今や完熟マンゴー、完熟きんかんと並び、県のブランドの顔として定着した“
みやざき地頭鶏
”であるが、彼ら彼女らが入っているケージの前に多くの人が足を止めていたわけでも、県の試験場の試験研究結果のボリュームが半端な量じゃなかったからでもではない。
開会式にこの人が出席したからである。 「宮崎県をどげんかせんといかん!!」
なんと、東国原英夫知事でございます。開会式にはJA宮崎経済連の羽田会長をはじめ、宮崎2区選出の江藤拓代議士をはじめ著名な方々が出席されていた。その中で満を持しての登場である。さすがと申しますか、短い時間の中でのスピーチは開会式に出席した人々の心をわしづかみにしておりました。
開会式が終われば、審査の開始である。
式の間も、出品者をバックアップする地区や市町村の職員さんが牛の手入れを絶え間なく行っていたわけだが、地区にとっては肉用牛改良速度を、また農家にとっては飼養管理技術がはかられる場である。共進会2日目に牛の序列が発表されるので、実際の牛の善し悪しというのは端で見ていて分かりづらいが、出品者には感じた事があったのであろう。にこやかな人もいれば、ちょっぴり納得出来ないような表情をされる方もいる。
(09.05.07)
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