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このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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時間があるので同じ高千穂町の河内地区に行くことにした。ここには“
暁
”を造る“アカツキ酒造”がある。
地図を見てその場所は大体の位置は頭の中に入っていたのだが、あの酒が造られている集落の風景を実際にこの目で見たかった。
私はちょっととは言っても体の中にアルコールが入ってしまったので、ハンドルを妻の手に託した。数年前に高森から高千穂へと至る国道325号を走ったことがあるが、もっと道幅も狭かったと記憶している。雨の中駆けめぐりとても疲れた1時間であったが、今は対向車線付きのスピードの乗るコース。何と気ままなナビシート・・・と言った具合だ。
陽光でアスファルトがギラギラと輝いていた。その割には思ったほど暑くない天気。 小さな集落の仲を突っきり、緩やかなカーブを右へ左へと抜けていくと、前方右手に真っ赤な2両編成の気動車が見えてきた。“
神楽酒造
”のアンテナショップである“トンネルの駅”だ。だが、ここへは後で寄ることにして、まずは河内だ“暁”だ!!道を急ぐ・・・。
それからしばらく走っただろうか・・・。少し急な下りの右カーブを抜けたすぐ袂にその看板が立っていたのである。御覧の通りで庭先に植えられた木の間からニョキッと“暁”の看板が生えている。日曜日と言うこともあって蔵元の身内の方がされているという隣の酒店も閉まっており、仕方がないのでこの看板だけ撮影してきた塩梅だ。
蔵元からもう少し坂を下って橋を渡ったところがちょうど集落の中心部だ。国道はちょうど谷をまたいでぐるっとUの字を書き、ループ橋へと続いている。国道から谷に向かって路地が延びていたから、川に沿って集落は続くのだろうか・・・。それにしても集落の家並みは古く、そして人影はない。やはり日曜日だからだろうか。熊本ナンバーを付けた車や観光バスがびゅんびゅんとその中を抜けていった。車の通過と共に発生する空気の壁に、有る商店の前に立ててあった“暁”の文字が描かれた“のぼり”が踊るようにはためいている。
せっかくここまで来たが酒店も開いていないのでは仕方がない。とりあえず先ほどの“トンネルの駅”まで戻る。 戻ってきたが、真っ赤な外装も伴って、本当に目に付く気動車2連である。
元はTR高千穂鉄道の展望列車「たかちほ号」用のTR300形。車内にはテーブルが置かれ、食堂として有効活用されている。
(他にも、熊本から持ってきた8620形蒸機も展示がある。)
高千穂野市街中心から大きく離れた場所によくぞこれだけの施設を造った物だ・・・と思うのだが、周囲に何もないから良かったのだろうか。
結構お客さんは入っているモンである。
施設の入り口では、「焼酎ソフト」なんて売られていた。買わんやったけど・・・。
建物の中身は「観光物産館」をうたっているだけあって、地元高千穂の土産物を多く扱っている。だが、さすが酒造会社の直営店。床面積のうち、4分の1ほどが同社の焼酎販売&試飲スペースに当てられているのだった。
“天孫降臨”、“ひむかのくろうま”・・・。これだけ並ぶと圧巻である。
このショップ限定の麦焼酎もあったのだが、それら以上に私の好奇心をくすぐったコーナーがあった。“神楽酒造”の商品の歴史を紹介したディスプレイである。
「米」及び「とうきび」製の焼酎“祖母錦”。昭和30年代に販売が始まった古い焼酎で、昭和50年代には後発の“くろうま”、“天照”に譲って消滅している。実物を見るのは当然ながら初めてであった。徳見ると、原料でラベルが違えてあるのが分かる。
昨年の夏まで川南町の居酒屋にこの“祖母錦”の看板がかかっていたのだが、台風の被害で取り外されてしまった・・・。看板の残存は気象条件にも左右される。
“トンネルの駅”という名前。実は、元九州横断鉄道として鉄道建設がされていた跡地の有効活用に由来する。
上手く開通すれば、今日もJRの路線として姿を見ることが出来たのかもしれないが、残念ながら愛護の難所であった高森トンネルの採掘中に水脈をブチ破って出水事故。
ちょうど国鉄再建の方策の一つとして赤字路線の廃止や未成線の計画見直しが盛んにされていた時期であったから、その工事中断を経て正式に中止。せっかく造ったハード面だけが無惨な姿をさらす・・・状態となったのだった。
そのような中にあったのがトンネル。福岡では国鉄の廃止路線のトンネルを焼酎貯蔵に使用している例があるが、やはりここでもトンネルがぽっかり口を開けていて貯蔵庫として活用されている。
内部はこのように樽がずら〜っとなっている。
それにしても外と中でどれほどの気温差が有るのだろうか・・・。立った1歩足を踏み入れただけでも体感する温度が違うのである。
ひんやりとした安定な環境での貯蔵・・・。やはりおいしいのでしょうね。
まあ、このようにして西臼杵郡高千穂町の観光焼酎の実態を観察したわけだが、やっぱり集落・地域の銘柄の差は興味深い。大手の侵入など県内どこでもで抱えている問題というのは共通するらしいが、それでも住民の地元志向は神楽の季節を中心に継続しているらしい。
「ねぇ、野鳥は?」って?
そういえば、スズメ、カラスくらいしか見ていない気がするが・・・。まあ、いぃや(爆)。
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