このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

(11.05.24)
あおかげマカロン
ゴールデンウィークのまっただ中なのだが、宮崎の地方紙(宮日新聞ですね)に米粉を使ったスイーツの紹介記事があった。普段、あまり甘い物を食べないので朝方新聞を広げたときには気がつかなかったのだが、後になって知人が教えてくれて恥ずかしい思いをしたのですね。

国の施策で第一次産業の六次産業化というのがあります。何だか最近はTPPの対応策として万能薬的な感じでこの言葉が叫ばれております。その意味するところとしては、第一次産業(農家さんだったり、漁業者、林業者)が自らの生産物を用いて、加工〜は販売、サービスの提供を手がける・・・というもの。儲かる一次産業へと舵を切ることでその収益を確保しようってなわけですね。そして、それが外圧、自給率の低下・・・といった事象に対する有効な手だてとなるらしい。

個人的に、一般の一次産業者が単独でこの“六次産業化”に取り組む事は難しいだろう・・・と思っています。とはいっても、面白い事を考える方というのはいらっしゃって、(農業関係の仕事をしているので話が偏っちゃいます。ごめんなさい)宮崎県内でも農産物を活用した色々な加工品が作られています。経産省と農水省がタッグを組んで進めていた農商工連携も相まって、地元中小企業者と連携してそういったプロダクツを作り出しているようです。
さて、件の新聞記事なのですが、そのような農業者が生産した米を粉末化し、スイーツを作ったという内容でした。

そのこだわりの商品を今年4月に 宮崎空港 内に設置されたばかりのチャレンジショップで販売している・・・という事なのです。
早速、空港にやって参りました。

チャレンジショップは、空港ビル1階のJRの駅側。以前、アジア雑貨を扱っていたお店があった場所・・・と言った方がわかりやすいでしょうかね。このスペースができたのは、地域で埋もれている良い商品を掘り出したい、宮崎の新たなお土産として売り出していきたいという目的から。レジなどの機材については空港ビル側が貸し出し、出店料も安価に設定・・・と非常に良心的のようです。

当日は、綾町の農業者が自慢の商品を持ち寄った店舗が入っておりました。

その中に新聞記事で紹介されていたスイーツがあります。

同町の農業生産法人“ 福冨農産 ”さんは合鴨農法での米づくりや有機肥料のみを用いた野菜づくりをされているそうですが、そうして収穫した米に付加価値を付けるために、米粉に加工。それを用いた米粉パンなどを製造してきました。この4月にはアンテナショップである“ フクトミファーム ガーデン アヤ ”もオープン。上記の米粉パンやロールケーキといった米粉スイーツを楽しめるカフェも併設されているようです。

とういわけで、宮崎でもかなり先進的な取り組みをされている農業者の一つが福冨農産さんなのですが、ショップの冷蔵庫に並べられたマカロン。『お茶菓子』というラベルが示すとおり、五ヶ瀬町で栽培されたお茶を生地、クリームに練り込んでいるそうです。
たしかに、マカロンの生地はほんのりと緑がかっている気がしますね。また、生地に練り込まれた茶葉が外観上の良いアクセントとなっています。

そして、これがなければ焼酎サイトとしても取り上げた意味がないのですが、このクリームには都城市の 柳田酒造 さんの常圧麦焼酎“ 青鹿毛 ”が使われているのですよ。食べてみると、ほんのりと焼酎の風味が感じられ、味を締めているように思えます。茶葉の風味も相まって、甘い物が苦手な方にも良いんぢゃないかな・・・。6個入りで950円とちょっとお高い商品ではありますが、原料と言った素性がはっきりしていることを考慮すれば妥当な値段でしょう。

さて。先ほど、上に農商工連携という言葉を書きました。

焼酎蔵にしても、よほどの資本力がなければ単独で商売をやっていくのが難しくなってきております。焼酎原料の問題、蒸留後の粕の問題、そしてブームは既に遠く過ぎ去ったのですから、蔵元が生き残っていくために自分の所の焼酎の提案の幅を持たせる必要がある。このマカロンに何故、“青鹿毛”が使われたのか。是非ともその経緯を聞いてみたいのですが、地元で面白い事をやろうとしている人と結びついて新しい商品を作り出す。

このマカロンの場合、農業者が自ら生産した農産物を原料とした商品なのですが、焼酎は一つの価値を付与する結果となっています。県内の中小の焼酎蔵の場合、地元との結びつきという点で弱点を抱えている場合が多いのですが、このような連携の積み重ねで知名度をアップさせることになるかもしれません。土地との接点を築いていく・・・という点で、興味深い事例だと思います。
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