このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
− あずまのきざし −
販売元:(有)インパルス諏訪 鹿児島県出水郡東町
製造元:大石酒造(株) 鹿児島県阿久根市
ちょうど1年前。学会出席のために上京した際、江戸川区西葛西の
酒のこばやし
さんにて購入した鹿児島の芋焼酎である。その時には泡盛“
カリー 春雨
”も購入したのだが、“春雨”の方は早々とレビューを上げてしまい、この“
東兆
”が仕掛かり品として残っていたのであった。まあ、飲んだ感想などはその都度テキスト化していることもあり、その気になればアップは楽なのだが、どうもテゲテゲな性格が邪魔してそれを果たすことが出来なかった。・・・やっと登場だ。
原料に使用されている
栗東
(=くりあずま:コガネセンガンの突然変異で生まれた芋らしい。)という芋も謎なのでありますが、販売元の
(有)インパルス諏訪
さん。初めは地元の活性化を目指す市民活動か何かと思っていました。ですが違うのですね。酒屋でした。すんげぇ名前だ。だって“衝撃!!”ですよ。
まあ、この手のPBらしく、非常に消費者受けする商品づくりがなされている。販売元の
HP
を御覧いただけば一目瞭然だが、この焼酎は生産者から作り手、売り手と瓶から伸びた一本の糸を容易にたぐり寄せることが出来る。原料の芋は出水郡東町の宮路一良氏生産の栗あずまを使用。この芋も栽培に使用する堆肥も完熟牛糞を使用するなど、農産の素人には主張ある芋の様に覚える。まあ、商品概要は販売元のHPを参照していただくとして、この完熟堆肥を使用すると言うこと。結構、先進的な考えをお持ちの農家さんだと、私は宮地氏に対して思うわけですね。
畜産屋からの視点では、業界が抱えている問題として(まあ米産の牛肉輸入解禁とかFTA交渉が・・・とか色々ありますが)家畜排泄物の処理というのが非常に大きいと思うのです。一応、家畜排泄物処理施設の整備については平成16年11月1日に法律が走り出しましたので、畜産農家の方々は補助金やリースの活用によって堆肥舎、汚水処理施設・・・と一応の整備を終えております。ただ、堆肥化や汚水処理を行ってできたものはどこに持っていくのかという途方もなく大きな問題が施設整備の後にそびえているのですね。
堆肥化することで堆肥が出て来るのは分かるけれど、汚水処理は汚れた水がきれいになるだけで水以外は出てこないんじゃないの?と思われるかも知れませんね。でも、大きな浮遊物などを沈殿処理で取り除く過程で汚泥が発生しますので、当然この汚泥も堆肥舎等での処理が必要になる(それ以前に、薬品による凝集処理をかけたりしますので農家さんは嫌いますね)。処理水自体も流域の漁業組合や利水組合から放流許可を得られない場合には、その処理方法が迫られる・・・。
堆肥にしても、自分の畑を持っている酪農や繁殖経営農家は、飼料作物を栽培したり・・・ではけ口を確保することが出来るのですが、中小家畜や肥育農家は悲惨ですね。無償で畑までトラックで運んで散布したり・・・と宮崎県内の農家が苦労している現状を少しだけですが知っています。耕種農家が堆肥を積極的に使用してくれるとありがたいのですが、飼料添加物として使用される無機分の残量など農家さんのニーズに応えられないことだってあります。つまり利用される家畜排泄物の量には限度があるのですね。
非常に難しいことを考えながらこの焼酎を飲んだ訳ではないのだが、上品な甘さだなぁ・・・という感想だ。ほのかに甘酸っぱい香り、飲み口を味わいながら、中州の
まりりんBAR
でこの“東兆”を出していただいたことを思い出した。あの時は冷凍保存してあった原酒であったと思うが、口の中でこの凝縮された風味がとろけていき、目が覚める思いをした。
ちなみに、この焼酎の製造を担当しているのは焼酎“
鶴見
”で知られる阿久根市の大石酒造さん。キャップには、『
アクネ うまいネ 自然だネ
』という阿久根市の特産品であることを示すブランドマークが入っている。
(2005.03.17)
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください