このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

干支焼酎
辛卯
かのとう
柳田酒造(名) 宮崎県都城市

(2010.12.07)
中国から伝わった思想の一つに“干支(かんし)”というのがある。

甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の“十干”、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の“十二支”の組み合わせからなる60を周期とする数え方だそうで、我が国でも暦、方位、民間信仰・・・にまで深く根付いている。明治維新以降、今日ではその存在を普段の生活においてあまり意識することが無くなったけれども、時折・・・、例えば、カレンダーをめくったり、おみくじを引いたり、はたまた街角にひっそりと残る庚申塔を見かけたり・・・と脈々と受け継がれているその存在を受け入れている自分が居たりするのだ。

ちなみに、もうひと月も無いのであるが、何だかんだで激動の2010年は庚寅(かのえとら)の年に当たるようである。意味するところは変化を前にした胎動・・・といった感じらしいが、変化は因果によるものであって、連続する時の流れの中の“激動”なのかもしれないですね。来る2011年は辛卯(かのとう)の年。その胎動が歩み出す年。

ここまで書いていて、頭の中が非常にこんがらがってきました(汗)。

さて、 柳田酒造 さんは甘藷焼酎文化圏である旧薩摩藩領の今日では非常に珍しい麦焼酎の専業蔵です。古くは“千本桜”といった甘藷焼酎を造っていた時代もあるようですが、前代表の柳田勲氏の代に一大決心をし、今年、蔵の代表に就任した柳田正さんもそれを継承。麦焼酎専業の道を歩まれています。

蔵の方針として、麦焼酎は複数年の貯蔵期間を置いてやることにしているそうです。“ ”のあのまろやかな味わいはその事に起因するのですが、年々のヴィンテージを楽しみたい・・・という観点から柳田正さんの発案で新酒を詰めたのがこの“
干支焼酎”です。この項の冒頭に干支の話を持ってきたのは当然つながっておりまして、柳田酒造では毎年毎年の新酒の変遷を60年という長期間にわたってプロデュースする計画なのだという。

麦焼酎で新酒という概念も面白いのですが、宮崎らしいというか、何かしらの新しい試みが仕込みに取り入れられていることもあって、昨年の干支焼酎では宮崎県の食品開発センターが開発したばかりの焼酎用新酵母“平成宮崎酵母”を用いてている。この新酵母の特徴として、高温下での活性に耐性があること、香豊かな焼酎ができること・・・といった点が挙げられるという。

干支焼酎としては6作目となる干支焼酎“
辛卯(かのとう)”もこの酵母を用いているとのことで、レギュラー銘柄である“駒”と比較してもその香りは強く、華やかに感じるようだ。新酒らしく麦独特のほろにが甘い旨みが前面に出ているのだが、尖った様子を感じられないのは蔵の酒癖なのか、酵母の特製なのか。不思議である。お湯割りで立ち上る芳香を楽しんでも良いが、甘みが強くなる水割りをオススメしたい新酒でした。

あ、ちなみに今年の干支焼酎はトンでもない隠し球があります。次回の“呑まれちゃいました”をお楽しみに(爆)。
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