このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

高アルコール濃度の粕取り焼酎を手に入れてやってみたいことがあった。消滅間際の正調粕取り焼酎を求めて北部九州を駆け回ったのが昨夏のこと。その行く先々で必ずと言っていいほど聞くことが出来たのが、「粕取り焼酎で漬けた梅酒は美味い!!」ということ。で、本当に懐かしそうに言うんですよ。天盃さんや杜の蔵さんに伺ったときだけでなく、酒屋の女将さんや角打ちで一杯やっている農協帽のおっちゃんまで。「コクがあって美味かったぁ。」とか「ホワイトリカーなんかで漬けたヤツなんて目じゃないね。」とか・・・。そのようなわけで、「これは絶対に漬けなければならない。飲まなければならない。」と決心を固めてしまうのは当然の成り行きなのでした。

さて決心したは良いが、出足の所で今後の行動がストップになるとも限らない問題に直面してしまう。それは『
如何に粕取りの確保を謀るか!!』ということなのだ。家計と家の中の収納事情を牛耳っているのがmy wife。私が量が飲めないくせにして焼酎を買うものだから、日々増え続ける瓶に対して嫌悪感を持っているのは明白である。黙って購入をするというのも一つの手なのだが、隠し事が出来ない私の性格。・・・どうせ見つかるのが関の山。ここで妙案。「粕取りで漬けた梅酒って、バリウマやけん!!」と懐柔に出たのであった。起きている間だけではなく、眠っている彼女の耳元で囁いたり・・・。努力の結果了承を勝ち取り、5月30日の唐津で鳴滝酒造古館専務の手から「ヤマフル35度」を受け取ったのであった。

しかし苦悩はまだまだ続く。梅酒を漬ける波に乗り遅れたのか、スーパーに梅が見あたらないのである。唯一見つけたのが『紀州産 梅 1キロ1000円也』。悩んでいたところに“渡邊酒造場”の渡邊幸一郎専務から電話がかかってきたのだった。

うちの庭の梅、持っていっていいですよ。

あちこちでぼやいていたのを聞きつけられたのでしょう。いやはや吉報である。もちろん二つ返事でお願いすることにした。
というわけで6月7日の午後、梅の実を頂くため蔵に伺ったのであった。

出発する時、ここはお話を通さないとお怒りになるから・・・とけんじ大佐に電話を入れるも不通。もう、仕方がないですね。おそらくニシタチで遅くまで飲んでいらっしゃったのでしょう。


清武町内の山道をグルッと抜け、田野町に入ったのは出発してから1時間ほど
蔵に着くと、早速専務が梅の木に案内して下さった。

「大佐から連絡がありまして今こっちに向かっているそうです。あ、梅がなっているのはこの木ですよ。」

梅の木は蔵の裏手にある畑の傍らに植えてあった。いっぱいの緑の葉っぱの1本の梅の木。それにしても、けんじ大佐もいらっしゃるのか・・・。連絡したわけでもないのに良くきく鼻をお持ちである。きっと大佐なら50m先のタンクの中のもろみの状態も正確に解ってしまうかもしれない。

実を摘むのが遅れたから大分実が落ちてしまったとおっしゃっていたが、なんのなんの。葉っぱをめくればあるのは大きな緑色の宝の球だ。もいでは袋に入れ・・・。30分足らずで梅酒を1升漬けることが出来るほどの実を集めることが出来た。こちらをご覧頂くと梅の木と実をもっと詳しく見ることができます。画像は、左手から梅の実があふれ出しそうな専務。ご迷惑をおかけします(汗)。

この後、芋づるを畑にさす真っ最中というので図々しくも作業を手伝わせて頂いた。畝に張られたマルチの穴に1本づつ指して行くわけですが、単純なものの様で結構難しかったです。こうして作業をやってみると、焼酎づくりが如何に農業と近いところにあるのかが解ります。渡邊さん、貴重な体験をさせていただきありがとうございました。

なお、けんじ大佐は梅摘みにも芋づるさしにも間に合わず。タイミングを見計らった様に長靴についた土を洗い落としているところへ登場したのであった。大佐、さすがです!!
かくして貴重な梅の実を入手したのである。さて、早速梅酒を漬けるのだ。麦焼酎での梅酒を推奨している天盃酒造のチラシをマニュアルに、用意した材料は次の通り
・粕取り焼酎「ヤマフル(35度)」:1升
・梅の実:1kg
・蜂蜜:600g
・黒糖:300g
続いて手順を記したい(猛牛さんが角砂糖ヴァージョンの梅酒を漬けられておられるので こちら もご覧下さい)。

1.梅の実の選別。傷が入っていたり、虫が付いていたりと梅酒を漬けるのに
  適さない実を取り除く。渡邊さんのところの梅は完全無農薬。故に全ての
  梅の実を利用したかったのだが、泣く泣く・・・。

2.きれいに洗い、そして一晩水に浸けておく。これはあく抜きのためです
  ね。

3.水を切って梅の実を乾かす。風通しの良い日陰で・・・。
4.ヤマフル投入。
  試飲用に少し取っておくの
  を忘れずに(笑)。
5.黒糖と蜂蜜を入れる。

 なお、天盃さんのチラシによれ
 ば、砂糖の量は500g〜1kgと
 のことだから、だいぶ甘めの
 梅酒ができあがることとなる。
6.最後に温度の安定した暗所にしまい込んでお終い。次にふたを開けるの
  は1年後以降となる。

・・・いひひ。楽しみですね。
2003年 梅酒を漬けたお話
(2003.11.21)

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