このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
柳田酒造(名) 宮崎県都城市
(2011.12.16)
待ちに待った麦焼酎の発売。
柳田酒造
の足かけ6年にも渡る夢の結実である。
社長の柳田正さんのお言葉を借りれば、「人とのつながりがなければ為し得なかった」プロジェクト。6年前に原料麦の栽培を試みた際の麦を植える畑を探してくれた人、それに応えてくれた人の存在。その初年度の栽培はカラスの食害に遭ってしまってうまくいかなかったそうだが、ミヤザキハダカという古い在来大麦との出会いがあり、県畜産試験場を通じてわずかに残された貴重な種子を入手。
(有)宮崎上水園
の協力による栽培の成功を成し遂げた。そして、霧島連山の裾野で集落営農を営む
農事組合法人はなどう
との出会いがあって、本格的な栽培の実現・・・。このような時の流れが折り重なっての今日なのだ。
つい先日。11月26日に高原町ではミヤザキハダカの3回目の栽培がスタートした。農事組合法人はなどうではその栽培面積を徐々に広げてきている。柳田酒造との連携が始まった平成21年には1.2haだった栽培面積が今度の作付けでは2.3haとなっている。地元メディアを中心にその栽培に脚光を浴びたミヤザキハダカという古い麦だが、話題性以上に農業者の期待の高まりがよく分かると思う。聞くところによると、麦栽培が過去帳入りしている宮崎県内において、地元は地域浮揚の一つのファクターとして位置づけているという。
ミヤザキハダカを使用した焼酎については、
以前
紹介したとおり、原料の全てを単一の麦品種で賄える状況にはない。気候、病害・・・と栽培には様々な障害が伴う。殊に穀物を見た場合、その成果物はデンプンとなる。これを生命の糧に活動する生き物は計り知れない数だろう。加えて、ほとんど品種改良の入っていない古い品種である。今年の初めには新燃岳の噴火があり、その後は天候不順で収量の確保が危ぶまれた。農業の本質を思わずには居られなかった。
2.3haという今年の作付けが順調に行けば、柳田酒造が掲げる“オール宮崎”産の焼酎の仕込みが可能となる。ファンとしてはそういう1歩1歩の前進が楽しみでならないのだ。
その様な期待と共にこの銘柄を味わうのであるが、昨年の干支焼酎とは違った性格に驚くのだ。貯蔵の効果というのは言うまでもないのだが、全体的に落ち着いた味わいになっている。飲み進めれば、連想するのは麦味噌の豊かな香り。昨年の干支焼酎の際に際だっていた華やかな香りが控えめとなった分、麦の本分と申しますか、ほくほくとした味わいを感じられるのだ。初撃から襲ってくる華美な芳香というのは形を潜めたのだが、奥深い味わいの影から油断している所にふ・・・っと現れたりするのである。お湯割り、ロックで味わう際にその傾向は顕著であると思う。
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