このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

焼酎@みやにちふぉーらむ
宮崎の風土に根ざした郷土誌として現在、特集“ みやざき焼酎進化論 ”を好評連載中の“宮崎日日新聞”なのであるが、この度、“地域の課題を読者とともに探る”という目的で開催される「みやにちフォーラム21」のテーマに選ばれたわけですね。第3回のタイトルはズバリ、『万歳!みやざき焼酎—豊かな“酔い”の未来学』。

宮日のイベント欄をきちんと確認したのであるが、タイトルだけ読んでその内容までは詳しく見なかった。ただ、日本随一の焼酎専門情報誌“ 焼酎楽園 ”の小林編集長の講演があるというので楽しみにしていたのだった。
10月27日水曜日。仕事を終えた私はいそいそと高千穂通りにそびえ立つ宮日会館の前に立つ。

それにしても日が落ちるのが早くなった。午後6時を回ったばかりだっちゅうのに、橘通のデパート付近にはネオンが煌々と輝きだしていたのだった。歩道には仕事帰り、帰宅途中のサラリーマンや学生が行き来している。

そのような中、エレベーターに乗り、ビルの最上階にある宮日ホールへと上がったのですね。
開始は午後6時半。既にほとんどのシートが埋まっていると思ったのだが、ここは“マターリユクーリ”の宮崎県人である。集合時間を設定すればだいたい30分前後の誤差を生じてしまう最強絶対の時間間隔“日向時間”のおかげで、アナウンスが始まってからやっと会場らしくなってきた。参加人数は200人・・・と翌朝の朝刊に・・・(爆)。

まずは開会の挨拶となる。「我々新聞屋と焼酎というのは切っても切れない関係でありまして・・・。」とおっしゃるものだから、県内最大の広告スポンサー?それとも取材先で「まあまあ、お飲みなさいよ。」なんて勧められるのかしらん・・・と考えていたのである。すると、「紙や木片から焼酎を作るという研究を宮大の小八重先生が勧めておりまして、この焼酎の味が大変すばらしいとのことです。ということは新聞社も焼酎メーカーになれるわけですね(爆)。」という方向に行ってしまったのだった。新聞製の焼酎。インクの味とかしないのだろうか・・・。うむむ。

その後、女性の記者の方が、誌上で連載中の“
みやざき焼酎進化論 ”の概略や取材中に感じたことをスライドを交えながら紹介された後、先日一般公募されていた焼酎川柳の表彰式が行われた。
焼酎川柳の表彰者一同。

私はといえば・・・応募したのですが落選しました。
続いて“ 焼酎楽園 ”の小林昭夫編集長県酒造組合の会長である 京屋酒造渡辺真一郎氏の「基調対論」が行われた。焼酎ブーム前後の作り手と業界の変化、大消費地と“生産県”宮崎のギャップ、そして業界の構造と焼酎蒸留かす処理の問題点、最後に飲み手が作り手に求める商品“焼酎”の情報開示(トレーサビリティということ)。

まとめると、ブーム前後では、

「作り手に熱意が産まれ業界全体に明るい空気が漂っているように受け取られがち(<小林編集長)」であるが、「今までと競争の質が変わり、従来と異なった視点が今後求められる。(<渡辺会長)」

と作り手と飲み手の認識にギャップが感じられる。ブームが終わった後も引き続き飲み手に支持されなければ商売あがったりであるから、危機感をもつのも当然だろう。

ブームそのものについても、

「芋焼酎に引っ張られる形で他の焼酎の引き合いも高まっているが、“焼酎がそこら辺に普通にある”生産県の宮崎と、“飲み屋など家の外で焼酎が飲まれる”都会とのギャップが、焼酎の限定性(焼酎が飲まれる風土、原料が栽培される季節、仕込みの季節)と相まって生産調整等の弊害を生み出している。(<小林編集長)」

と全くその通りで、宮崎でも“霧島”すら生産調整で品薄になってしまった今のブームを冷静に分析されていた。

さて、鹿児島と違い小メーカーがひしめく宮崎県であるが、問題となるのが蒸留かすの処理問題である。北諸県ではいくつかのメーカーが共同でプラントを作ったらしいが、ただでさえ1000万円単位の出費を要する処理施設である。余力がない蔵はこの処理を外部委託もしくは、法律の特例で土壌還元を行っている状況だ。いずれはこの特例も廃止は絶対であるから、その時には莫大な処理費用が小さな蔵の経営にのしかかってくることとなるのだ。施設建設のための国や自治体の補助などというのは特にない状況であるし、この厳しい現状を渡辺会長が話される。

基調対談の最後を締めくくったのが、小林編集長からの「飲み手からの提案」である。BSEや青果物の農薬表示、産地詐称によって「食の安全性」への関心が非常に高まっているが、瓶詰めの期日はもちろんのこと、どこ産の原料を使い・・・といったことがキチンと明記されることが求められる。焼酎にも消費者が安心して飲めるようにきちっと情報開示を行って欲しいという内容だった。

ここで時間いっぱいとなり、10分間の休憩となった。
(04.10.30)
その2へいっとく?

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