このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

亮天
佐藤焼酎製造場(株) 宮崎県延岡市

(2011.01.05)
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20°
先頃の焼酎ブームの頃には児湯郡川南町が宮崎県内に於ける「甘藷栽培の北限」とされていて、焼酎の製造に使用する原料の調達そのものが宮崎県内で製造される甘藷焼酎の製造そのものを制限していたように思える。

その境界線。地球温暖化の影響からか、甘藷の栽培の北限がいつの間にやらぐぐぐ・・・っと北に押し上げられているし、今では高千穂や日之影、そして延岡などでもそれを用いた甘藷焼酎が製造されるようになった。そのような甘藷焼酎が今ではそこここの焼酎蔵元で定番商品の一つとしてラインナップされており、時代も変わったなぁ・・・と思うのですよ。

それには当然技術の習得、進歩というものもあったはずであり、飲み手としては上記の様な“気候による製造原料の栽培への制限”が懐かしい一方、酒販店での銘柄選定の幅が広がった事へのよろこびを感じていたり・・・と複雑な心境に陥るのだ。・・・ん?あたしだけだってかい?まぁ、良いぢゃないか(爆)。

さて、今回紹介する焼酎もその中に数えられる焼酎で、延岡市の 佐藤焼酎製造場さん が作る“亮天”という銘柄です。地元産の甘藷(延岡市の地場産品を扱う サイト では“地元産のふくよかな芋、黄金千貫”と紹介されています)を用いた商品。甘藷焼酎“亮天”のラインナップには紅芋を使用したモノ(酒販店のPBなのでしょう)などいくつかあるようですが、本品については地元での消費を主テーマとして開発されたものだと思う。でなければ酒銘の由来を延岡藩の第8代が藩主である内藤政挙が明治期に創立した私学校の名にもとめないだろうし、20度のみという「地産地消」を意識した商品展開にはなっていない。

佐藤焼酎製造場さんの焼酎については、いつか麦焼酎“ 天の刻印 ”を紹介したことがあった。同蔵の十八番とも言える減圧蒸留を駆使した麦焼酎は優美に尽きる味わいだったが、この甘藷焼酎もその蔵元の酒癖が十分に現れていて、(醗酵や蒸留といった仕込みの詳細は存じ上げないが)ふわり・・・と抜ける甘藷の香りとさらりとした飲み口が印象的だ。

蔵のある祝子川流域にはまだ行ったことがないが、その祝子川が流れ出す祖母山系の大崩山の巨大な山塊を国道10号線から臨むことができる。一帯には西南戦争の薩軍の転戦の跡がどこそこに残る。

最近は汽車の写真を撮るためにこの界隈をうろちょろしているが、いつか大崩山を背後に抱いた山村を歩くことがあるのだろうか・・・。重い腰は自分の意志でしか上げることができないのだろうけれど、未だにそれができていない自分がちょいと虚しい。

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