このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

月の中
岩倉酒造場 宮崎県西都市

(2005.07.20)
西都市は畜産業が盛んで、市内どこそこで和牛やホルスタインを見ることができる。中でも台地上には大規模な牧場が点在しており、木城町と接する茶臼原(ちゃうすばる)やこの芋焼酎“月の中”を造る岩倉酒造場のある三財(さんざい)地区周辺にも300〜400頭クラスの肉用牛肥育農家の牛舎があるし、すぐ隣には近隣の方の和牛繁殖牛牛舎が建っている。

このような台地を渡る風は冬は寒くて仕方がないのだが、夏場は開放的で心地良いことこの上ない。ニガウリ(ゴーヤ)のビニールハウスや葉たばこ、高くそびえた飼料用のデントコーンといった畑がずーっと続く風景は宮崎の土地の豊かさを感じさせ、の〜んびりとした農村風景にメロメロな私なのであった。

岩倉酒造場は三財地区のかつての中心地“下三財”から西方にひろがる台地に上がっていくちょうど上り口にあって、付近はだだっぴろい立地を活かした運動公園があったりとちょっとした集落になっている。その集落の中を進むと『岩倉茂人酒造場』とかかれた見落としそうなほど小さく、古い看板が案内看板が出ている。それに従うようにして露地に入り、急にひらけたところが蔵である。

以前 、JA西都の本所内に掛けられている大鏡について紹介したことがあったが、昭和40年代には“一ツ瀬”という地域を流れる一級河川の名にちなんだ銘柄を造っていたようである。この“一ツ瀬”と“月の中”という美しい名前を持つ焼酎の関連は色々と類推するに留まるが、この“月の中”。今では宮崎焼酎の牽引役として必ず名前が挙げられる焼酎の1銘柄として広い知名度を誇るようになった。

それ故、地元とのギャップ(西都の焼酎なのに地元で手に入らないといったような)は少なからず存在するようだが、市外からの高品質で安価な焼酎の流入に対抗するには仕方がなかったのかもしれない。

よく『宮崎焼酎らしい味わい』と紹介される“月の中”であるが、かんしょの甘みが優しく広がる。上記、三財台地の風景を代弁したようなおおらかな味わいの焼酎だ。
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