このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

復刻
八千代伝
八木(名)猿ヶ城蒸溜所 鹿児島県垂水市

(2005.05.05)
八木合名会社が垂水市の国道沿いで焼酎造りをやっていた頃、私は八木さんのお焼酎を買ったことがある。

大隅半島側の錦江湾沿いの国道220号線は春の日とはいっても午後の太陽がギラギラとしていた。市内で目に付く酒屋に入ってみるのだが、大隅半島でも大手の蔵の焼酎は見つけることが出来るのだが、“ 森伊蔵 ”は論外として地元の焼酎を見つけることは出来なかった。

市内中心部で見つけた商店にはいる。赤煉瓦風のタイル張りのその建物は意外と大きなビルで、洋菓子のガラスケースが店内にはあった。第一印象で「ないかなぁ・・・。」と思ったのだが、酒類棚に目指す焼酎を見つけることが出来た。この

“八木商店”さんで見つけた垂水の焼酎は真っ白なラベルには金色で飛び跳ねる白馬の姿が印刷されていた。皆さんよくご存知の“白馬”という銘柄だ。3年ほど前になるが、その八木商店さんは蔵元が経営されているということを店の女将さんから伺った。この時点で自醸を既に行っていなかったことを併せて知る。

それからしばらく・・・。昨年より突如として八木合名会社は造りを再開した。それも新しく施設を整備してのチャレンジである。垂水の市街地から東側。山中に造られた新蔵には“名杜氏”吉行正己氏を招き、仕込みを行っているという。先日発売された焼酎本に八木氏本人の筆による蔵立ち上げの“いきさつ”が掲載されているので、参照願いたい。

そうして誕生したのが焼酎“
八千代伝”なのだ(それに伴い“白馬”は絶版)。先日、鹿児島で Aptiva野郎 さんとご一緒した際にその席で出た焼酎がこれ。鶏の唐揚げやアジのお魚など“ ”の美味い焼酎をほおばりながら、お湯割りで飲んでいた。麹を多めに使用しているのか、甘藷とは違うがコクのある甘みが強い。香りは大隅の焼酎らしく大人しめだ。すいっと喉に入る風味であるが、再興蔵に対する地元の評判はどうなのだろうか。美味い焼酎なのだが。

1升瓶で2500円という価格。最近この価格帯の焼酎が当たり前になってきた。八木産の場合、施設整備やカメ仕込みという造りの手間を考えられてのことと理解できるが、なかなか地元民の生活酒とはなりにくい。価格でも流通でも飲み手の嗜好にしても、大手と張り合うことは並大抵のことではないので、(飲み手としての領分を大きく超えてしまうが)私としても色々と考えてしまわなくもない。

永く止めていた造りを再開した蔵元である。地元、業界、ファンの期待も高いであろうし、今後も色々な取り組みをされるであろうから、注目していきたいと思っている。
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