このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

東京は遠かった〜深夜バスに見たナニワの人情〜

うまくいい具合に休みがとれたので、ぶらっと東京へ行ってきました。
仕事を終え、軽く食事をして行きの深夜バスまでの時間をつぶし
乗り込んだそのバスの名は『青春メガドリーム号』。

片道なんと3500円!しかしその安さ故の制約があり、シートが硬かったり
毛布が無い、座席が狭い等長時間走行には向かない(爆)そんなバスに 乗り込み、出発進行。
深夜バス対策の携帯枕、アイマスク、耳栓代わりのMD、
そして毛布代わりのストールを取り出し、お休みモード。

zzz・・・
な、わけない。かの大泉洋氏の言葉が頭を駆け抜ける。
「バスじゃ寝れないんだよおぅ〜。」
その理由は、座席というより高速道路そのものにあります。
そもそも高速道路は、ドライバーの居眠り運転を防止するために
ワザと段差を不定間隔で設けていて、それが常に震度3並の揺れを生み
体にダメージを与えるのです。

それでも、慣れない仕事に追われた私はその疲労に安眠の一縷の望みを
託していたのですが、ウトウトするので精一杯でした。
順調に行けば8時頃東京に着きますが、このバスは特殊なため不測の事態
があっても道路を迂回することが出来ません。ということは万が一事故
でもあって通行止めにでもなったら・・・

しかし、それは“万が一”のことだし・・・
朝5時頃バスは快調に飛ばしていました。
ところが、停車する予定の無かった所でバスがSAに入って(あれ?)と
首をかしげた時、車内アナウンスが流れました。

「只今御殿場の××トンネルでトレーラーが横転し、鉄骨が散乱し死傷者も
出ているとの情報が入りましたので、しばらく待機致します。」

えええーーーーっ!!
万が一が現実になってもうた。どうしよう、予定が・・・
と思ったが気を揉んでもしょうがない。
仕方なくバスを降りました。そこは富士川SA。夜明け前、空がようやく白んで
来た頃。天気は快晴、雲一つない絶好の旅日和。
ふと目の前に現れたデカい山。
←まさか深夜バス内で
デジカメの出番があるとは思わなかったので携帯で撮りました。
右端の写真に富士山が写ってます。
そのシルエットがあまりに美しくて思わず“息を呑む”・・・文章表現として
よく使いますが、今回はほんとに息を呑みました。
富士山を大きい、と思ったことはありますが美しいと思ったのは初めてかも
しれません。夜が明けていく時の色の変化で富士山も姿を変えていく、その
様子を寒さに震えながら感動して見つめました。
バスに戻ると、またアナウンスが流れ、路線バスに限り通行出来るという
ことでほっと一息。
SAを出てまたバスはぐんぐん飛ばして行きます。
ところが、しばらくしてバスがまたスピードを落とし始めました。やがて完全停止。
事故の影響で渋滞してるのかなと思いきや、そこは事故現場。
最初の情報と異なり、道路はまだ通行不可でした。
それからどれほどの時間が流れたでしょうか、一向に復旧のメドが立たず
乗客も心配そうに何度も窓の外を見つめます。

ふいに運転手の方が席を外してバス内を移動してきました。
収納スペースから箱を取り出し始めると、乗客に何やら配り始めました。
お詫びの言葉と共に渡されたのは「ミネラルウォーター」と「カンパン」。
とうとう避難民になってしまいました(笑)
大型バスのため乗客数は多く、運転手さんは汗だくでせっせと配っています。
その様子を見かねた乗客のオッチャンが
「一人で大変やなあ、手伝おうか?」
と言って一緒に配り始めました。
普段は人間が貨物と化すバスの車中に、ナニワの人情が生まれました。
その配給の間に、道路公団の人が来て窓を叩き、通れるようになったから
早く動かして!と言ってきました。
しかし運転手さんは2階。乗客の伝言リレーでようやく降りてきて
慌ててエンジンをかけます。そしてアナウンス。

「えー・・・(ハァハァ)只今道路公団から通行許可が出ましたので(ハァハァ)
出発致します(ハァハァ)」
気の毒になるほど荒い息遣いの中バスが走り出しました。
その時はもう到着時刻を1時間以上も回っていました。

つづく。
やっと始まる下町散歩

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