このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


  私は5歳になり幼稚園に通い始めましたが、思いもよらぬ事件がありました。

「幼稚園中退」

 私が5歳、今でいう幼稚園の年中組の時の話です。(当時は年少組はありません)
今でも幼稚園に思いを馳せると、私はいつも次の情景を思い浮かべます。国道185号線の「郷」のバス停の前を懸命に走っている自分の姿です。息を詰まらせながら必死の形相で走っています。その時、私はパンツの中にあふれんばかりの“ウンチ”を抱えていました。

総じて内弁慶だった私は、団体生活への適応があまり上手ではなかったようです。そうした慣れない環境の中で、ある日はげしく便意を催したのだと思います。すぐさま、私は家まで帰り着く事を思い立ったのでしょう。家まで約1キロ、おそらく一生懸命走って帰った事と思われます。しかし、とうとう我慢しきれずに途中で走りながらの噴出と…。こうして私はパンツの中にウンチを抱えたまま走り続け、家の近くまで帰った所で「やっと着いた!」とばかりに安堵の気持が脳裏をよぎったのか、冒頭の場面を記憶している次第です。

この事件の後、私ははげしい登園拒否に陥った模様で「もう幼稚園へ行かん!」と、駄々をこねていた事を覚えています。理由が理由なだけに、母はいくら云っても言う事を聞かない私に相当腹を立てたようです。私は泣き叫びながら、背中にやいと(お灸)をすえられた事も覚えています。とうとう、母はあまりに強情な私にあきれ果ててしまったのでしょう…。ほどなく私は幼稚園を中退してしまいました。

私は聞き分けのいい子と云われて育った筈ですが、この件については何故こんなに反抗したのか不思議です。ウンチを抱えて走った事が、想像以上にショックだったのかも知れません…。そしてこのまま幼稚園に通っていると、また同じ事が起きる…。幼心にこんな不安を強く抱いていたのではないかと思います。あの日、家に帰ってからの記憶はありませんが、私のウンチまみれのお尻を母はきれいに洗ってくれた事と思います。
 「お母ちゃん、ありがとう…」
そして「ごめんなさい…」 

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