このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

駅の機能 −鉄道における機能


i ) 列車が停まるということ

*線路の上で、列車が停まるところを、「停車場」と言います。
この停車場のうち、旅客や貨物を扱うところを「駅」と呼びます。
つまり、まず列車が停まるということが、駅の機能の基本です。
 
 
 乗客が乗る、降りる、乗り換える

列車に乗客が乗る、あるいは降りる。
これが、駅といえばまず思い浮かべることでし ょう。
鉄道はタクシーではありませんから、好き勝手なところで乗り降りするわけにはいきません。
また、鉄道には分岐が数多くありますから、分岐点で列車を乗り換えることも必要です。
駅の、鉄道と道路、もしくは鉄道同士の接点としての機能です。


 貨物を積む、降ろす、積み換える

これは、私は生まれてこの方一度も目にしたことがありません。
昔は、貨物の積み降ろしのために、駅には必ず「貨物側線」という専用の線路があったそうですが、
最近の駅にはまったくありません。地方路線の駅に痕跡を見るばかりです。
なお、旅客を扱わず、貨物を専門に扱う駅として、貨物駅があります。
この近くでは、関西本線の百済貨物駅があります。


 列車が対向(列車交換)、退避(通過待ち)する

複線化・複々線化の進む現代の都心では、通過待ちはまだ一般的ですが、列車交換はかなり減りました。
そのため、列車交換と言っても分からない方もいらっしゃるかもし れません。
列車交換とは、列車のすれ違いができない単線の路線で、
先に来た列車が対向する列車を駅で待っておいて、駅ですれ違いを行うことを言います。
また、列車交換や通過待ちの関係で、乗客の乗り降りがない(扉を開けない)のに停車することを、運転停車と言います。
ちょっと地方の路線の特急列車などに乗ると、時刻表には載っていないのに列車が停まることがよくあります。あれが運転停車です。

 列車を分割、併合、入換する

列車は、当然ですが、走りながら連結したり切り離したりすることはできません。
貨車を押していって勢いで突き放す「突放」というものがありますがあくまで特別です。
列車を組成する作業はすべて、いったん停車してからです。
当然、駅で行います。
途中までひとつの列車であったものを切り離す(分割)、逆にいくつかの列車を途中から連結する(併合)、
その亜種として途中から車両を増やす(増結)、そして都合のよい順番に車両を並べ替える(入換)といった作業を、駅で行います。

また、駅と列車によっては機関車のつけかえを行います。
電化状況(直流、交流、非電化)や機回し(列車が折り返すときに機関車を先頭にもってくること)、
その他の特殊事情(急勾配など)の理由で機関車をつけかえることがあります。
最近廃止された信越本線の横川—軽井沢間の運転が有名ですね。
なお、前述の「停車場」の分類について、列車の入換の作業を専門に行う停車場のことを、「操車場」と呼びます。
また、主に列車の対向、退避、線路の分岐を行う停車場 のことを「信号場」と呼ぶようです。
厳密なところは分からないので、国土交通省に訊いてください。


 車両を置いておく

置いておく、と言うといい加減な感じです。きっちりした言葉を使うと、「車両を留置する」です。
運転の合間にある列車などを一時的に置いておくことです。
この学校の最寄駅である近鉄高の原駅にも、駅の京都方面側に留置線があり、よく回送列車が入っています。


 車両を整備する

整備と言っても、蒸気機関車の給炭・給水から車内販売の準備まで様々です。
駅で発車待ちの間にできる簡単なものから、車両区に入って何日もかけて行う大掛かりなものまであります。
車両区は必ず停車場に隣接していますから、これも停車場の機能と言っ てよいでしょう(「駅」の機能ではないことになってしまいますが)。


 乗務員が乗る、降りる、乗り換える、交代する

運転士、車掌、その他の乗務員。列車が折り返すときに運転士と車掌が交代するのは当然ですが、途中駅で交代することもよくあります。
飛び乗り、飛び降りは危険ですから、駅(や車両区など)で行います。
ちなみに、またまた登場の例外「突放」では、突き放された貨車に作業員が飛び乗ってブレーキをかけます。
まあ、それが「乗る」「降りる」と言えるかが問題ですが……。

 

ii ) 列車を制御するということ

 信号の操作、分岐の操作、その他列車の安全のためのいろいろなこと

こんなこと、いまどきの鉄道は駅ではやりません。CTCセンターというところで一括 制御です。

 

iii ) その他

*列車が安全に動けば、それだけで鉄道は安泰でしょうか?
そんなことはありません。 上に挙げた他にも、駅にはまだまだ色々な機能があります。
 
 きっぷを売る

列車に乗るにはきっぷを買わなければいけません。さもないと無賃乗車です。
では、どこで買いましょう。
当然、駅です。駅以外でもきっぷは売っています(旅行会社など)が、きっぷを売っていない駅はありません。
……と言いたいのですが、きっぷを売 っていない駅も実は結構あります。
少し田舎の路線では、人件費を削るために駅員を置かず、きっぷは車内で売っていることがよくあるのです。
そのため、これは必ずしも駅の機能とは言えないのですが、とりあえずは一般的な駅の機能ということで挙げておき ます。
ちなみに、きっぷを売っている窓口の案内は、関西では「きっぷうりば」となっていますが、関東では「出札口」と書いてあるそうです。


 手荷物を扱う

手荷物扱とは、乗客の手荷物を目的地まで運ぶサービスらしいです。
発駅の窓口に預けられた手荷物は、旅客列車の荷物車か専用の荷物列車に積み込まれて着駅まで運ばれます。
……たぶん。
手荷物扱って今でもやってるんでしょうかね?


 駅員が泊まる

駅には駅員がいます。そして、夜は宿直がいます。
その宿直のための宿泊施設が、駅にはあります。
映画『鉄道員(ぽっぽや)』に登場する部屋も、宿泊施設の一部でしょ う。

 

列車を運行する側から見た駅の機能とは、以上のようなものでしょう。
駅には、街の玄関としての色々な機能もありますが、それは別項に譲ります。


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