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第2章 ケーススタディ

 

 

■プロジェクトの設定

 XY間の所要時間短縮を図るプロジェクトを実行することとする。

 所要時間短縮幅は20分とする。

 このプロジェクトは外生的に実行され、実行後の鉄道運行コストは増えないものとする(増収=増益とするための単純化)。

 

▼ケース1:

 プロジェクト実行後、XY間の移動に特別料金 1,000円を課金する。

   Q1C1 = Q1×(2,000円+60分×50円/分+1,000円)
       = Q1×6,000円
       = Q0×6,000円

  ∴Q1 = Q0 = 20,000人

   P1 =(C1−C0)(Q0+Q1)/2
     =(6,000−6,000)(20,000+20,000)/2
     = 0

 ゆえにこのケースでは、利用者便益が発生しない。

   I1 =(2,000+1,000)×20,000 = 6,000万円/日

   I1−I0 = 6,000−4,000 = 2,000万円

 ゆえにこのケースでは、鉄道会社は1日あたり 2,000万円の増益となる。

 

▼ケース2:

 プロジェクト実行後、XY間の移動に特別料金10,000円を課金する。

   Q2C2 = Q2×(2,000円+60分×50円/分+10,000円)
       = Q2×15,000円
       = Q0×6,000円

  ∴Q2 = Q0×6/15 = 8,000人

   P2 =(C2−C0)(Q0+Q2)/2
     =(6,000−15,000)(20,000+8,000)/2
     = −1.26億円/日

 ゆえにこのケースでは、1日あたり1.26億円の利用者損失が発生する。

   I2 =(2,000+10,000)×8,000 = 9,600万円/日

   I2−I0 = 9,600−4,000 = 5,600万円

 ゆえにこのケースでは、鉄道会社は1日あたり 5,600万円の増益となる。

 

▼ケース3:

 プロジェクト実行後、XY間の移動に特別料金を課金しない。

   Q3C3 = Q3×(2,000円+60分×50円/分)
       = Q3×5,000円
       = Q0×6,000円

  ∴Q3 = Q0×6/5 = 24,000人

   P3 =(C3−C0)(Q0+Q3)/2
     =(6,000−5,000)(20,000+24,000)/2
     = 2,200万円/日

 ゆえにこのケースでは、1日あたり 2,200万円の利用者便益が発生する。

   I3 = 2,000×24,000 = 4,800万円/日

   I3−I0 = 4,800−4,000 = 800万円

 ゆえにこのケースでは、鉄道会社は1日あたり 800万円の増益となる。

 

▼ケース4:

 プロジェクト実行後、XY間の移動に特別料金 500円を課金する。

   Q4C4 = Q4×(2,000円+60分×50円/分+500円)
       = Q4×5,500円
       = Q0×6,000円

  ∴Q4 = Q0×60/55 = 21,818人

   P4 =(C4−C0)(Q0+Q4)/2
     =(6,000−5,500)(20,000+21,818)/2
     = 1,045万円/日

 ゆえにこのケースでは、1日あたり 1,045万円の利用者便益が発生する。

   I4 =(2,000+500)×21,818 = 5,455万円/日

   I4−I0 = 5,455−4,000 = 1,455万円

 ゆえにこのケースでは、鉄道会社は1日あたり 1,455万円の増益となる。

 

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