このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

第1章 費用対効果の定義式

 

 

■費用対効果分析の定義

 費用対効果(便益)分析とは、コストあたりどれだけの効果があるかの除算であるから、概念としては簡単である。ところが、コスト要因が案外悩ましく、どこに当てはめるかで結果まで変わってきてしまう。

 以下、変数として、

   C :プロジェクトの総費用
   B :プロジェクト実行時に得られる利用者便益
   Δc:プロジェクト実行後の運営コスト増
   Δi:プロジェクト実行後の収入増

 とすると、実に下記4つの定義式が考えられる。

   費用対効果: B/{C+(Δc−Δi)} −1)
          (B+Δi)/(C+Δc) −2)
          {B+(Δi−Δc)}/C −3)
          B/C           −4)

 ここで、C・Δc・Δiが実際の貨幣、Bが貨幣換算した効用増分である点を鑑みれば、2)3)式は好ましくないことが理解できる。そもそも3)式の場合、Bと(Δi−Δc)は、同じ効用の一部をダブルカウントしている疑いをも考慮しなければならない。

 1)式は上記問題を全てクリアするが、費用拠出セクターが同一とは限らない。その場合、分母の加算そのものに意味がなくなってしまう。

 プロジェクト費用を拠出するセクターが費用対効果を分析するには、4)式が最も単純で使いやすい定義式であろう。ただし、運営セクターが破綻しないために、Δc<Δiなる制約条件を付ける必要はある。

 

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