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━━ 日暮里・舎人ライナー開業シリーズ そのⅤ ━━
再編というよりむしろ微調整の都バス
■都バス路線の微調整
先の記事
に記したとおり、バレンタインデーの平成20(2008)年 2月14日に、日暮里・舎人ライナー開業に関連する都バス各路線の変更についても案内されていた。驚いたことに変更は小幅で、再編と呼べるレベルではなく、微調整にとどまっている。以下、簡潔にまとめてみよう。
【里48】
東京北部病院前行・足立流通センター終点行が廃止になる以外、運行区間の変更なし。このほか、停留所の新設改廃が何箇所かあり。
運行本数は大幅に削減。日中は25〜30分毎の運行と、
「はるかぜⅩ」に近い水準
にまで頻度が落ちる。ただし、朝ラッシュ時には江北六丁目団地→日暮里駅前を約 9分毎に運行するなど、従来どおりに近いサービス水準を提供する断面もある。
深夜バスは廃止。日暮里駅前発終バスは22時15分発と大幅に繰り上げ。
【東43】
運行区間を、荒川土手操車場前から江北駅前まで延伸。
【王46】
上沼田小学校入口経由から、江北陸橋下−江北六丁目団地経由に変更。
■コメント
まず、里48はダイヤを間引くだけで、従来どおりの路線を維持するという点に強い驚きを感じている。日暮里・舎人ライナーは駅間が長くなるため、既存バス停留所をまったく廃止しては、軋轢が大きいと判断されたと思われる。この措置により、終点まで 200円で乗り通せる低廉運賃の競合相手が存置され、しかも競合といいつつも同じ東京都交通局が運営するわけで、経営判断としては悩ましいところであろう。
こうなると、利用者の選択性向がどのように出てくるか、たいへん興味深い。速達性・定時性にすぐれ、しかし運賃の高い日暮里・舎人ライナーを選ぶのか。運賃が安く停留所も近く、しかし速達性・定時性に劣る都バスを選ぶのか。あるいは東京都は、社会実験の一環として敢えてこのように措置したのかもしれない。
筆者の予想としては、里48は江北六丁目団地を境に系統分割し、江北六丁目団地以北は王子駅ないし西新井駅に接続する、という形での再編がありうると見ていた。王子駅接続は日暮里と比べ優位性がなく、西新井駅へのアクセスは
「はるかぜⅢ」
に委ねればよいという判断か。西口を大々的に再開発している西新井駅には、それなりの需要が生じるようにも思われるのだが。
深夜バスの運行をやめるのは妥当な判断であろう。加算運賃をとれなくなるかわりに、無人運転の日暮里・舎人ライナーではオペレーション・コストが極小化される。高層建築のエレベーターのような使い方にも喩えられる、交通機関になるというわけだ。
東43の江北駅前延伸も意外であった。率直にいって、この措置により利用が伸びるとは考えにくい。しかし、東43は運行本数が多いとはいえないものの、東京駅直通という強力なアドバンテージを備えている系統で、地味ながら使い勝手がよい。数は少ないとしても、「通好みの抜け道」として活用されるかもしれない。
王40・王49をまったくいじらないというのは、日暮里・舎人ライナー開業という巨大なインパクトがあってすら、利用動向に影響がないということか。王49などは、接続をとれば相応の変化が出ると思われるのだが……。日暮里・舎人ライナーと環七の交差が高高架かつサミットとなり、江北陸橋直近に駅を設置できないことによる、ネットワーク構成の小さな瑕といえよう。
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