単語篇
初出 2001年1月13日
岐阜県中津川市阿木地区で使われていて、余所の人と話す時には言い換えたり、通じないと思われる言葉を集めて見ました。
したがって、阿木で使われる言語(単語)は、下記のリスト+一般の国語辞典でほぼ網羅できるわけです。
冗談はさておき、下記のリストは、 ほとんど祖母・祖父・母が使っていた言葉なので、阿木地区どころか 家の中でしか通用しないものも多分混ざっています。
取りあえずひとりで作ったので、間違い(個人の思いこみ)もあると思います。(チェックのしようがない!!) まだまだ拾い足りない分もあると思います。 異論や追加がありましたらメールや
掲示板
で教えてください。
参考文献
中津川言葉 http://www.din.or.jp/~sogachan/areainfo/nakatsugawa/nakatuword.html
他岐阜弁についてまとめた頁。
小学校資料集:阿木のむかしと今; 編集:新田鉦三(1982.2)
単語
《古》・《近世》等は古語辞典(旺文社 改定新版)を参照したものです。
あ 行
- あいく 【歩く】
- (動詞)しながら移動する
- 例: のきぐろさがいたいてみ(軒下を探して歩いてみなさい)
- あいさ
- (名詞)合間。あいだ。
- あいさま
- (名詞)あいだ。はざ間。
- アカバチ
- (名詞)スズメバチの亜種らしい。スズメバチのなかでは小型。柿色をしている。危険。
- あさねこき 【朝寝こき】
- (名詞)朝寝坊をするひと。「よだほり」と対。
- 例: よだほりのあさねこき
- あしたり 【明日】
- (名詞)明日。
- 例: あしたりはれるかな(明日はれるかな)
- あぬく 【上向く】
- (動詞)上を向く
- 例: あぬいたいくところぶぞ(上を向いて歩いていると転ぶよ)
- あよむ 【歩む】
- (動詞)歩く
- 例: どこをあよんできた(どうやってきましたか)
- あれ
- (感動詞)意味は標準語と同じ。やたら会話にでてくる。
- 例: あれ、ちょっとみんあいだにどーらいおおきょうなったてぇ(あれ、少し見ない間に随分大きくなりましたね)
- あんき 【安気】
- (名詞)安心。気楽に構えているようす。「−こく」。
- 例: あんきこいとったら、のりすごいちまったよ(安心していたら、乗り過ごしてしまったよ)
- あんじゃない 【案じゃない】
- (形容詞)大丈夫
- 例: あんじゃないて(大丈夫だよ)
- あんたんたぁ
- (代名詞)あなた方
- 例: あんたんたぁどこいきょーるの(あなた方はどちらへ行くところですか)
- いかい 【厳い】
- (形容詞)おおきい。《古》厳し(程度がはなはだしい)
- 例: いかいいもやな(大きな芋ですね)
- いける 【埋ける】
- (動詞)うめる
- 例: はなのいもかってきてにわにいけた(花の球根を買ってきて庭に植えました)
- いげる
- (動詞)あきる
- 例: もういげた(もう飽きた)
- いごく
- (動詞)動く。
- 例: いごいたいきょうる(動き歩いている)
- いざる
- (動詞)いどうする
- 例: ちょっといざってけぇ(すこし移動してください)
- いしかけ
- (名詞)石垣。
- いしばい 【石灰】
- (名詞)消石灰。畑にまく土壌改良資材。「しょーせっかい」より分かりやすいし、言い易い。
- いっつか
- (副詞)とうに。とっくに。
- 例: 先生なら、いっつか帰らしたに。(先生なら、とっくにお帰りになりましたよ。)
- いにむに
- (形容動詞)どうしようもなく
- 例: いにむにごがわく(腹がたってし方がない)
- いみぞ 【井溝】
- (名詞)みぞ、側溝
- 例: いみぞにはまるなよ(溝に落ちない様に)
- いも
- (名詞)靴下のあな
- 例: 靴下にいもができた。(靴下に穴があいた)
- いろむ
- (動詞)熟す
- 例: かきがいろんでだべごろやに(柿が熟してたべごろです)
- うぞば
- (名詞)植物。くず。
- うでる 【茹でる】
- (動詞)ゆでる。
- うむす 【蒸す】
- (動詞)蒸す。
- うりばえ 【瓜蝿】
- (名詞)害虫。うりはむし
- えらい 【豪い】
- (形容詞)つかれた。苦しい。《古》苦しい。
- 例: はしってえらかった(走ったから疲れた)
- えんてい 【堰堤】
- (名詞)堤防の意味だが、主に砂防ダムを指す。
- おうじょうこく 【往生こく】
- (動詞)大変な目に遭う
- 例: やまいっておうじょうこいた(山へ行って大変な目に遭った)
- おうちゃくい 【横着い】
- (形容詞)横着だ
- 例: まったくおうちゃくいて(本当に横着だな)
- おおかわ 【大川】
- (名詞)阿木では阿木川をさす。
- 例: おおかわ水がでとったぞ(阿木川は増水していた)
- おおごと 【大事】
- (名詞)大変なこと。
- 例: そんなことしや、おおごとなるに。
- おおじいさん
- (名詞)ひいじいさん。曽祖父
- おおばあさん
- (名詞)ひいばあさん。曾祖母
- おき 【熾】
- (名詞)薪が燃えて炎が出なくなったもの。
- おく 【置く】
- (動詞)やめる。そのままにしておく。
- 例: まぁおいたよ(もう止めました)
- おそがい
- (形容詞)こわい。おそろしい。
- 例: ほんにおそがいて(本当に怖いことです)
- おそまつさま
- (会話)「ごちそうさま」に返す言葉
- おちゃんこ
- (名詞)正座。おちょきん。
- 例: はい、おちゃんこし。(正座しなさい。)
- おはる
- (動詞)欲しいとせがむ
- おぼわる 【覚わる】
- (動詞)自然と学んで覚える。覚えることができる。
- 例: 来週試験やけど、なかなか中身が覚わらんで困ったよ。(来週試験があるけれど、なかなか試験範囲の内容が覚えられなくて困りました。)
- おやすみなさい
- (挨拶)日が暮れてから、人と分かれる時につかう。その人と寝るまでにもう会うことはないのだから、理にかなっている。しかし、全国的にはそうではないらしい。(thanks to Yahoo掲示板「中津川と恵那」)
- 例: (別れ際に)おやすみなさい((なんていうんだろう?))
- おる
- (動詞)(人が)いる。
- 例: おかあさん、おって(お母さんはいますか)
- おんし 【お主】
- (代名詞)お前
- 例: おんしなにしとるよ(お前何してる)
か 行
- がいき 【咳気】
- (名詞)風邪の気
- 例: がいきしょっとるできょうはやすめ(風邪気味で咳が出るから今日は休め)
- かいさじ 【貝匙】
- (名詞)おたま
- かいじょう 【回状】
- (名詞)自治会の回覧。うちの集落は回覧版でなく木箱に入ってまわっていた。
- かう 【交う】
- (動詞)(鍵・錠を)かける。《古》かふ(まじえる。交叉させる。)
- 例: 玄関の錠をかう(玄関の錠をかける)
- かく
- (動詞)掻く。「代かき」の「かき」と同じ。「たんぼかく」と言えば「代かきの準備のために耕す」ことを指す。「おこす(粗く耕す)」とは微妙にちがう。
- 例: 「もうかいた」「いんね。あめがふらんもんでよお、水がのおてだちかんわ」(「代かきしましたか(時期なら、だいたい通じる。ふつうは文脈・状況ですぐ分かる。)」「いいえ、雨が降らないから,水がなくて駄目です。」)
- かじかむ 【悴む】
- (動詞)温度が低いために、指先などの自由が利かない状態になる。(辞書には掲載されている。)
- 例: 小銭を落といたけど、手がかじかんどるで、うまいとこ拾えんわ。
- かしらん
- (語尾)…かどうかはしらないけれど。…かもしれない。
- 例: みんなはそういうかしらんけどもよぉ、おれはこうおもうんやわ(皆はそう言うかもしれないが、俺はこうだと思う)
- かす 【淅す】
- (動詞)(米を)とぐ。《古》(水に浸す。米を洗う。)
- 例: こめかしといて(米を研いでおいてください)
- かたみこばんこに 【互こばんこ】
- (副詞)かわるがわる。かたみがわりに。
- 例: 「one after the other」 の訳は「かたみこばんこ」です。
- かど 【門】
- (名詞)にわ
- 例: おかあさんおる?かどにおらんか(お母さんいる?庭にいないか)
- かぶつ
- (名詞)株
- 例: あそこのかぶつ、きのこがとれるに(あそこの切り株できのこがとれるよ)
- がまに
- (副詞)たくさん。やけに。
- 例: がまにひとがでとった(たくさんひとが出ていた。)
- かやす
- (動詞)かえす。「雛をかやす」「借りたものをかやす」何れも訛る。
- からすみ
- (名詞)魚の卵の珍味、ではなくて米の粉を練ったお菓子。ひな祭りのとき作る。
- 例: おひなさまみして(からすみちょーだい)(お雛様見せて(からすみください))
- がわと
- (名詞)外側
- かんかない
- (形容詞)どうしようもない
- 例: ほんにかんかないにうちのぼうは(うちの子供は手がつけられません)
- かんこうする 【勘考する】
- (動詞)くふうする、かんがえる。昔、私は、観光バスは、いろいろ勘考してあるから、「カンコウバス」というのだと思っていた。
- 例: ちょっと勘考する(少し工夫する。)
- きいし 【木石】
- (名詞)珪化木。木の化石。
- きいない 【黄ない】
- (形容詞)黄色の
- 例: ほれ、きいないふくきたひとがあるいとるてぇ(ほら、黄色の服を着た人が歩いているよ)
- キコク
- (名詞)植物。からたちの実
- きしゃ 【汽車】
- (名詞)阿木では明知線(明知鉄道)。
- 例: 12時の汽車
- ぎすちょん
- (名詞)虫。きりぎりす
- きつい
- (形容詞)力がつよい。きつくしかる(厳しくしかる)、くつがきつい(靴が窮屈だ)、性格がきつい等のふつうの使い方もする。
- 例: おお、きついな(ああ、力があるね)
- きめる 【極める】
- (動詞)いじめる。《古》(なじる。責める。)
- 例: きめちゃーあかんぞ(いじめては駄目だよ)
- きやす
- (動詞)火や明かりを消すこと。
- きよう
- (動詞)気負うの訛。着飾ってよそ行きの格好をすること
- きんのう 【昨日】
- (名詞)きのう
- 例: きんのうよう(昨日さあ)
- くすがる
- (動詞)刺さる。
- くすげる
- (動詞)(針や棒などを)刺すこと。
- 例: ささぎの手をくすげてけ(インゲン豆(蔓性)のための支柱をさしてください。)
- くたくた
- (形容動詞)「つかれて、くたくた。」の意もあるが、道などがぬかるんでいる状態を指す場合もある。
- くつがる
- (動詞)ひとつのことに集中している。
- くど 【竈】
- (名詞)かまどのこと。台所がガス化されてからは、主に風呂のかまを指していう。
- 例: ちょっとくどみてけー。(ちょっと、かまどを見てください。)
- くどばい 【竈灰】
- (名詞)かまどからでる灰。カリ(カリウム)が多く含まれ、重要な肥料となる。
- くべる 【焼べる】
- (動詞)もやす。
- 例: たきものを火にくべる(薪を燃やす)
- くみ 【組】
- (名詞)隣組や町内会のようなものにあたる。水利や耕地整理等もこの単位で行なわれているので、生活する上では欠かせない。最近までは、市への納付金(水道等)まであつめていた。組の代表者はやはり組長と呼ばれる。「組長のいえ」とか聴いてびっくりしないようにご注意。
- クラブ
- (名詞)集落の集会所をさす
- くろ
- (名詞)隅
- 例: くろのほうさがしてみ(隅のほうを探して見なさい)
- くろにげる
- (動詞)打撲により生じた内出血が皮膚下で青紫・黒色に変色すること。あおあざ。くろにえる。
- け
- (間投詞)ください。頂だい。
- 例: そいつ1個 け(それを1個ください)
- けちな
- (副詞)おかしな。変な。
- 例: けちなかっこうしとるな(変な格好しているなあ)
- げな
- (語尾)そうだ。(中世以降の会話文にでる。)
- 例: あそこのこけっこんしたげなに(あの家の子は結婚したそうだ)
- けなるい
- (形容詞)羨ましい。《あまり聞かない》
- 例: ほんとに、けなるいよ。(ほんとに羨ましいよ。)
- げぼ
- (名詞)嘔吐物。げろ。
- こうざい 【功罪】
- (名詞)良い点と悪い点
- 例: こうざいいうな(文句を言うな)
- ごがわく
- (慣用句)腹が立つ、はらわたが煮え返る
- 例: ごがわいてしょうがない(腹がたってし方がない)
- コゴメ
- (名詞)アブラムシ(アリマキ)のこと。
- ござる
- (補助動詞)○○していらっしゃる
- 例: なにをしてござる(何をしておられますか)
- ござる
- (動詞)いらっしゃる
- 例: おっさんがござりたに(和尚さんがいらっしゃったよ)
- こじき
- (名詞)くっつき草。種が服につく草。
- ゴジゴジ
- (名詞)アリジゴク。ウスバカゲロウの幼虫の巣
- ごとむし 【ごと虫】
- (名詞)カミキリムシの幼虫。焼いて食う。
- こもつるし 【薦吊るし】
- (名詞)戸をあけて閉めずにいってしまう人。こも(むしろ)を入り口に下げて戸のかわりにしていれば、戸を閉める必要がないから、行儀が悪いのをたしなめて言う。最近なら「自動ドア」と言ったところか。他人には使わない。
- こわい 【強い】
- (名詞)かたい。ごわごわしている。
- 例: きょうのごはんこわいな(今日のご飯は固いなあ。)
- こんき 【根気】
- (名詞)根性。「-よく」=こつこつと
- 例: 根気になおして、きれいにしたとこや
- ごんぼ
- (名詞)野菜。ごぼう
- 例: ごんぼほり(ごぼう掘り)
さ 行
- さ
- (接尾)さん。「名前+さ」で敬称をつけた呼びかけになる。
- 例: やい、○○さ、おって(あの、○○さん、いらっしゃいますか)
- さかてんぼり
- (名詞)ひっくり返ること。「−つく」。
- 例: さかてんぼりつく(ひっくりかえる)
- ササギ
- (名詞)つる性のインゲン豆。ささげ豆とは違う。
- さば
- (名詞)風化した軟岩で、地表にでると粘土になる。魚ではない。
- 例: やまへさばとりにいこまい。(山へ軟岩をとりに行きましょう。)
- さばける
- (動詞)商品が売れる、の意味もあるが、他人のものを勝手にいじること。自分のものでも乱雑だと”さばける”羽目になる。
- さぶい
- (形容詞)さむい
- 例: きょうはさぶいなも(今日は寒いですね)
- さむけぼろ
- (名詞)とりはだ。さぶいぼ。
- さんだす 【差ん出す】
- (動詞)差し出すの訛り。
- 例: 手、さんだいてみ(手を差し出してみなさい。)
- したがり 【下刈り】
- (名詞)下草刈り。区の山の下草を刈る作業が賦役で回ってくる。
- したく
- (名詞)岐阜弁では、「まわし」をよく使うそうだが、準備のことは普通は「したく」を使う。ただ、「夕飯の支度」は「ばんのまわし」という。
- じぶん 【時分】
- (名詞)時期。「ころ」のかわりに「じぶん」を使う。
- 例: いまじぶん、どこいきょーるの(今頃、どこへ行くところですか)
- しみる 【凍みる】
- (動詞)冷え込む。
- 例: 今夜はしみるぞ(今夜は冷えるよ)
- しゃこう 【車校】
- (名詞)自動車学校
- しゃべくる 【喋くる】
- (動詞)喋る。とくに、状況を無視したり、見境なく喋る様子をいう。
- 例: これ、よそ向いて喋くっとらんで話聞け(おい、よそを向いて喋ってばかりいないで話を聞け。)
- しょうなし
- (副詞)意識なく。ぐっすり寝過ごしたときに使う。
- 例: あれ、しょうなしねとった(あら、すっかり寝てしまった)
- じょうぶい 【丈夫い】
- (形容詞)丈夫だ
- 例: このくつしたじょうぶいら(この靴下は丈夫だと思うよ)
- しんぞう 【新造】
- (名詞)嫁。奥さん。通常は「ごしんぞう」としてつかう。
- 例: ○○の××ちゃぁええごしんぞうもらわしたて(○○の××はいい奥さんをもらいましたね)
- ずいき
- (名詞)ただいも(里芋)の茎(葉柄)を干したもの。
- スイコギ 【酸いこぎ】
- (名詞)植物。すいば。
- すえる
- (補助動詞)○○しつくす。
- 例: おー、ちらかしすえとるな(あれ、ちらかっていますね)
- ずく
- (名詞)(訳不能)
- 例: ずくがない(根気がない)
- ずる
- (動詞)持ち上げて移動する。または、ひこずる。「机ずって」といわれて、机を持ち上げないで移動させようとすると怒られます。特に持ち上げることを強調するときは「つる(吊る)」を使う。
- 例: つくえずって(机を動かして)
- せぎ 【堰】
- (名詞)せき。水をせきとめて水位を上げるもの。
- せぐ 【堰ぐ】
- (動詞)せく。水をせきとめて水位を上げる。
- 例: すいろをせいでたんぼにみずをいれる(水路を堰き止めて田んぼに水を入れる)
- せどぐち
- (名詞)勝手口。
- せばい 【狭い】
- (形容詞)せまい
- 例: せばい(せまい)
- せんしょ 【僭上】
- (名詞)お節介
- 例: いらんせんしょばっかせんでいい(余計なお節介ばかりしなくていい)
- そう
- (動詞)告げる。
- 例: 戻ってきたら、俺が来たとそっといて。(戻ってきたら私が来たと伝えてください。)
- そうましい
- (形容詞)散らかっている
- 例: この部屋はそうましい(この部屋は整頓されていない)
- そこた 【底】
- (名詞)底
- ぞんがい 【存外】
- (名詞)思いのほか。意外に。
- 例: ぞんがいひとがきとったよ(意外に人が来ていました。)
- そんで
- (名詞)裏側(だと思う)。
- 例: テレビのそんでにおちとらんか(テレビの裏側に落ちてないか)
た 行
- だ
- (助詞)「である。」を意味する断定の助詞は「だ」が優勢のようである。小学校に上がる前には祖母の影響で「や」を使っていたが、それを集落の子に笑われた記憶がある。因みに祖母はもとは坂本(中津川市坂本)から来ている。山一つ越えただけで言葉は替わる例だろう。
- たいげだ
- (形容動詞)たいくつ、だるい。(大儀の訛りか)
- 例: たいげだ(退屈だ)
- たいもない
- (形容詞)とてつもなく。とんでもなく。
- 例: たいものうゆきがふった
- ただいも 【ただ芋】
- (名詞)さといも。
- だだくさ
- (形容動詞)粗末に、乱雑にする。
- 例: だだくさにするやない(ぞんざいに扱ってはいけない)
- ただへんび
- (名詞)毒のないへび
- 例: ただへんびだでどさないわ(マムシではないから大丈夫です)
- だちかん
- (形容動詞)だめだ。
- 例: そんなのだちかん(それは駄目だ)
- たぼけた
- (形容動詞)ぼけた。
- 例: なにねたぼけたこといようる(寝ぼけたことをいうな)
- ダム
- (名詞)阿木では阿木川ダム。
- たるい 【懈い・怠い】
- (形容詞)かなしい。《古》疲れて元気がない。
- 例: ○○くんがいじわるをしてたるかった(○○君がいじわるをしたので悲しかった)
- ちょうき
- (形容動詞)うまく。《あまり聞かない》
- 例: ちょうきなこと言って(うまいことを言って)
- ちょびちょび
- (副詞)落ち着き無く、動き回るようす。「ちょびる」「ちょびつく」
- 例: やい、ちょびちょびすんな(少し、おちつきなさい)
- ちょびつく
- (動詞)落ち着き無く、動き回る。「ちょびる」「ちょびちょびする」
- 例: なにを、ちょびつきょうる(どうして、じっとしていられないんだ。)
- ちょびる
- (動詞)落ちつかずに動く。《近世》ちょびかわ(忙しげにちょこちょこ振舞う。)
- 例: ちょびるな(静かにしろ)
- つく
- (動詞)水に浸る。水がたまる。
- 例: いけにみずがついた(池に水がたまった。)
- つくなる
- (動詞)(物などが)積み重なっていること。
- 例: 洗濯物がつくなっとる。(洗濯物が積み重なっている。)
- つくねる 【築くねる】
- (動詞)かさねてつみあげる。《古》つく(土石をつき固めて積み重ねる。)
- 例: どうせせんたくものがつくねてあってそうましぃんやら(どうせ洗濯物が重なっていて散らかっているのでしょう)
- つつみ 【堤】
- (名詞)堤防。ため池。土で作ったダムを指す。
- ツヅリムシ 【綴り虫】
- (名詞)米を食害する蛾の幼虫。糸を吐いて米を身にまとう。
- つねくる 【抓くる】
- (動詞)痛みなどを与えるために、指先などで皮膚などをつまむこと。つねる。
- 例: つねくるな。(抓るな。)
- つもい
- (形容詞)ちいさくてきつい。
- 例: くつがつもい(くつが小さい)
- つれ 【連】
- (名詞)友達。
- 例: うちのぼうがつれをつれてくるもんでよう(うちの子が友達を連れてくるので)
- て
- (語尾)ですね。
- 例: そうやて(そうですね)
- とうたい 【到底】
- (名詞)到底。漢字からはなれなまったもの。
- どうということない
- (形容詞)大丈夫。普段は「どちゅことない」という。
- 例: どうちゅことないにはよおいで(大丈夫ですから速く来なさい)
- とうのいも
- (名詞)さといもの品種。旨いが収量は少ない。
- どえらい
- (副詞)とてつもなく
- 例: どえらいゆきがふったに(たくさん雪が降ったよ)
- どえんき
- (形容動詞)いいかげんな
- 例: どえんきなことばっかいようるぞ(いい加減なことばかりいっているよ)
- どさない
- (形容詞)大丈夫
- 例: どさない(大丈夫)
- ドチ
- (名詞)蚕のさなぎのこと。鯉のえさにする。
- どちらかかす 【ど散らかす】
- (動詞)散らかすの強調表現。
- どべ
- (名詞)びり。最下位。
- とろくさい
- (形容詞)ばかなこと
- 例: とろくさいことばっかいうな(馬鹿なことをいうな)
な 行
- なかま
- (名詞)1.仲間。2.共有物。共同で使用するもの。
- 例: ちゃんと、なかまで使うんやに(ちゃんと、共有して使いなさい。)
- なぜる
- (動詞)掃く。なでる。
- 例: ほうきでなぜといて(箒で掃いておいてください)
- なべのつるほど
- (慣用句)見えているのに真っ直ぐ行けず遠回りするさま。
- 例: なべのつるほどまわらないかん
- なまず
- (名詞)くろいヘビ。(種は不明)。
- 例: なまずがつばめのこをくようった(ヘビがツバメの雛を食べていた)
- なも
- (語尾)ですねえ。
- 例: そうやなも(そうですね)
- なんでかんで
- (副詞)どうしても。どうでも。通常否定をともなう。「なんでもかんでも」「なんだかんだ」とは違う。
- 例: なんでかんでせなあかんちゅことないら(どうしてもしなければいけないということはないでしょう)
- に
- (語尾)だよ。
- 例: あかんに(だめだよ)
- にぃ
- (名詞)兄。または、同輩以下の若い男性を指す時、「名前(略称)」+「にぃ」の形でよく使う。
- にすい
- (形容詞)弱い。抜けている。おっとりとして駄目。いい意味には使わない。
- 例: にすいであかんわ(情けなくてだめだ)
- にすくたい
- (形容詞)弱い。抜けている。おっとりとして駄目。
- 例: ほんとにすくたいよ、うちのこは(うちの子は駄目です)
- ぬくい 【温い】
- (形容詞)あたたかい
- 例: きょうはぬくい(今日は暖かい)
- ぬくたい 【温たい】
- (形容詞)あたたかい
- 例: きょうはぬくたい(今日は暖かい)
- ぬける 【抜ける】
- (動詞)(山や法が)くずれる。
- 例: こないだのあめで山がぬけて道がとおれんに(先日雨で山崩れがあり通行止めだよ)
- ぬすとぼり 【盗人掘り】
- (名詞)じゃがいも・さつまいもを本格的に収穫する前に、畦の横からちょっと掘って収穫すること。
- ねぇ
- (名詞)姉。または、同輩以下の若い女性を指す時、「名前(略称)」+「ねぇ」の形でよく使う。
- ネコギス
- (名詞)虫。かまどうま。台所にいる。ネコのようなキリギリスの意。かまどに夜良くいるので、ネコというのは、いいネーミングだと思う。
- ねしま
- (名詞)寝る間際。
- 例: ねしまにみずばっかのむとよなかにめがさめるぞ(寝る間際に水を多く取ると夜中に目が覚めるよ。)
- ねぶか 【根深】
- (名詞)野菜。ねぎ。言葉とはうらはらに関西系の葉ねぎである。
- ねぶる 【舐る】
- (動詞)なめる。《古》(じゃぶる。)
- 例: あめをねぶってあいくやないわ(飴を歩きながらなめるものではない)
- のうなる
- (動詞)なくなる。「なくす」は「のーす」になる。
- 例: あれー、けーたいのうしちゃったけどしーらん(あれ、携帯がなくなったけどしらない?)
- のきぐろ
- (名詞)軒下。家の周り。
- 例: のきぐろさがいたいてみ(軒下を探して歩いてみなさい)
- のんのさん
- (名詞)ほとけさま(観音様)。幼児語。
- 例: のんのさんにごはんあげり(仏様にご飯をお供えしなさい)
は 行
- はざ 【稲架】
- (名詞)はざ
- 例: はざかけをする
- はさがる
- (動詞)挟まる。
- はしかい
- (形容詞)かゆい。草のこまかい刺がささった時に感じるようなちょっといたい感じ。
- 例: そんねいなわらをくびにあてるとはしかいぞ(そんな風に稲わらを首にあてるとかゆくなるよ)
- はむ
- (動詞)這う。つまり、地面に対して低い姿勢になって、農作業などをすること。「畑はんだいく(畑で作業をしている)」「軒ぐろはんだいく(家の回りで草取りをしている)」のような形で使われる。頭を下げるのいみにもそういえば使う(thanks to 坂下弁)
- 例: 「ひるまりでんわしたけどどこにおりたとこ」「のきぐろはんだいきょーた」(昼間に電話をしたけど、どこにいましたか」「家の回りで草取り(園芸含む)をしていました。」)
- ヒキタ
- (名詞)ヒキガエル。
- びっちゅう 【備中】
- (名詞)備中鍬(びっちゅうぐわ)のこと。
- ひでれっこい
- (形容詞)まぶしい。
- ひとなる
- (動詞)そだつ。大きくなる。
- 例: 裏のヒマワリがが、よーひとなっとるに
- ひとねる
- (動詞)そだてる。おおきくする。
- ひね
- (名詞)1年前のもの。
- ひるまり
- (名詞)昼間。
- 例: あんたひるまりどこいきょーたとこ(あなた昼間どこへ行こうとしていたのですか)
- ひんなか
- (名詞)昼間のあいだずっと。
- 例: ひんなかさがいたいたけどあかんかった(一日中捜し歩いたけど駄目だった)
- ぶと・ぶとう 【蚋】
- (名詞)ぶよ。ぶゆ。昆虫。血をすう。蚊とちがって指されると大きく腫れ非常に痛い。
- 例: そんなとこおるとぶとうがくいつくに(そんなところにいるとブユに刺されるよ。)
- ブン
- (名詞)羽音をたてて飛ぶ虫。ブンブン。
- へそべ
- (名詞)カラスのビシャクという草。芋で増えるのでなかなか退治できない。
- ヘボ
- (名詞)クロスズメバチのこと。地蜂ともいう。幼虫は食用。高価。
- へぼい
- (形容詞)弱い。
- ほう
- (副詞)そう。東濃弁では、「そう」が「ほう」に変化する。「そうか?」は「ほうか?」、「それで」は「ほんで」といった具合に応用範囲は広い。
- ぼう
- (動詞)追う
- 例: ねこをぼうよりさかなをどけよ(猫を追うより魚をどけよ)
- ほうべっさま
- (名詞)布袋様。
- ほうぼう
- (副詞)あちこち。あちらこちら。
- 例: あれ、そんなとこにおったの。みんなほうぼうさがいたいたに。(そんなところにいたのですか。皆あちこち探して歩いたのに。)
- ほーかる
- (動詞)捨てる。
- 例: それほーかっといて(それ捨てておいて)
- ほーた
- (名詞)頬。ほっぺた
- ぼた
- (名詞)草の生えた法面。田んぼの段差の部分など、一定の勾配の斜面をいう。
- 例: ぼたのくさかり(法面の除草)
- ぼつ
- (名詞)周囲から凸状に盛り上がっている小さな点。ぼち。ぽち。
- 例: ちょっと、そこの赤いボツ押いてけ(ちょっと、そこの赤いボタンを押してください)
- ほれ
- (代名詞)それ
- ぼろ
- (名詞)湿疹・アトピー等による肌にできるぼつぼつ。
ま 行
- まいまいこ
- (副詞)迷っていったり来たりする様
- 例: なに、まいまいこしたいきょーる((動き回っている相手に対して)どうしたの?)
- まる 【放る】
- (動詞)大小便をする。古語。(thanks to kusu1 yahoo掲示板)
- 例: はよ、まってこい(早く用(大小便)をすましてきなさい)
- まわし
- (名詞)準備。
- 例: まぁはいばんのまわしせなあかんよ(もうそろそろ夕食の準備をしなければならないな)
- みえる
- (動詞)いらっしゃる
- 例: おきゃくさんがみえたに(お客さんがいらっしゃったよ)
- みえる
- (補助動詞)○○しておられる
- 例: なにをしてみえる(何をしておられますか)
- みちぐろ 【道くろ】
- (名詞)道のはし。「くろ」参照。
- むしゃくたら
- (形容動詞)むちゃくちゃ
- 例: そんねむっしゃくたらにしたらあかんに(そんなに無茶苦茶にしたらだめでしょ)
- むしょうに 【無性に】
- (形容動詞)非常に
- 例: むしょうにごがわく(非常に腹が立つ)
- むじん 【無尽】
- (名詞)講のようなもの。
- むつかしい 【難しい】
- (形容詞)むずかしい。明らかにみんな「むつかしい」と言っている。しかし、書く時は「むずかしい」と書き、聞き直されれば、「む・ず・か・し・い」という。辞書によると文語らしい。
- むらう 【貰う】
- (動詞)もらう。自分の耳には「むらう」と聞こえる。しかし、字に書く時は「もらう」だし、ゆっくりいう時は「も・ら・う」という。みんなずるい。
- めこじき
- (名詞)目の病気。ものもらい。めばちこ。麦粒腫。
- もせる
- (動詞)腐って中身がスカスカな状態になり、弱くなっている様。(thaks to 中津川言葉)
- 例: ゆかいたがもせとってよう、ぬけたわ(床板が腐ってぼろぼろになっていて、ぬけおちてしまったよ)
- もんで
- (語尾)だから。
- 例: そいやもんでよう(だから)
や 行
- やーこい
- (形容詞)やわらかい。
- やい
- (感動詞)呼びかけの言葉。阿木では特に失礼には当たらない。年輩の人しかもう使わない。
- 例: やい、○○さ、おって(あの、○○さん、いらっしゃいますか)
- やくと
- (副詞)わざと。故意に。
- 例: やあことやったんやら(わざとしたのでしょ。)
- やつがしら 【八頭】
- (名詞)さといもの品種。旨いが収量は少ない。親芋を食用とする。
- やっと
- (副詞)1.長い間。2.ようやく。
- 例: やっと みなんだ なも(長い間会わなかったねぇ)
- やっとかめ
- (形容動詞)ひさしぶり
- 例: やっとかめやてー(お久しぶりですね)
- ゆ
- (名詞)用水。「ゆが枯れた」と言っても、温泉が枯れた訳ではなく、用水の水がなくなった場合を指す。
- 例: ゆをそうじしにいく(用水路の掃除(軽微な補修含む)に行く)
- ゆうつぎ
- (名詞)有線電話の連絡網による連絡?言い継ぎのなまりか?
- 例: ゆうつぎまわしといて(連絡網を回してください)
- ゆざらい 【井浚い】
- (名詞)用水路の掃除。
- ユンボー
- (名詞)パワーショベル。
- よう
- (語尾)さあ。
- 例: あのよう(あのさ)
- ようさり 【夜さり】
- (名詞)夜。「よさり」の転。「宵さり」「夕さり」の転とも。
- 例: ようさりはしみるぞ(夜は冷えるよ)
- ヨキ 【斧】
- (名詞)小型の手斧。辞書では古語扱いされていた。
- よだほり
- (名詞)よふかしをするひと。
- 例: よだほりのあさねこき
- よったい
- (形容動詞)おかしな。変な。
- 例: そんなよったいなかっこうするやない(そのようなおかしな格好はするものではない。)
- よどかけ
- (名詞)よだれかけ。幼児がつける。
- よりあい 【寄合】
- (名詞)集会をさす。
ら 行
- ら
- (語尾)でしょう。推定をあらわす。
- 例: おれんたぁ方言なんかしゃべっとらんらー(俺たちは方言なんか使っていない)
わ 行
- わやくい
- (形容詞)やんちゃ。《近世上方》わやく(無法。無茶。)
- 例: わやくいことするやない(やんちゃをしては駄目だ)
- 可能動詞(未然形)+すか
- (語尾)できるはずがない
- 例: いけすか、こんなにかぜふいとるに(行ける訳がない、こんなに風がふいているのに)
- 動詞(未然形(オ段))+まい
- (語尾)しましょう。勧誘の意。
- 例: はい、いこまいか。(早く行きましょうか。)
- 動詞(語幹)+ようらっせる
- (語尾)ていますか
- 例: なにをしようらっせる(何をしていますか)
- 動詞(語幹)+ょーる
- (語尾)するところである。している状態だ。英語の進行形にあたると英語教師はなぜか自慢気に語る。
- 例: いきょーる(行くところである)
- 動詞(未然形)+ず
- (語尾)しよう。《古》「むとす」の転。
- 例: 行かずとおもっとったけどあかなんだわ(行こうと思っていたが駄目だった)
- 動詞(未然形)+すか
- (語尾)するはずがない
- 例: そんなことあらすか(そんなはずはない)
- 動詞(連用形)+っからかす
- (語尾)ばかりする
- 例: うちのこはげーむばっかしっからかして(うちの子はゲームばかりしていて)
- 動詞(連用形)+とくれんさい
- (語尾)○○してください。「てくれなさい。」
- 例: みとくれんさい(見てください)
- 動詞(連用形)+とりる
- (語尾)「ておられる。」
- 例: なにをしとりる(何をしているのですか)
- 動詞(連用形)+んさい
- (語尾)○○しなさい。(ニュアンスは弱め)
- 例: はよしんさい(はやくしなさい)
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2003年8月2日更新