このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


Devise 01
無菌ではいけないその理由


● なぜ無菌培養なのか!?●

ラン科植物は胚乳がありません。
難しい話をしそうですがまぁ聞いて下さい。
発芽出来る能力はあるのに、発芽の時に必要な養分種には無い
わけです。
(一般の植物では、胚乳や子葉に必要な養分があり、発芽出来るのです。)
じゃ、自然では種が出来ても無駄なの!?っと思われるかもしれませんが
自然界では、ランと共に共生する菌が、養分を分けてくれるので、
少数ですが発芽しているようです。

そこで考え出されたのが、ビンの中で人工的な環境を作り出し、
普通では発芽が困難なラン科植物の種に養分を与え、発芽させる、、
っというものです。

ビンの中は常に無菌状態が保たれていて、中には培地(ばいち)
と呼ばれる寒天が入ってます。
発芽に必要な養分が含まれた普通の寒天ですが。
誰でも作れる寒天です。

では!なぜ無菌でないといけないのか?
ビンの中に培地(寒天)入れるだけで「ええんとちゃうんかぁ〜!」
っと思う人もいるでしょう、、。
私が説明致しましょう!
培地には、砂糖などの炭水化物を添加します。
ビンにフタをすると密閉され湿度が上がります。
ビンの中には空気や適当な温度があります。

こうした条件下では、カビバクテリア大量発生します。
ランとカビの増殖力は、もちろんカビの方が強いですね?
ランをビンの中で育てるには、無菌状態を死守する必要があります。
湿度を逃がすために「ビンの口を開けっぱなしにしていればいい!」
っと言われるかもしれませんが、寒天というのは、ほとんど水と同じ
水分が奪われカラカラになってしまうのです。
それに、幼い植物が育つには無菌環境下での育成がとても重要です。
産まれたばかりの赤ちゃんを、病人の部屋へ放り込むのと同じです。

植物が発芽に必要とされる三条件は、、、
水・空気・(適当な)温度です。ランに関しては養分も必要ですね?
それを考えると、寒天が少しずつでも蒸発してしまうのは危険な事であり、
十分に環境を活かせてるとは言えません。
だって、ビンに入れる必要も、培地の必要もなくなってしまいますよ。
外の環境でも十分生きていけるぐらいにビンの中で苗が育たないと、
生き残るのは難しいでしょうね。


● 業者さんの培養室はこんな感じ ●


趣味程度で培養される方はここまでは必要ないと思います。
普段のランを育てる環境があれば、
置き場なんて工夫次第でどうにでも出来ますよ。
今回は参考程度に載せているだけです。
そのへんの気になる事も後の方で説明していますのでご覧あれ。

培養棚培養棚にギッシリの培養ビン!
照明を当たりやすくするために
透明のキャップを一部で採用しています。
デジカメではわかりにくいですが
培養棚1つに80W蛍光灯を4本使用。
2500ルクスぐらいでしょうかね。
培養棚温度は20〜23℃に保たれています。
何段かに別れた棚には全部で
800本ほどのビンが置かれ培養されています。
温度差に気を配り毎日の温度測定は必要ですね。
左から、マスデバリア、パフィオペディラム、リカステ まもなく完成品左:マスデバリア
中央:パフィオぺディラム
右:リカステ

ここまで育つのに8ヶ月から約1年。
見えにくいかもしれませんが発根もしています。
リカステにもバルブが出来ていますね。
もうすこし大きくなったらフラスコ完成!
培養室からお別れです。





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