このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
いわゆる最終回
本当は無菌播種以外の事も色々載せたりしたいんですけど、、
とにかく交配から始まったこのコンテンツも、ここで一区切り。
暇があれば第二章を作ってみたいですね。
★ ビン→外環境へ 馴化の条件 ★ さて、今回はビン苗の完成とビン上げです。
どういう状態が完成といえるのだろうか 「フラスコが完成する」 これってどういう意味なんでしょうね。どこまでが未完成で、どこからが完成なのか? 疑問に思い、よくわからない人も多いと思います。 しかし、これといって決まりもないので、人それぞれの見解でしょうね。 常識的に考えて苗をビンの外へ出しても大丈夫そうなら完成でしょう。 一般的に条件としては、根が十分に伸びて、数も多いもの。 その次に、やはり葉が元気で大きいもの、バルブが形成する種類は、 バルブがきちんと出来ているものなどがポイントですね。 ではでは、、あなたが今まで作って、育ててきたビンはどうでしょうか?? 前回の行程から数ヶ月もすれば苗もかなり大きくなっていると思います。 実際に画像で見てみましょう。 |
▲ 完成と未完成の例 ▲ |
バルブが出来ているけど苗が小さい。 画像ではわかりにくいですが草丈2cmほど。 バルブも5mmぐらいで、ちっちゃ! 最悪の場合はビン出しOKですが、、 出してからの生育は悪そうな感じですね。 品種はリカステの小型タイプです。 小型種は苗も小さくバルブもすぐに完成します。 | |
苗は大きいが、根がほとんど出ていない。 株の大きさは、出すには十分。 培地の養分が続く限りそのまま 育て続けます。 それで根が出てきたらラッキーですね。 品種はマスデバリア。 私が培養すると、なぜか根が出ないで、 葉だけ元気に育ってしまいます。 なぜ!?培地が悪い?? | |
培地が古くもう限界。 よく見ると培地の量が作った時より かなり減っています。 このまま生長させるのは無理でしょうね。 バルブも出来て、根もあるので、 すぐにビン出しOKです 品種はリカステ。 長期間培養していると、生長サイクルが 一周してバルブが出来た後、新芽が出ます。 根が伸びている場合は、早めに外へ 出した方がいいですね。 | |
ちゃんと完成したフラスコ。 葉も元気!根も十分! この状態なら安心してビン出しできますね。 左がワルケリアナ(カトレヤの原種) 右がジゴペタラム | |
拡大した画像です。 1ビンに15本植えで最終移植から7ヶ月。 この条件では培地の養分は7〜8ヶ月 が限界で、それ以上は置いていても、 状態が悪くなる一方ですね。 1ビン15本植え/培地100ml 培養環境:平均23℃/照明2500lux | |
あなたの苗は、どのタイプ?? もし、苗があまりにも小さいものは、もう一度移植しましょう。 移植に自信のない人や知力・体力・時の運すべて使使い切った人は 移植を諦めてギリギリまでビンの中で育ててから外へ出しましょう。 前回説明した、培養液添加も方法の一つですが、、、。 |
▲ 馴化の方法 ▲ |
今回は一般的な方法を紹介します。 ■ ほいじゃ〜準備するものね! 水苔・鉢・鉢の底に入れる石または、発泡スチロールでも可。 消毒剤(殺菌剤)。あとは、一般的な植え替え用具などです。 ■ 作業する前に 出す季節は夏以外!温室がない方や低温室だけの方は冬もダメ。 適期なのはやっぱり春! 秋でも大丈夫ですが、温度を上げていないと冬は生育しません。 |
1.丁寧にビンから出す。 水で流しながら丁寧にビンから出して、 1本づつにわけます。 寒天もきれいに落とす。 苗の細胞組織は弱くデリケートなので 傷をつけないように! | |
2.消毒 ヒドロキシイソキサゾール剤(立枯れ病の薬) や、キャプタン剤(オーソサイド)を2000倍 ぐらいになるように調整し、約20分間浸ける。 塩素系の殺菌剤でも可。 | |
3.クルクル巻く 石や発泡スチロールなどを鉢の底に入れます。 水苔はバイタリックなどの活力剤を予め 染み込ませて使うと効果大! バイタリック蘭はフジ園芸さんで売っています。 水苔で苗をクルクル丁寧に巻いていきます。 株元は苗をシッカリ固定させるために 苔1本づつ確実に巻けばグラグラしませんよ。 一気に水苔をつけるのではなくて、 数本を巻きつけるようにしていきます。 水をかけた時に、ユラユラ株が揺れるのは 良くないです。 | |
4.完成 見たまんまです。 ラベルをきちんと付けましょうね。 あと、出した日なども記録すると良いでしょう。 ビン出し後の管理は下の方で説明します。 | |
他に色々な方法 ピートモスとパーライトとバークを混ぜたような用土や細かな石の用土に 寒天ごと、すっぽり植える方法。 この方法のメリットは、水が乾きにくく乾燥に強いので水切れしにくい事。 寒天が付いたまま置くだけなので、作業が簡単。 苗どうしが競い合って大きくなるので生育がちょっと早い。 デメリットは、単鉢に植える時に根を傷めたり、 株元がグラグラして固定しにくく、根の張りや生長が一時止まってしまう。 小さい苗は生存競争に負けてしまい、枯死する。 比較的強健な品種や、苗の数が多い場合には有効ですね。 プラグトレイに植える方法。 プラグトレイとは、小さなポリポット鉢が連結したようなものだと思って下さい。 まぁようするに、ちっちゃい0.5号鉢に1本1本植えていくようなものです。 メリットは根鉢が出来るので、根を傷める事なく単鉢上げが出来る。 枯れた苗はピンセットなどで引き抜き、移動や整理が出来る。 デメリットは、水苔の植える硬さがバラバラに変わるため、 水が乾きやすい部分が出来たり、逆に水が溜まってしまう事がある。 1本1本の苗管理が出来るので、この方法はわりと無難ですね。 今回紹介し行った方法は、両方のメリットを狙ったやり方です。 根は乾きにくいし、お互い競い合って大きくなります。 根鉢もある程度出来ますし、根も長く伸びやすい。 素焼き鉢を使うと通気もあります。品種もあまり問わないでしょう。 |
■ 馴化、外環境、ビン出し後の管理 ■ 培養ビンの中は非常に高い湿度が保たれています。また、養分も十分にあり、しかも無菌状態なので病気も発生しません。 培養環境は、蛍光灯や日陰の弱光線で、常に一定の温度と光量が 保たれている培養室で育っているわけですから 世間知らずの箱入り娘さんなんですよ。(実際に箱(瓶)入り!!) そんな幼苗が外の環境ですぐに育つわけがありません! そこで「馴化」(じゅんか)と言われる「慣らし」が必要です。 花嫁修業みたいなもんです。 この「慣らし」は人それぞれで、ビンから出す前に行う人や、 ビン出し後に行う人、また方法も色々で独自のものがあるようですね。 あまり気にせずビン出しをやってしまう人もいるようですが、、、 そこで、簡単にまとめてみましたので参考に! 1.ビンから苗を出す前に とりあえず温室などのランの成株を栽培している中の弱光線(日陰) の場所にフタを開けずにそのままでしばらく慣らす。 栽培場所の温度や光に慣れさせる目的 (日陰でも培養室より相当明るい光量があります直射日光厳禁) (ビン苗をそのまま温室で育ててる方はすでに慣れているので この行程は不要です) 2.ビンから出した後も弱光線下(日陰)で管理 葉などに霧吹きなどを行い、葉や根を乾燥させない。 乾燥がひどいと葉先が黒くなってきます。 (水は乾く前に与える。寒冷遮や薄手の不織布で周りを囲うと、 湿度が保て、なお良い) イチゴのパックに穴をいくつも開けて、被せる方法もあります。 湿度に慣れさせる目的ですね。 3.少しずつ光に当てる 他のランと同じような環境下で育てられるように調整します。 (本当に少しずつで) 徐々に場所を変えながら、成株と同じ環境に慣れさせる目的ですね。 4.いつでも生育期なので、水を切らさないようにする。 温度があれば冬でも構わず生長するので、冬でも温度は高め (20℃ほど)で管理すると早い。できれば成株とは別の場所で。 温度があれば、肥料も弱い物なら積極的に与える。 緩効性(段効性)肥料など、水に溶けにくい肥料成分や 2〜3段階で効き目があらわれる不溶性肥料など。 最後に、大切なのは各工程ずつ順番に慣らす事。 順番に1週間〜1ヶ月単位で行います。 昨日は日陰だったから、今日は明るい場所、なんて事は極端過ぎます。 もちろん、すべて同時に1日で行ったりしてはダメです。 少しずつ確実に行うことが大切です。 |
お疲れさまでした ここまでお付き合い頂きありがとうございました。 最初のきっかけは、某園芸店の「バイテクのコーナー」を 担当させて頂いたのが出発点です。 当初は簡単に終わらせようと考えていたのですが。 やはり作るなら自分の持っているモノを出来るだけ多くの人へ という気持ちでここまで発展してしまいました。 そんなコンテンツが画像70枚を越えるほどに成長するとは 思ってもみなかったです。 いつか第二章でも作れればいいですね。 茎頂培養や花茎培養などのメリクロンや細胞融合、人口種子の作成、 蘭以外の組織培養も経験者なので、いつか作ってみたいですが、、 ひとまず、このコンテンツはこれにて終了です。 そんなこんなで、ありがとうございました! (ToT)/~~~ (泣くなよ、、、) |
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