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Second Stage Edition すたーと !! どえぇ〜っす


Leg 01  無菌播種


 ***** 管理人から一言 *****
みなさんおひさです!野乃佳沙叶です。
いよいよ再開?なんでしょうか??
書いてる本人が聞いているようでは微妙ですが、、、
前回で作業が慣れてきた方へのステップアップを目的に
話を進めていこうと思ってます。



◇◆◇第2章スタート!?◇◆◇
はじめに、ステップアップっという事なので難しい言葉などが
出るかもしれませんが、、基本的に前章同様出来るだけ
わかりやすくしたいと思っています。
いきなりここを読んでもらっても、大丈夫だと思いますが、、。
さすがに、器具の名前などは勘弁して下さい。
あと、まず全部読んでからここを読まれる事がおすすめ。

タイトルを見てもらえればわかりますが今回は無菌播種をお題にしてみます。
やり方だけではなく、なぜそうなのか!?
そういうところまで説明しようと思っていますので、どうぞよろしく。

書いたはいいけど、どんな内容にするかは、まったく考えてない(汗)
数回に渡り内容の追加や更新をする予定なので、ちょいちょい見てね。



◇◇ 播種いろいろ ◇◇
播種には、種類がいくつかあります。

大きく分けて未熟播種完熟播種
私は未熟っていうと、青リンゴみたいなイメージがするんです。
完熟っていうと、熟れに熟れまくったべっちゃりトマトを連想するんですが。


 未熟播種と完熟播種の違い

未熟播種は、種自体が未熟というわけではなく、
種が入っている莢(果実)が裂果していない状態。
青い莢をメスなどで開けて播種する方法です。

完熟播種は、完全に莢(果実)を完熟させて、裂果した状態。
種子を塩素なので相毒したものを播種する方法です。

※種子とは「タネ」の事で、「莢(果実)」の事ではありません。
種子と莢は定義がややこしいために、あえて区別しています。



 メリットデメリット

未熟播種のメリット
○莢の中は無菌なので、消毒が種子自体に必要ない。
消毒液の影響を受けずに生長出来る。
○塩素に弱い種子(ファレノプシスなど)などに有効。
○作業がわりと簡単。

未熟播種のデメリット
○種子の保存が出来ない。→完熟播種に移行。
○莢が裂けると出来なくなり、タイミングが難しい。
○ウイルス感染の疑い。
○未熟すぎると、発芽率が低下する。
○一発勝負で失敗が許されない。
○無菌箱などの簡易ベンチではコンタミが出やすい、、かも。


完熟播種のメリット
○ウイルス感染の防止。(やり方次第)
○種子の長期保存が可能。
○種が完熟している状態なので、未熟よりと発芽率向上?
○失敗してもやり直しが出来る。

完熟のデメリット
○消毒液に塩素を使う場合、塩素に弱い種子は不利。
○作業的に時間が掛かる。
○未熟播種に比べ、消毒液の影響でタイムラグが出る、、時がある。


ちなみに前章で行った方法は、完熟播種です。
なぜ私が完熟播種をおすすめしたかというと、、
まず、未熟播種はタイミングが必要で保存しにくい。
種子を消毒していないので、無菌箱ではコンタミ率が上がる。
前章の完熟播種は、弱い消毒液で多少の雑菌進入を防止出来たためです。
理解出来てない人は、補習!



説明する前に注意

前章では、準備するものや薬品の作り方、無菌作業の基本的な知識
などを書いていたのですが、、今回は省略します。
自分で工夫してやっていくのが目的ですので、
あれこれ考えて作業するようになって下さいね。
前章で説明しているので、わからなければ前章を見ればわかります。
もちろん、前章でも紹介していない事は説明していくつもりです。
あと、前章よりも実験器具や設備は向上していると考えて進めています。
ですから、無菌箱ではなくて、クリーンベンチの使用を前提としています。

第2章では、アイデア提供の場だと考えてもらうと嬉しいなぁ〜。



未熟播種いってみよ〜

今回はほとんど写真ありません、、ごめんなさい。

1.材料の選択

もちろん莢が裂けてしまった物は使用できません。
ベターなのは、莢が裂ける一歩手前の裂けていない状態。
種が熟していればOK。
ファレノプシス、カトレヤ、リカステだったら、約7〜9ヶ月ぐらい。
マスデバリアなどは3ヶ月ぐらい。

裂けるタイミングは経験で覚えないといけないので、
交配した日や、莢が裂けた日などを記録しておく必要があるでしょう。
注意する事は、莢の見た目で決めない事!
中の種が充実しているかどうかは、なかなか判断出来ないので。
2.材料の調整

採取した莢は、異常がないかよ〜く見て下さい。
黒くなっていたり、細い隙間にカビが入っている場合もチェック。
黒くなっている部分や、茶色い花枯などを切り取ります。
ただし、あんまり派手に切ったりグリグリしちゃ駄目。
中に水や消毒液が入ると駄目ですから。

そして、すぐにベンチへ持ち込まず、まずは手洗い!
中性洗剤で丁寧に莢を洗いします。
柔らかなスポンジか、手で泡立てて洗うのが良し。
手洗い後は、清潔なティッシュなどで水分をよく拭きます。
優しくネ。
3.消毒

莢を70%エタノールまたは99%のエタノールに、
ドボ〜ンと漬けます。
出来るだけ莢全体を漬けるようにします。
消毒時間は莢の強度や大きさで決まりますが、、
カトレヤ、ファレぐらいで、10〜15分。
マスデバリアやセッコクなどの小さなもので、10分以内。

よく観察していれば、消毒液が染み込んでいくのがわかりますから
そこは経験で判断する方が良いと思います。

しかし、アルコールというのは、主に表面殺菌に用いる薬品です。
数秒漬けても、数分漬けても、効果はそう大きく違わないという
考えもあります。
しっかり消毒したい場合は、染み込む塩素系がおすすめですが。
しかし、莢の中は無菌なので、莢の表面の殺菌が目的ですからね。
今までアルコールを使ってそれが原因で失敗した事はありませんから
大丈夫だと思いますよ。
4.消毒完了

消毒時間は、そんなに厳密にしなくてもOK。
それよりも「時間が来たぁ〜」っと
焦って作業してしまう事の方が危険。
丈夫な果実の皮で覆われているので、
焦らない。確実に。

消毒が完了した莢はすでに無菌だと思って下さい。
アルコールから手で取り出すなんてしないように、、、。
出来ればベンチ内で出した方がいいですね。
しかし!アルコールなので、
バーナーは絶対付けないのが基本。
何度も書いてますが、焦ってピンセット滑らせて、
床にポトリなんて事にはならないように。

取り出した莢は速やかに、シャーレへ。
私は、アルコールが付いたぼとぼとの莢を、
バーナーで引火させアルコール(莢)を燃やして熱で滅菌したりしますが。
おまじないみたいなものなので、マネしなくていいですよ、、。
学生の時の癖なので。

シャーレに入れてフタをしてしまえば、
あとはゆっくり時間を掛けて作業出来ますね。
4,莢を切断

莢をシャーレの中で切るわけですが、、
私は縦に切ります。横の人もいるようですが、、。

この作業では、器具の良し悪しでかなり作業が違ってきますので、
ピンセットは太く、強く掴める物。メスの刃はやや長く、良く切れるもの。
ステンレスの替刃タイプのメスなら、新品を使うか、
古い物なら必ず砥石で研いで使う癖をつけましょう。
私は、作業前はまずメス研き、ピンセットの握力調整を行います。
良い道具と良い作業、これ基本です。

シャーレを開けて作業する時は、出来るだけシャーレをベンチの奥へ
フタは手前に開ける。
シャーレはベタベタ触らない。
シャーレ上空に手を持って行かない交差させない、真上に手をおかない。
作業しない時は、すぐにフタを閉じる。
作業中ず〜っとフタを開けているので、ちょっとでも雑菌が入るとアウト。
どう考えても、大きいと思われるシャーレは使わない事。

まず、莢の両端を切り落とします。
この時、種が入っていない場所を落として下さいね。
捨てる部分なので、種が入ってる場所を落とすともったいないです。

 → 

それから、転がしながら縦に切っていきます。
莢というのは、いくつかの皮が繋ぎ合わさせ合体していますので、
一番皮の薄い部分を狙って刃を入れます。
一発で真っ二つには出来ないので、2〜3回転がして
表面の皮だけを切って行くような感じで。

刃をスライドさせて切るのではなくて、
上から押しつけるように切り、少しずつ何度も
切り進めるようにやっていきます。
メスの刃は尖ったタイプより、腹がある、
大きな物がベター。


髭剃り用の替刃を割箸に付けて、自作のメスを使う人もいますが
ペラペラの刃では弱く、皮の硬い時がある莢には、
ナイフ型の丈夫そうなのが良い。
生長点摘出の時などは、刃の薄さが武器になるので良いのですが、、。
出来ればフェザー社などで良くある、実験用の替刃可能な
メスを1本持っていると重宝しますね。
替刃のラインナップもあるし、ステンレス刃なので、砥石で何度も研ける。
弥夜もフェザーの3Lの柄と替刃3種を愛用しています。

大きい物や、
硬い物を切る時に良い。
細かい作業など。
鋭いがすぐ曲がる。

下手にスライドさせて切ろうとすると、ピンセットが滑ったりするし、
中に詰まった種が、綿ごと出ちゃう事があります。
この作業は、莢を縦に切る事ですが、中の種を出さない事も大切です。

片方が切れれば、もう片方の裏側。
裏側を切り終えた時、莢が二つに別れますから、この時に下手だと、
種がこぼれてしまいます。

 → 

なぜこぼれたら駄目なのか!?っと疑問の人もいるでしょうが、、。
バラバラに散らばった種は、無理に集めない方が良い。
それは、莢を消毒したとはいえ、完全に無菌ではない場合が多いのです。
つまり、表面はコンタミ状態なのです。
アルコールでしか消毒してませんからね。
シャーレの中で、ゴロゴロ動かしているわけですから、、
こぼれた種はご察しの通り微妙。
でも、拾っていつもやってたけど、別に大丈夫な
時は大丈夫でしたからあまり問題ではない?
それより、こぼれたら当然播種出来る種が
減るわけですから、そっちの問題の方が重要。

その証拠に、ビンの中に、
莢が誤って落ちれば、、コンタミ率アップ。
切った部分から培地に落ちて触れた
場合はセーフの時が多い。
でも、表面の皮から落ちた時は、微妙です。

絶えずシャーレの中は綺麗に使わなくてはいけないため、
シャーレを数枚用意して、汚れたら即交換!
怪しいと思ったら、即交換。
莢の中身は無菌でも、莢の表面は怪しい。

この作業は、口でいうのは簡単なんですけど、
上手にするには難しい作業かも。
最初は種がこぼれてもいいので、とにかくコンタミしないように。
5.播種!

さてさて、莢が無事割れたら次は播種ですね。
まずアプローチする前に軽くベンチ内を整理しておきましょう。
汚い切断した莢のゴミや、汚れた使わないシャーレなどをベンチ外へ。
ベンチの床をアルコールを染み込ませたティッシュなのでよく拭きます。
その後、作業を円滑に素早くするために、培養ビンのキャップを
予め緩めておき、片手で簡単に開くようにしておきます。
もちろん器具も炎滅菌して、万全の体勢で。

(右利きの場合)
右手でシャーレを開け、左手のピンセットで莢を掴みます。
この時、しっかし掴んで下さい。
滑り落ちそうなら、納得の行くまでつまみ直して整えて下さい。

そして、左手で莢をつまんだまま、
右手で素早く培養ビンのキャップを開けます。
(出来れば莢掴んだまま左手でキャップ開ける、その作業と同時に
右手で掻き出す器具を持つ)
キャップを清潔な場所に置き、掻き落とす器具に持ち替えます。
(掻き落とす器具は、薬さじやメス、ピンセットなどでOK。)
そして、培養ビン上空から、種を培地に掻き落とします。
莢は、ビンに付けないように注意!
(出来れば、掻き出す器具は何本も用意して、炎滅菌の時間をカット)
ある程度掻き落としたら、すぐにフタをします。
トントンと叩いてみて、種がパラパラ落ちてくれれば、しめたもの。

培地の上に種がパラパラ落とせたら、それで完了なんですが、、
滅菌水をピペットなどで、培地に入れて、種に潤いを持たせるのも
良いと思います。なんかカラカラだとかわいそうだし。
あと、水を入れる事で培地に種がまんべんなく広がるっという事や
発芽促進効果?もある??
これで播種終了。
人間は手が二つあるので、効率よく手を動かしたいですね。



莢から掻き落とす時なんですが、あんまり激しくガリガリやると
莢の細胞まで削ぎ落としてしまうので、
もし、ウイルスに侵されている莢なら絶対にしては駄目。
掻けなくて残った種は、新聞などで包んで乾燥させ、完熟播種。
出来るだけウイルスには気をつかってうようにしたいですね。
確信犯の場合は、、あなたの良心と心構え次第。

ビンの口は真上を向いているために、出来るだけビンが
開いている時間を短くする工夫が大切。
第一にビンのフタが開いている時間を優先させます。
ビンのフタの次にシャーレのフタ優先で。
だから、予めビンのフタを緩めたり、フリーの手でフタを開けるのです。
優秀なクリーンベンチなら、あまり気にならない事かもしれませんね。

この時、絶対に莢をビンの中へ誤って落とさないで下さい。
落ちそうになった時は、一旦ビンのフタを閉めて(置いて)
莢を持ち直し、再アプローチして下さい。
「俺はそんなドジしないさぁ〜」って思われるかもしれませんが、、
意外とやりがちなミスですよ。

もし落とした場合は、出来るだけ早く、正確に、そっと摘み上げて下さい。
落ちた場合、コンタミの可能性もあります。
もちろん、シャーレ以外の床に落ちた場合は問題外!!
その莢は使用不可!!
新聞などに包み乾燥させて、完熟播種して下さい。
その場で捨てないで下さいね。
駄目もとでやってみてもいいですけど、、、。
6.もう1本目

さて、1本目が播種出来たら、もう一本いってみよ〜!

私が失敗した経験からなんですが、、ビンの上から掻き落とした種が
ベンチ内の乱流に乗り、床に散らばり、落ちている場合があります。
ベンチ内はバーナーや風で乾燥しているので、湿気った種でも
すぐに乾燥してしまいます。

2本目に突入した時、作業中の手や腕で、床に落ちた種が再び舞い、
雑菌を付けた種子が、ベンチの風に乗り、フタの開いたビンに直下降!
私はこれに気付くのに、数週間を費やした痛い思い出ですが、、、。

対処法は、アルコールを染み込ませたティッシュなので
こまめに床を拭く事です。

まぁこれはほんの一例なんですが、こういう知らず知らずのうちに
どこかに問題が生じている場合があります。
失敗した時は、その原因を自分なりに考え観察する事です。
失敗してもそれを次に改善するように努力しましょう。
絶対に、何かがあるはずです。
例えば、自分の癖なども大きく影響してきますよ。
未熟播種の予備知識

さてさて、なんで莢の中身は無菌なのか!?
なぜ種子はウイルス感染がないと言われているのか!?
そのメカニズムを解明、、、したいのですが、わかりません。
(話振っておいてわからんのか!って感じですが、、)

莢の中身が無菌なのは、ランだけではないのですよ。
たとえば、わかりやすいので百合のツボミ。
膨らみかけたユリのツボミの中も無菌なのです。
培養経験者なら有名な話ですが。
消毒の影響を受けずに、柔らかい細胞を無傷のまま培養出来る
最大のメリットです。
他の植物の果実の中やツボミの中も、たぶん無菌だと思っていますが。
確かめた事はないので不明。

以前から疑問だったのですが、、サトイモやニンジンの培養。
学生の時からですが、大きな組織の培養経験があまり無かったもので。
もちろん、消毒するのですが、細胞組織全部に消毒が染み込んでいる
わけではないような気がします。
表面に雑菌が食い込んでるだけで、内部はもしかして無菌?
ニンジンの中心部をサイコロ状にメスで切り取り、
それを培地に植える。
ニンジンはみるみるうちに生育し、すぐにカルス化。
消毒が染み込み殺菌された組織とは思えない繁殖力。
アジサイやポインセチアの茎頂培養でも、
その疑問はつきまとっていました。
といってもこの話はウイルスは別問題ですよ。


種子はウイルス感染がなぜないのか!?
これはさっぱりわかりません。なんせ高卒ですから、知識なくて。

しかし、世の中で言われている、ウイルスを取り除く組織培養。
いわゆるウイルスフリー化。
なぜ!?ウイルスが無くなるのか!?
茎頂(生長点)培養によって、ウイルスに侵されていない
細胞を摘出し培養する。
この事によってウイルスフリー化か実現するわけです。

ランではお馴染みのメリクロン。
今では、まぁまぁ知られている事ですが、メリクロン=ウイルスフリー
ではありません。
富山先生のニューキッド連載でも取り上げられましたが。
なんで、同じ生長点培養なのに、違うんだ!?
っと疑問に思うでしょう。

生長点といっても、ウイルスは存在します。
ウイルスがいない場所というのは、生長が激しい、
生長点の頂点の僅か0,1mm以下の場所のみなのです。
ウイルスの速度よりも生長の速度の方が少しだけ早いために
生長点の三角山の頂点ではウイルスの影響が受けにくい。
そこを上手く摘出すれば、、、、、、
っとま、、こういう理屈なのですよ。

しかし!他にも色々な理論がありますので、明確ではありません。
電子顕微鏡では、組織を殺してしまうので、生の生長観察が
出来ずに、証明出来ないのが正確な答えですが、、。
でも、それは10年以上前の話、今では解明されているかも。

「じゃ、ランでもそれやれよ!」ってなるんですが、、。
ランは他の植物よりも生長が遅いために、
生長点の僅かな細胞だけでは、活着が悪く褐変してしまいます。
それで、なかなか出来ないっと言うわけですね。
理論上では可能ですが、ほぼ不可能っというのが一般的。

それに、一度やっただけで、完全にフリー化する事はあまりないです。
何度も何度も、その作業を繰り返し、ウイルスの濃度を
下げていくのが現状。
ウイルスフリーと公言していても、ウイルスの濃度が薄まっている
または、ごく微量で検出されず、生長にも影響しない。
っという考え方の方が強いかもしれませんね。

ウイルスというのは、簡単に言うとDNA書き換え装置なのです。
健全なDNAをウイルスが書き換えて体を衰えさすもの。
ですから、植物の体が別の似た体に変わっていくわけです。
しかも巧妙に。植物は人間や動物のように免疫がありません。
入ったら最後、防止する手立ては皆無と言っても良いでしょう。
ウイルスを死滅させるには、植物を死滅させるしか無いわけです。
ウイルスは恐ろしいという事ですね。
ただ弱毒ウイルスでのウイルス防除などの研究も行われていますが。
予防接種といったところでしょうか、、。(ちょっと意味は違うけど)
あ〜、、なんか全然違う事話したなぁ〜、、。



完熟播種 その1
その2があるかどうかは、、不明


1.種の選択

言うまでもなくこれは重要ですね。
すべてというわけではないですが、1つの莢に多くの種が採取出来たものは、
発芽率も良い場合が多い。先天的に優れているようですね。
採取した日付と、品種をよく考えて選抜しましょう。
発芽見込みのあるものかどうか?
どの品種を優先させるかどうか、
後々の作業的に余裕があるかどうか。
行き当たりばったりで、播種してしまうと大変な事になりますよ。
2.材料の調整

特にないのですが、、。種子以外の莢の破片などが入っている場合
取り除いた方がいいですね。
あと、違う品種の種同士が混ざらないような工夫を。
播種してから、どっちのビンだっけ?なんて事にならないように。
まぁ作業的な要素の方が主ですね。
3.消毒

種子を滅菌試験管に入れます。
これは、前章の播種の方法と同じです。(1章参照)
種子の量と試験管の大きさ、消毒液の量には注意。

種子を試験管に入れたら、次亜塩素酸ナトリウム1%を適量入れる。

入れたら、しっかりフタを閉めて、超音波洗浄機3〜5分。
未熟播種の時同様にベンチの床も拭いておいて下さいね。

超音波洗浄機ない人は、必死で試験管を振って下さい(笑)
振るのが面倒な人は、家庭用中性洗剤をほんの少し加えます。
もちろん、消毒液作る時に入れておいてね。

→ 

ただし、洗剤(界面活性剤)は展着作用が激しすぎるのと、
植物にとっては、毒ですから、やりすぎると駄目です。
種の表面に細かな毛が多い種子には有効ですが、
それ以外はあまりおすすめ出来ないかな、、。
パフィオなどは、まぁまぁ使える方法です。

あと、中性洗剤の原液では一滴の影響力が強すぎるので、
予め薄めて希釈液をストックし、専用のピペットなどで
少しずつ添加していく方法が良い。
私は、試験管へ入れる場合は、洗剤の泡だけしか入れません。
そのぐらい強力ですから、少量で十分。1滴が命取りになります。
あと、作ってしまった消毒液に添加するっという事は溶液の量が変わり、
消毒液の濃度も僅かに変化します。これも注意ですね。
まぁあまり気にしなくていいかなぁ〜。
キッチリやるなら、添加する量も計算にいれましょう。

超音波洗浄機が終われば、、、。
浮いていた種がもう沈んで、消毒液と馴染んでいるはずです。
超音波2分も掛ければ、みるみるうちに変化がわかります。
この時に、ボケ〜っとしていては駄目!
種にも個性がありますから、早く消毒液が馴染むタイプなのか!?
馴染みが遅いタイプなのか!?観察しておく必要あり。
早く馴染めば当然、消毒液の効きが早く、種にも早くダメージが来ます。
そのタイミングは経験で養います。

塩素の話は前章でも細かく説明してるので、いまさら書かなくても
ご理解して頂いてると思いますが。
消毒液を作ったら、まず塩素臭の確認。
もちろん思いっきり鼻近づけて吸っては駄目。
次に手に付けてみて、指でヌメりの確認。
これは、塩素が不安定で、濃度を調べる事ができないので
臭いや感触で濃度をチェックするのです。
もちろん経験やカンでそれは養っていくので、
常に意識して覚えるようにして下さい。
「微妙すぎてわからんわい!」なんて事思いながらやってると、
いくら経ってもわかりませんよ。
ヌメりや塩素臭が弱いと、塩素濃度が低下しています。
その場合は、消毒時間を長くしたり、濃度を上げたり、、。
また、容器が大きいと、同じ濃度の塩素でも効きが変わってきます。
超音波を掛けると、振動で熱くなるので、塩素の効きも絶えず変化します。
何度もしてると、水が暖まってきますからね。
夏か冬か!?ってのも重要かも。
超音波洗浄機に入れる水の量でも多少かわりそうですよ。

あと、なぜ超音波なのか!?っというと。
もう知ってる人が大半でしょうが、、。
めっちゃ短い音波で、種を振動させるために、
肉眼では見えない種の凹凸部分まで
消毒液を浸透させるようにします。
音波なので、水などの伝わるモノが無いと意味ありません。
超音波洗浄機に水を入れて、試験管を入れるわけですね。

塩素はアルコール系と違い、細胞を破壊しながら染込んでいきます。
さらに、超音波で浸透させるわけですから、相乗効果で威力倍。
また漂白作用で種の色も脱色してきますよ。
アルコールは脱脂し、タンパク質を分解していきますが、
塩素は、純粋に溶かすような感じですので、皮膚に付くと溶けます。
水酸化ナトリウムみたいに強くないですけどね。
皮膚がヌルヌルするのは、実は溶けているっていう考えも。

服を漂白剤で洗う時、塩素の漂白作用もありますが、
繊維の表面を削ぎ落とし、汚れを除いているので、
漂白剤で何度も洗った服は、繊維が弱くなるでしょ?
温泉に浸かるとお肌がスベスベになるのも、
皮膚がほどよく溶けているという理由も含まれているんですが。
まぁ皮膚を軽く刺激して、代謝を促す効果が大きいんですけど。

話が変な方向へいきましたが、、
とりあえず、塩素が馴染んでいるか?
っというところに注意して作業を進めましょう。

あと、ディサの種子は沈みませんから、例外もあります。
4.消毒完了

消毒液がちゃんと馴染んで沈むようになれば、OK。
逆に沈まないと、この後の作業に大きく差支えます。

前章同様もたもた作業していたら、すぐに時間が過ぎてしまいますよ。
あと、消毒中に滅菌水の容器のフタを緩めておくことも必要。
常に次の作業の事も考えながら作業をすすめて行きます。
4,滅菌水ですすぐ

手早く試験管にピペットで滅菌水を入れます。
この時、滅菌水をこぼしたり、ビンの縁(リム)に付けないようにします。
コンタミを防止させるには、前章で書いている事を含め
ビン同士の接触をさせない事、接触すると思われる場所には
炎滅菌を必ずして、ビンの表面に付いた雑菌を焼く事。
ベンチの床はもちろん、ビンの表面も基本的にはコンタミ源と考える。
ピペットは、薄めるまでのタイムラグが出来るのでその計算も考える。
また、ピペットのゴム球はアルコールなどで消毒しておく事。

滅菌水を試験管に8割ほど入れたら、試験かを静かに置き静置して
種が沈むのを待つ。
このとき、静置して待つ間も試験管の上に軽くフタを置くと雑菌も入らない。

下に種が沈んだらすぐに、入れた滅菌水をピペットで吸い出す。
一緒に種まで吸う可能性があるので、無理せずに全部排出する
必要はない。

この作業を2〜3回繰り返してすすぐ。

→ → 
 →   → (繰り返し)

前章では「すすぎ」というよりも、薄めただけですが、
本当は、すすぎを2〜3回繰り返し、塩素の影響を受けにくくする。
クリーンベンチがあり、無菌状態を確保出来る場合は、塩素のダメージを
最低限にまで抑えた方が良いため、塩素が残らないようにするのがコツです。
消毒も重要ですが、すすぎも同じぐらい重要です。

あと、滅菌水とピペットは意外とコンタミの原因になりますので、
怪しくなったら、すぐに交換するようにしましょう。
一回々々替えるぐらいの気持ちでも良いです。
もし、気づかずにそのまま作業してしまえば、全滅の危険も十分ある。
学生の時には、それでよく失敗しまたからね。
ピペットと滅菌水に関しては学生時代に良い思い出がありません。
培養を仕事でやっていた時は、すでに克服していましたが。
5.ファイナルアプローチ

すすぎが終わったら、次は播種なんですが、、。
播種する前に少しだけ、、、。

最後のすすぎで、全部滅菌水を抜いてしまうと駄目です。
ピペットで播種出来なくなってしまいますからね。
ピペットの容量と試験管の容量を考えてベストな水の量を考えておきます。
滅菌水が多すぎると、吸う効率が悪くなるし、
少なすぎると、種が吸えなくなります。
6.播種

ピペットで種子を滅菌水と一緒に吸い出し、
培養ビンに勢いよく出して播種します。
種のわたなどが入っていると、ピペットが詰まったりするので注意です。
私は、ピペットの先を割って、バーナーで丸め、
口を大きく加工して使っていました。
詰まったピペットから効率よく種を出すにはコツがあるんですけど、
文章では説明しにくいので、、、。
まぁ、振ったり吸ったり色々やっていればすぐにコツ覚えて慣れますよ(笑)

播種した後は、もちろんフタをするんですが、、
培地の表面にまんべんなく種を散らすために、ビンを振ったりしてやったり、
培養中に片寄りを防ぐため水平の場所に置いてやる心遣いも欲しいですね。
7.忘れないうちに

作業が一通り終わったら。ビンに気が付いた事や、
特徴などを書いておくと良いでしょう。
もちろん、最低でも日付、品種などは必要ですが。

もし、失敗した時や、「コレやった時、どうだっかなぁ〜」って時に
参考になりますので。
そういった、積み重ねが大切です。
「後でビン洗うのめんどくさいから」なんて考えないでね。



属別の播種ポイント

播種に関しては他の人から聞いた話なんかもありますので
正直言うと本当かどうかはわからない部分があります、、、。
未熟播種と完熟播種のどちらが適しているかはその人の考え方と作業次第。
よって「俺は違う!」「オマエの言う事は間違っている!」などという一方的な
苦情まがいの意見は却下。もちろん失敗しても責任は取れません、、。
作業するのはあなたですから、私は参考意見を書くのみです。
私へのアドバイスや質問、情報交換などは歓迎です。
不快に思われた方へ、私の未熟さ故のことですのでご容赦を。


・リカステ
基本的に完熟播種で行います。
種が大量に取れる事と、保存のメリット、ウイルス感染に対しての事です。
問題の発芽率ですが、、塩素には比較的強いようですので
あんまり影響ないかと思っていますが、、。
スキンネリー含めその他原種などの中〜小型の莢では
一部未熟播種を採用している人もいると聞いています。
まぁ母株の作り込みと育成環境次第でそのへんは変わりそうです。

・カトレヤ
基本的に完熟播種です。
ただし原種などの性質が弱そうなものは、消毒液の影響を少なくしたいので
未熟播種の方が安全?
塩素については弱いといった事はなさそうですが、、。
私はみんな完熟で行っていましたので。
6年間保存してあったドラムビート×セルフの種を完熟播種して
培養ビン一杯に発芽した事もありましたし、、、。
発芽実験で行った時の経験です。

・ファレ
ほとんど未熟播種。
正直今までほとんど未熟で播種し、完熟で蒔いた覚えがあまりありません。
たぶん失敗しているので記憶から薄れているのでしょう。
未熟播種だとバカスカ発芽します。
完熟でも発芽するでしょうけど、発芽率は明らかに低いです。
聞く話によると塩素に弱いらしいですが本当のところは疑問。
本などを見ると保存が効かず10日後には発芽率が一気に低下してくる、、
っと書いてあったりします。完熟させてる間に10日ぐらい過ぎますからねぇ。

・パフィオ
私は完熟派。
母株が作り込んであり、しっかりした種なら難発芽交配と言われる品種も
発芽率は良好でした。
大輪整形花の点花ハイブリット交配やロス系のポリアンサ交配でも
1莢当り苗700本ほど取れました。
しかし色々なところで話を聞いたりすると、未熟播種の方が多いみたいですね。
ですが特に塩素そのものに弱いという事ではなさそうです。
消毒液の影響を軽減させる事と休眠による発芽率低下を防止するため?
あと裂果した事に気付かず種が莢から出ていて空っぽだった、、
っという事を未然に防ぐって意味もあるのかもしれませんね。

・マスデ
未熟播種必須。
これは経験済みです。
完熟ではなかなか播種しませんでしたが、
未熟で播種した途端面白いように発芽しました。
塩素の影響についてはわかりませんが、とにかく未熟播種ですね。
塩素自体に弱いのか、、組織が弱く消毒液自体がNGなのか、、。
上手くやれば2cmほどの莢でも数百本は苗が取れます。
培地一面が緑色になる事も、、、。
ただ、母株の作り込みと育成環境で左右されそうです。
交配から裂実まで3〜4ヶ月。
裂果まで足が早いので、3ヶ月過ぎたら播種しましょう。

・シンビ
完熟播種、、でしょうか、、、?
あんまりやった事ありませんので
寒蘭や東洋蘭交配は何度かやった事がありますが、
その時は未熟で播種し、発芽率が良い種はかなり出た経験があります。
完熟は消毒液も必要ですし、作業的にも面倒なので未熟でやっていました。

・ジゴペタラム
基本的に未熟播種で行います。
特にコラックスなどの属間交配、ヘレンクーなどの小型系などのでは
未熟播種が有効のようです。
小型のジゴペ作出の為に交配をしていましたが、
完熟播種だと全然発芽しませんでした。
偶然未熟でやったところ発芽率が格段に良くなり知りました。

・サギソウ&シラン
お好きなように、、、。
この2種、本で読んだところ発芽率がほぼ80〜100%。
実際やってもめっちゃ発芽します。
しかし悪環境での保存は1年持ちません。
しかししかし、保存状態が良好なサギソウの種では
7年前の完熟種子を高確率で発芽させた経験があります。
どの種子も1年間そのへんに放っておいた種が発芽する
な〜んてことはよほどでしょう(笑)

とりあえず保存やウイルス感染、コンタミが心配なら
まずは完熟播種で試し、それでも駄目なら未熟に切り替える。
せっかちさんはまず未熟で試し、余裕が出来たら完熟でも試してみましょう。
つまり両方やってみなわからん!ってことです。
メリットデメリットを理解し、上手に使い分けることです。




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