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☆2002年オホーツク紀行(1) (実行日:2002年3月12・13日)   小さな旅日記目次へ      トップページへ     

   

この記録は2002年3月中旬に北海道・オホーツク沿岸へ出かけたときの記録その1です。写真に関しては「旅のアルバム」の方にも掲載していますので関心のある方はそちらもご覧下さい。

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今回の北海道行きの目的は何といっても「流氷」であった。これまで北海道には何回も足を運んでいたけれど、どうしても行ける時期が限られてしまうためなかなか流氷の季節にはいけずじまいだったのだが、今年はたまたま3月中旬に時間が作れたために、これは決行するしかない、と心に決めたわけである。ただし折からの暖冬で、果たしてまだ流氷が接岸しているかどうかが気がかりではある。
        
斜里の流氷風景
当初はもう少し日程を取りたいところだったがさすがにそうもいかず、3月12日の夜に出発、15日の夜に向こうを出発、という実質3日間となった。とはいえ目的地はオホーツク沿岸に限られているのでさほどあわただしくはないだろう。飛行機が嫌いな私が今回使ったのは「ぐるり北海道フリーきっぷ」。JR北海道内の特急指定席に何回でも乗れ、行き帰りの東北線は新幹線でも寝台でも使えて、5日間で33000円。これ以外に料金がいらないのはありがたい。飛行機の各種割引きを使えばもちろん安いのはいろいろあるだろうけど、道内での移動まで含まれているのでかなりお得なのではないかと思う。
       
  【0日目〜1日目】
     
3月12日は大宮を18時台の東北新幹線で出発、盛岡で在来線特急の「はつかり」に乗り換え、23:03に青森に着く。23:08の急行「はまなす」に乗れば明日の朝6時台に札幌に入れるので効率がいい。新幹線は満席に近かったけど「はつかり」はさほど混雑しておらず、「はまなす」も指定席をとったけど(なんせ追加料金なしだし)平均すると1人で2席くらい使えそうなくらいの乗り具合だった。私の席は通路側で、窓側にも他のお客さんがいたけれど、なぜか自主的にその方が2席並んで空いている席に移動してくださったので(^^;)結局私も狭いながら横になって行けそうであった。
        
函館駅停車中の急行「はまなす」「はまなす」は夜行列車だが座席車は減光するだけで車内放送は音を小さくして続いている。乗り過ごしを懸念しているのだろうがこの辺はもっと割り切って朝まで放送を中断してもいいような気がする。青函トンネルの通過音もずいぶん賑やかだなと思いつつ、うつらうつらしながら函館へ着く。10分ほど停まるので体をほぐすのを兼ねてホームに出る。自動販売機に「ガラナ」があるのを見つけてさっそく買ってしまった。これを飲むと北海道へ来た感じがする。連絡船があったころは、船内の「よつ葉牛乳」で北海道を実感していたものである。
      
熟睡とはいかないまでも長万部〜東室蘭あたりは記憶がないのでいくらかは眠ったのだろう。定刻に札幌到着。駅を出ると南口側は来るたびに様相を変えていてびっくりする。あまりに暖かい3月の関東から来たので、きりっとした寒さがむしろ心地いいほどだが、それでも3月の札幌としてはかなり暖かいだろう。まずは「道内時刻表」を購入。16日からダイヤ改正があるので、今のダイヤの時刻表であることを確認する。南口地下のパン屋が店をあけるのを待ってパンとコーヒーで軽食。
      
道東へ向かうべく7:24の「オホーツク1号」に乗る。天気は快晴に近く、指定席が太陽の差し込むほうだったので雪へ反射してまぶしい。つい居眠りが出る。旭川を過ぎ、上川から先の山越えに入ると、居眠りから醒めてもほとんど景色が変わった感じがしないことにあらためて北海道の大きさを感じる。11時半過ぎの留辺蕊(るべしべ)で下車。特に目的があったわけではないが、このまま乗りとおしても網走からの釧網線の列車が同じなので、一本後の臨時特急「オホーツク流氷号」に乗ろうと思う。留辺蕊で降りたのは「まだ降りたことがない」というわけで、こういう初めての街を何となく歩くのは好きである。温根湯温泉への入口だが、天気のせいか明るく開けた街、という印象だった。雪は半分溶けかかっていて春を感じる。
      
留辺蘂から乗った「オホーツク流氷号」は他の特急と違い、座席の位置が高く窓が大きく、景色を見るのに特化した車両だった。一番前の車両からは前方の展望も見え、同じ映像が他の車両にも放映?されていた。カーブやトンネルなどが時間差で見えるのも面白い。ただし観光客風は少なく、乗客の多くが沿線最大の都市・北見で下車していった。終点の網走までは留辺蕊から1時間ほどで到着。そのまま改札を出ずに接続の釧網線列車(といっても1両)に乗り継ぐ。観光客で埋まっているかと思いきや拍子抜けほど空いていた。
      
臨時特急「オホーツク流氷号」車内
釧網線は何回となく乗っているのである程度見当はついているが、いつも不思議に思うのは網走駅の立地である。駅が中心街から離れていること自体は特に不思議はなくて、むしろ地方都市ではそれが普通だったりするが、網走の場合は線路が中心街近くを通っているにも関わらず駅が離れた場所にあるのが意表をついている。次の駅の桂台のほうが市街地に近いけど、その駅もどちらかというと市街地を離れかかった場所ではある。
      
「フレトイ展望台」から斜里・知床方面さて、いよいよオホーツク海との対面である。この陽気から考えて、流氷がびっしり海面を覆っているとは考えにくいが、ちょっとくらいは見えて欲しい、という気持ちでドキドキしながら待機。いよいよ海が見えてきたが、残念ながら?真っ青な海面が広がるのみだった。ちょっと落胆しかかったが、鱒浦の駅を出て列車が海に近づくと、遠くの海面に白い線の切れ端のようなものが点在しているのに気づいた。船だろうか。ひょっとすると?...と思うと、それらが近づいてきて厚みのある存在であることがわかった。どうにか流氷の断片が迎えてくれたらしい。オホーツクに一番近い駅として知られる北浜駅付近ではかなりの至近距離で見えてきて、嬉しいというよりほっとする。よく見ると沖合いにはもう少し大きな氷原のようなものも見えていた。
      
小清水原生花園を過ぎ、海と反対側で氷結した涛沸湖も眺めながら、浜小清水駅で下車。網走から離れるにつれて流氷の数も増えてきたようだ。浜小清水の駅は以前とはすっかり様相が変わっており、以前の駅舎は跡形もなく、変わって「道の駅はなやか小清水」が併設されていた。というより道の駅に鉄道の駅が間借りしているような印象である。駅を出て、近くの高台にあるフレトイ展望台へ向かう。青い海に流氷が浮かぶ、という景色をじっくり眺めてみたい。高台といっても海岸沿いの砂丘のようにも見える感じのところでさほどの高さではないが、オホーツク海岸を網走から斜里の海岸、そして知床の山々の方まで見渡せる景色は見事。天気がいいことに感謝する。流氷も海岸付近で点々と浮かぶものから、ちょっと離れたところに少し大きくつながったものまで様々な様子を見せてくれて飽きない。見たところ斜里方面にはかなりまとまった量の流氷が見えたのでこの後はさらに東へ向かうことにしよう。
      
「フレトイ展望台」から網走方面
流氷ノロッコ号のストーブ次に乗った列車は、これまた臨時の「流氷ノロッコ号」であった。「ノロッコ」は以前にも夏の釧路湿原で乗ったことがあるが、あれと同じ車両で、窓側に向いた配置の席に坐る。売店などの様子も同じだったが、違っていたのは列車内に「ストーブ」が置かれていたことである。もちろん実際に使われている。ストーブのある列車に乗ったのは生まれて初めてだった。途中は線路から海が見えないところが続いたが、斜里が近づくとまさに「流氷」という感じの規模の大きな氷塊が増えてきて見ごたえがある。十数分の乗車で斜里に着く。ノロッコは斜里が終点である。うっかりしていたが駅名は「知床斜里」だった。無人駅ばかりの釧網本線では数少ない有人駅でもあり、網走以来のまとまった市街を形成している。
      
斜里に降りたのは初めて北海道へ来て以来の20年ぶりである。あまり記憶に残っているものはないが、ともあれ日が高いうちに流氷への対面を再度しておきたい。港らしい方向へ見当をつけて歩くが、倉庫ばかりで海岸になかなか近づけず迷いかけるうち、ようやく川が海に注ぐあたりに桟橋か防波堤のようなものが伸びているのに気づき、そちらへ足を向けることにする。なんのかんのでたちまち30分、40分と歩いてしまった。いったん駅近くの道へ出たりしながらようやく川沿いの道をたどる。靴が壊れかけておりたちまち足が濡れる。やがて、海に突き出したコンクリートの堤まで来ると、海岸線付近に氷塊がたくさん流れ着いており、よく見ると海面をゆっくり動いている。そのまま沖につながっている、というほど大規模ではないが、海の青さと氷の白さの対照が鮮やかで、流氷を間近に眺めていると時間の経つのを忘れる。
      
斜里海岸の流氷
北浜駅近くの海岸去りがたい思いで堤を後にし、知床斜里駅へ戻る。ふたたび釧網線で網走方向へ戻り、もう西に傾いた日差しを受けるオホーツクを堪能する。太陽は海の反対側で流氷もややぼんやり赤くなっているように見える。先ほど見かけた北浜駅で今度は下車。ここも無人駅だが、駅舎がそのまま喫茶店「停車場」になっている。釧網線の駅にはそうした駅舎を飲食店に改装したものが多いが、北浜はその草分けであろう。駅からいったんオホーツク海側へ出てみるとたしかに近い。水際まで降りて、流れ着いた流氷に触れてみる。
      
駅へ戻って今度は「停車場」へ入る。席はカウンターのほか、海側に以前の客車のボックスシートを並べたような席とテーブルがいくつかあり、その1つのボックスに坐る。シーフードカレーとコーヒーを注文。最初はほかに客はいなかったが、後から地元の人がカウンターに坐って店の人と雑談を始めた。こちらは次の列車まで時間があるのでついうとうとしてテーブルに伏してしまったが、この地元のお客さんと店の人との間の聞こえてきた会話はとても興味深かった。地元の農協の話とか、農業にかなりの税金が使われている、とか、流氷が昔よりすっかり減った、など、盗み聞きしたつもりではないけどこういう話を耳にすると、いかにも自分が遠くまで来たんだな、という気分に浸れる。そうこうするうちすっかり暗くなり、天井の丸い照明がいい雰囲気を作っている。次の列車で網走へ戻り、さらに石北線の列車に乗り継いでこの日は北見に泊まった。
      
(続く)
北浜駅喫茶「停車場」の天井
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