このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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すれ違う第十おおしま バックは来島海峡大橋
尾道・今治ルート最後の難所・来島海峡。島づたいに3つの吊り橋が連なる来島海峡大橋が、平成11年春の開通を目指して建設が進められている。この橋の開通によって、存続が危ぶまれているのがこの航路だ。
大島側の出発地は下田水(しただみ)。私が訪れた日は連休中ということもあり、港は大混雑だった。乗り場の数百m手前から車が列をなし、乗船待ち整理券の番号は3桁に達しようとしていた。それでもバイクに関しては、待ち時間無しで乗れるとのこと。二輪車の特権とでもいうこの扱いには、いつものことながら感謝してしまう。
やはり大混雑の事務所で切符を買い、船内へ。甲板は車でびっしりと埋まり、ドアを開けて船室へ出ていくことすら出来ない状況になっている。運航時間25分程度だからいいようなものの、これがもしもっと長距離航路だったらどうなっているのだろうか。大賑わいなのは結構だが、それにも限度があるのでは、と思ってしまった。
第1(右)、第2(中央)、第3(左)来島海峡大橋 フェリーより撮影 | | |
船の右手には、来島海峡大橋が見える。大島と四国の間にある小さな無人島を中継点にして、3つの吊り橋をかけるという、世界で初めてという3連吊り橋。すでに第1・第3大橋は路面がつながっており、残る第2大橋も残すところあとわずかとなっていた。この様子では、恐らく予定通りに完成するだろう。広島県との県境の多々羅海峡大橋とこの橋が完成すれば、広島と四国が陸続きになるばかりでなく、間に点在する島々にとっても大きな生活の変化が起きるであろう。それはそれで、島に住む人にとっては有り難いことなのかも知れないし、たまたま旅の途中で訪れただけの私が何か言うべき筋合いでも無いのかも知れない。
しかし、敢えて言いたい。橋は旅の「味」だけでなく、島の「味」をも変えてしまうということを。そして、橋の開通で安易にフェリーを廃止してしまうことは、車の運転が出来ない人たちにとっては、場合によっては開通前よりも不便な生活を強いることにすらなりかねない、と言うことも。それはさておき。
今治の港に降り立つ。市内中心部にも比較的近く、島から今治に通う高校生達にとってもこの船は便利な存在になっているようだ。この日も、クラブで使うのだろうか、ラケットやボールの入ったバックをかついだ高校生が、自転車でフェリーから走り出していくのが見えた。
今は大賑わいのこの航路だが、いずれMEMORIAL LINESに移住してしまうのだろうか。完成間近の橋を見ながら、少し残念な気分になってきてしまった。そうあって欲しくはないが、もし廃止されてしまうのならば、また乗りに来たい、と思いつつ、四国の道を走りだしたのだった……。
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