このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

南海フェリー
(和歌山〜徳島)

徳島を出港するフェリーくまの

 かつては「和歌山〜小松島」フェリーとして運航されていたこの航路。いまや、関西と四国をダイレクトに結ぶ唯一の近距離航路となってしまった。平成11年4月から、四国側の港が小松島から徳島に変更になった。また、一部の船が関空のお膝元・泉佐野へと向かうようにもなった。少しでも大阪に近い港から出航するようになったということは、大阪近郊の旅人にとってはありがたいことである。それはさておき。
 少なくなってしまった航路には、利用者が集中する。私達が和歌山港に到着した10時過ぎには、前の便の積み残しのバイクが十数台、桟橋前に並んでいた。私達も早速切符を買うが、すでにキャンセル待ち状態となってしまう。果たして11時25分の船に無事乗り込めるのだろうか。これまでにない不安が私を襲う。
 この港は、南海電鉄の和歌山港駅と隣接している。切符売り場の2階に電車の切符売り場があり、そこから大阪・なんば行きの列車に乗り込むことが出来る。フェリーの時間に合わせて列車も運転されており、さながら鉄道連絡船の雰囲気だ。旧国鉄(JR)連絡船が全てなくなってしまった今、この航路はもしかしたら、日本に残る唯一の鉄道連絡船なのかもしれない。それはさておき。
 駐車場にはひっきりなしにバイクが走り込んでくる。11時過ぎには、20台を超えるバイクが駐車場に集結していた。桟橋のバイクと合わせると、その数は40台近くになっていただろう。後ろの人は仕方がないにしても、私達も乗り込めるのかどうか、不安はますます高まってくる。
 乗船が始まり、桟橋へと移動する。乗用車の数が少なかったからだろうか、私達は比較的あっさりと乗り込むことが出来た。乗船が決まった瞬間、思わず手を突き上げて喜びを表現してしまった。
 船室内はすでにごった返しており、暖かい気候も手伝ってか、異様に蒸し暑い。最上階のオープンデッキの方が過ごしやすいので避難する。ここから出航直前までバイクの積み込みの様子を眺めていたが、結局バイクはそのほとんどが積み込まれた様子だったので一安心した。同じキャンセル待ちを経験した者としては、彼(彼女)たちが港に取り残されることはあまり気持ちのいいものではない。
 積み込みに手間取ったせいか、やや遅れて出航。私は一度船室に戻り、また外にでてきた。動き始めると風はますます心地よく、同じ金を払って室内に留まっていることがバカらしく思えてきてしまうくらいだ。
 この船で思わぬ出会いを経験する。ネット上で何度か会ってはいたが、生で会ったことのなかったhinamiサン&ひらめっちサンに出会ったのだ。旅の出会いというのはいつも新鮮で楽しいものであるが、こんな形の出会いは初めてだったので、何だか妙に嬉しく感じてしまった。これから先も、このような出会いがあれば嬉しいが……。それはさておき。船を下りてから、彼女たちと記念撮影をしておけばよかった、と少し残念に思う私変衆長なのでした。
 2時間で徳島港に入港。かつては大阪発着のフェリーが使用していた岸壁に接岸する。対岸には、東京と北九州を結ぶ巨大なフェリーが停泊している。以前徳島に来たときと変わらない風景が、私を出迎えてくれた。新しい形の出会いの場を与えてくれた南海フェリー。これから先、またこのようなハイテク風(?)の出会いを経験してみたいものだ。出来ればフェリーの上で……。



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