このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

[ホームへ]


読書日記!

読み終わった本のコメントを掲載しています。
乱読ですが、最近は図書館で借りる小説が多いです。
以前は時事問題を扱う新書が多かったのですが。


歴代 5つ星発表!

各年ベストスリー発表!
(工事中)


読了日書名著者コメント
18.12.23
人騒がせな名画たち
(マガジンハウス)
(芸術723)
★★
木村泰司何がどう「人騒がせ」なのかが全然分からない。西欧絵画の名作やそれを描いた画家のエピソードや当時の社会風習などを説明しているのだが、記述が平凡で面白みが無かった。 ☆
18.12.21懐かしき古本屋たち
(風媒社)
(総記024)
★★★
清水一嘉連続して本屋にまつわる話でした。本が無いと生きていけない人たち。出版史、貸本文化史、書評など書物の文化史がご専門とのこと。主に英国の古本屋との付き合いや、英国に滞在した日本人の人文科学者、特に画家・牧野義雄の足跡が描かれる。しっとり優しい語り口が読み易い。 ☆
[ページトップへ]
18.12.19書店に恋して
(晶文社)
(総記024)
★★★★
菊池壮一書店員の心意気、全開。リブロ池袋本店を軸にリアル本屋を追い求める姿勢が鮮烈。これまでに読んだ田口さん、辻本さんと同じ本屋魂に感激。出版業界独特の再販のある流通は良く分からないが、普通の本屋さんや、もちろん紙の本も無くなって欲しくはない。図書館で借りて読むのは罪深いのかなあ。☆
18.12.13ウチのセンセーは今日も失踪中
(幻冬舎文庫)
(文学913)
★★★★
山本幸久漫画家を目指す人たちの生態。編集者やアシスタントの涙ぐましい努力。締め切り前は本当にこんな世界なのかなあ。主人公は高校時代、陸上部のエースで、その後漫画で新人賞大賞を取るも肝心の漫画雑誌が廃刊に追い込まれる。これからどうなるのか。高校の頃の淡い恋の行方も知りたい。最後20〜30ページが無理やり終わりにしようとした感じ。まだまだ続きを読みたい小説です。 ☆
18.12.06刀と算盤
(光文社)
(文学913)
★★★
谷津矢車江戸時代にも経営コンサルがあったのだろうか。あったとしたら、こんな風に世を渡っていたのだろう。堅気とヤクザものの間を飄々と渡り歩く武家の端くれの人々の物語。全体に優しい雰囲気。智佐殿との後日談は知りたい。いくらでも続編がありそう。☆
18.12.03シニア鉄道旅のすすめ
(平凡社新書890)
(産業686)
★★
野田隆タイトルから想像した通りの内容。各地を走る観光列車、青春18きっぷやいろいろな割引切符の紹介、そして豪華クルーズトレインの案内。近鉄の「しまかぜ」には乗ったことがあります。写真がカラーだったら良かったのに。☆
18.11.30僕がロボットをつくる理由
(世界思想社)
(技術548)
★★
石黒浩とにかく考えているのは「人間とは何か」。人を気にせず、自分のことに専心する姿勢は頑なだけど清々しいとも言える。一種の変人だが、つまり天才でもあるのだろう。著作ではなくインタビューの記録。☆
[ページトップへ]
18.11.27生きづらい明治社会
(岩波ジュニア新書883)
(歴史210)
★★★★
松沢裕作身分制度がガラリと変わり、社会の基本単位が「ムラ」から「家」へ。共助・互助から(上辺の)自由・自立へ。「立身出世」と「自己責任」が背中合わせなのが、なるほどと思わせる。筆者による「通俗道徳のわな」は根が深い。真面目・素直な性格にすっと入り込み、正義を振りかざす側になってしまう。社会的な弱者を自己責任として切り捨ててしまう社会は生きづらいわけだ。 ☆
18.11.26ゴンちゃん、またね。
(文藝春秋)
(文学913)
★★★
ビートたけし柴犬のゴンちゃんと作家志望の若者・則之との心温まる、ちょっとしたお話。居なくなった経緯は結局分からないが、それもまた現実感がある。雑誌の成り立ちもやんわりと風刺。ほのぼのとした挿画もまた楽しい。 ☆
18.11.24蕪村
(講談社)
(文学913)
★★
小嵐九八郎与謝蕪村の生涯。名前のみでほとんど知らない江戸の俳人。俳諧、画、書、そのどれもが洗練されず野趣溢れる独特の味わいは、人生の始めの闇から溢れ出る叫びだったのか。独特の文体が読みづらい。☆
18.11.20AI2045
(日経プレミア378)
(総記007)
★★
日本経済新聞社編2045年に人工知能が人間を超えるシンギュラリティ。ただ、そもそもAI=人工知能は良いとして、で、AIとは何かが全然語られない。ロボット?ソフトウェア?これでは不安にしかならない。新聞記事の断片の寄せ集め感のみで書籍としての魅力は無かった。☆
18.11.18うつ病九段
(文藝春秋)
(芸術796)
★★★
先崎学うつ病を患っている人による詳細な、うつ病回復の記録。まだ現役に復帰する前までのことを克明につづっている。さすがにこんな本は無かっただろうなあ。ここでも棋士の記録力が発揮されている。復帰後の1勝って本人にとってはどれだけ感動だったんだろうか。うつ病は必ず治る脳の病気なのだ。☆
[ページトップへ]
18.11.16「次の一手」はどう決まるか
(勁草書房)
(芸術796)
★★
中谷裕教・伊藤毅志・勝又清和・川妻庸男・大熊健司将棋の棋士が協力して行った直観の研究と人口知能についての考察。脳科学や認知科学の領域。もっと将棋の話が出てくるかと期待したが。それにしても棋士の記憶力ってどこまで凄いのか。☆
18.11.14なぜ柳家さん喬は柳家喬太郎の師匠なのか?
(徳間書店)
(芸術779)
★★
柳家さん喬・柳家喬太郎あまり知らない噺家の対談とインタビュー。人間国宝・柳家小さんの弟子と孫弟子に当たるらしい。落語のよく知っている人には面白い本なんだろうな。脚注もかなり玄人向けではないか。古典から新作まで、よくぞ覚えているものだなあ。 ☆
18.11.13雨降る森の犬
(集英社)
(文学913)
★★★★★
馳星周蓼科の森を舞台に人や家族の温かさを感じさせる感動作。今を真剣に生きる犬・ワルテルの優しさを身近に感じながら、家族の絆、人とのつながりを取り戻し、自分の人生を切り開いていく青年と少女。山や写真、絵や料理も重要なコンテンツ。「雨降る森」のように全体がしっとりと包まれていて、一気に読めました。たまたま図書館で出会いましたが、雑誌「山と渓谷」の書評欄にもお勧めとして載っていました。☆
18.11.11矢上教授の「十二支考」
(祥伝社)
(文学913)
★★★
森谷明子葉山・逗子の辺りをモデルにした、干支にちなむ神社が町を取り囲むという設定のこぶし野町が舞台。「十二支考」に倣ってレポートをまとめるべくこの町にやってきた女子学生の滞在先と関係のある町の名家の伝説とその親戚筋で起こる殺人事件の謎解き。手軽なミステリー。警察は何をしているのか。☆
18.11.09大友落月記
(日本経済新聞出版社)
(文学913)
★★★★
赤神諒豊後の国、大友家の家臣団の息詰まる物語。蛭のようにあきらめない吉弘賀兵衛を軸に、何時の世も必死の外交努力があり、それでもどうしても止められない戦があるのだ。とても近しい人々が敵味方に分かれて壮絶なクライマックスへ。杏との恋が切ない。史実を切り取る赤神氏の手腕は確か。面白い。天津にて読了。 ☆
[ページトップへ]
18.10.31スノーデン 監視大国 日本を語る
(集英社新書945)
(社会科学316)
★★★
スノーデン他自由人権協会が主催したプライバシーの問題を扱ったシンポジウムの講演録。技術の進化と、世界中の当局によるテロとの戦いを口実にした大量の情報収集の実態が明らかに。インターネットの功罪。何が社会の進化なんだろうか。 ☆
18.10.30漱石センセと私
(潮出版社)
(文学913)
★★★★
出久根達郎夏目漱石がもっと前面に出てくるかと思いきや、漱石の松山での下宿先の娘・より江と後年その夫となる医学者・久保猪之吉のしっとりとした純愛ストーリーでした。美しい言葉使いが優しい雰囲気を醸し出す。読んでいてとても心地よい。漱石夫人や正岡子規、寺田寅彦も絡む。東予の鉱山も出てくるがやっぱり別子銅山だった。文通っていいなあ。いいお話でした。 ☆
18.10.25家の中で迷子
(新潮社)
(文学913)
坂口恭平目まぐるしく情景が変化していく。なんの脈絡もなく。夢の中なのか。これだけ意味のない文章を書き連ねることができるのが不思議。☆
18.10.23走り続ける力
(毎日新聞出版)
(自然科学491)
★★★
山中伸弥超多忙の中、毎日1時間は走ってあちこちのフルマラソンに出場しているらしい。日々のランニング中はビジネス英語を聞いているとのこと。何と言う人!ただ、発見したiPS細胞(人工多能生幹細胞)ではなくES細胞(胚性幹細胞)との競争もあるらしく、まだまだ厳しいらしい。☆
18.10.2240億年、いのちの旅
(岩波ジュニア新書882)
(自然科学461)
★★★
伊藤明夫人の祖先って考えたらどうなるのか。「いのち」を遡るとどうなるのか。生命が誕生して以来どんなターニングポイントがあったのか。ホモサピエンス誕生までの長い道のり。さらに遺伝子組み換えの技術まで。科学を肯定的に捉え、先の世代にどう活かすのか。ちょっと一冊には収まりきらないほどの内容でした。ApeとMonkeyの違いが分かった。 ☆
[ページトップへ]
18.10.19旅先のオバケ
(集英社)
(文学915)
★★★
椎名誠旅先の主にホテル事情。無人島のそれが多い。のっけからポルダーガイスト体験。人里離れたところや厳寒の地、カビや蚊の包囲など。辺境の地をものともしない逞しさには恐れ入る。冷えたビールうぐうぐは少なかった。☆
18.10.16選べなかった命
(文藝春秋)
(文学916)
★★★★
河合香織出生前診断(と言っても以前の羊水検査)の誤診により生まれた命を巡る裁判が軸。優生思想が70年代まで普通に幅を利かせていたことに驚く。強制不妊手術の実態も今になってやっと問題にされつつある段階。障がい者は不幸という常識。障害がある子は不要。一方で不妊治療は100%許されるのか。人はどこまでも強欲。切ない。重たい。 ☆
18.10.13日本型組織の病を考える
(角川新書)
(社会科学304)
★★★★
村木厚子郵便不正事件で、冤罪から逮捕・勾留された厚労省の女性官僚。復職して最後は事務次官まで。よくぞ、腐ることなく職務に復帰、さらに高みへと上り詰めたものだ。自分事として気になる事柄にまず自分から動くこと。建前と本音で無理していることはないだろうか。本のタイトルから想像していた内容とはちょっと違っていたが根っこは同じこと。☆
18.10.11「おしどり夫婦」ではない鳥たち
(岩波科学ライブラリー276)
(自然科学488)
★★
濱尾章二鳥類の生態のまじめな調査研究の報告。仲睦まじく一緒にいる姿は、実はメスを取られまいとするオスの苦肉の策。実は不倫もありありの世界なのだ。種ではなく、いかに自分自身の子孫を残すか、のみの問題とのこと。フィールドの観察に基づく研究姿勢には恐れ入る。簡単に鳥好き、とは言えないなあ。☆
18.10.10ルポ漂流する民主主義
(集英社新書946)
(社会科学302)
★★★
真鍋弘樹世界各地で吹き荒れる一国至上主義と分断の嵐。トランプ大統領誕生やイギリスのEU離脱、欧州各国の極右政党台頭を追う。翻って日本の政治状況も。なるほど安倍一強政治が極右と重なってくる。ポピュリズムの正体からナショナリズムの本質へ。冨の再分配の方法とその対象を巡っての思索が続く。民主主義が失敗ではないという信念を持って。 ☆
[ページトップへ]
18.10.07地図で楽しむ日本の鉄道
(洋泉社)
(産業686)
★★
今尾恵介タイトルの通りの内容。昔の地形図を見ながら鉄道の変遷を語るのみ。最初から最後まで記述がそれ以下でも以上でもないので退屈。戦時中の軍関係施設が抹消されたり、貨物線が消えているのに、その改ざんした後がばれてしまっている地図は面白い。 ☆
18.10.05洗濯屋三十次郎
(光文社)
(文学913)
★★★
野中ともそ下町のシャッター街に残るクリーニング屋を巡る人間模様。昭和の街並みの息遣いとともに、過去を引きずったり、男女のすれ違いだったり、親子の機微だったり。しんみりした中にほんのりユーモアやペーソスが。しっとりしたいい話ではある。染みを落としたり、アイロンをかけたりって、人のために何かとてもいいことなんだなあ。 ☆
18.10.01師弟
(光文社)
(芸術796)
★★★★
野澤亘伸棋界を代表する6組の師弟を取材。今を時めく若手有望株とベテランの域に達した中堅・古株棋士のペア。考え方の違いも感覚の違いも。でも不思議な縁で結ばれたペア。奨励会3段リーグという特異な勝負の世界のその先。他にはない一種独特な世界。人間味があって面白い。 ☆
18.09.28定年準備
(中公新書2486)
(哲学159)
★★
楠木新会社人生からの、その後の長い人生にどんな転換が待っているのか。様々な事例を引き合いに出して、さあ考えましょう、という本。社会と接点を持って、社会の役に立つようなことが出来るのかなあ。ただの暇な老後ではつまらないが悠々自適との違いは何だろうか。 ☆
18.09.26世界の路地裏を歩いて見つけた「憧れのニッポン」
(PHP新書1149)
(社会科学302)
★★★★
早坂隆マイナーな国、国情の安定しない国、を旅して回る紀行エッセイ。学生時代から身に着けたバックパッカー精神が為せる業。イラクでの行動は紙一重の際どさ。そして世界中どこに行っても市井の人々の生活には心温まるエピソードに事欠かない。料理を通して文化の交流までもが見えてくるんだなあ。ずっと記憶に残り感謝されている日本人もいる。政治や軍事のことだけが歴史ではないはずだが、どうしてもそうなってしまう。 ☆
[ページトップへ]
18.09.23いのちがけ
(講談社)
(文学913)
★★★★
砂原浩太朗前田利家家臣の村井長頼の物語。桶狭間、長篠、賤ヶ岳、朝鮮出兵、歴史の曲がり角で前田家がどう行動したかをつぶさに描写。信長、秀吉、家康に付き従いつつ時流を見極めていく。最後は家康に人質まで出していたのか。みう、という人物がもののふの世界の話の中にあってほっとするポイント。 ☆
18.09.15師匠!
(文藝春秋)
(芸術779)
★★★
林家木りん相撲部屋出身の噺家、木りんさん。師匠は言わずと知れた木久扇師匠。ラーメン売りから始まって、何故かあまり落語一筋の人は集まら ない一門のようだ。一日でも早く入門すると兄弟子。それはその後も絶対。様々な掟がある閉じた世界には違いない。息苦しいこともありそうだが。体調不良の中、ヘルシンキへの機内で読了。 ☆
18.09.14美貌のひと
(PHP新書1145)
(芸術723)
★★★★
中野京子表紙がいい。クラムスコイ「忘れえぬ女(ひと)」。物憂げな美女のアップ。冒頭はロセッティの「プロセルピナ」。以下、怒涛の如く24の作品を紹介。主に肖像画を使って、いつものように神話の世界を、画家の人生を、その時の社会情勢を解説してくれる。もう少し、一作品毎に長くてもいいんだけど。 ☆
18.09.13科学のミカタ
(毎日新聞出版)
(自然科学404)
★★★★
元村有希子清少納言の「枕草子」になぞらえて書き連ねた縦横無尽の科学エッセイ。宇宙の広がりや宇宙旅行、地震・台風・火山・大雨のこと、生物多様性や素粒子・核物理、原子力エネルギー、AIやロボットによる未来、遺伝子編集、感染症や再生医療。行き着いた先は、いよいよ生と死の問題。著者自身も大腸がんを克服したことでよりリアルに。面白かった。 ☆
18.09.11日本旅館進化論
(光文社)
(産業689)
★★★★
山口由美時代の寵児・星野リゾートを軸に、黎明期のホテル、高度成長期の団体を受け入れた観光ホテル、スキーリゾートやその後に現れた地域密着型でユニークな宿まで、日本旅館の何たるかをつぶさに伝える。プライバシーに対する感覚の違いからホテルと旅館の違いはDon'tDisturbCardの有無とも。ホテルは部屋を売る、旅館は一泊二食そのものを売る。どちらがいい悪いではないが。ただ、見事に再生されていく宿はすべて顧客単価がべらぼうに高いのだが。良質な旅とは贅沢品ということなんだなあ。 ☆
[ページトップへ]
18.09.02りゅうおうのおしごと!9
(GA文庫)
(文学913)
★★★★
白鳥士郎白雪姫・空銀子とシンデレラ・夜叉神天衣のタイトル戦。奨励会に挑戦している女流って微妙な存在なんだなあ。雛鶴あいは今回わき役。若きロリコン竜王・九頭竜八一争奪戦がさらに激化する予感。
18.08.29大友の聖将
(角川春樹事務所)
(文学913)
★★★★★
赤神諒豊後の国の大友氏、さらにその家臣・柴田治右衛門、または天徳寺リイノの物語。マイナーなところにも精一杯生きるキリシタン武将がいた。20年の時を隔てた前後半に分かれていて、信仰に目覚めるまで、そして、大友家を守り抜く姿。騙し騙される戦乱の世で、正しく生きることの難しさ、人の弱さ。そしてそれが試練であり、すべてを許すところからすべてが始まる。当主の大友宗麟の日和見的な態度がことさら強調されて悪者になってしまった。☆
18.08.24宇宙に命はあるのか
(SB新書426)
(技術538)
★★★★★
小野雅裕そこに何かいるのか?そこに何がいるのか?あるいは、我々はひとりぼっちなのか?広大な宇宙に思いをはせる情熱の物語。ジュール・ヴェルヌの「月世界旅行」から始まり、ロケット開発、アポロ計画、惑星探査、地球外生命の探査、そしてファーストコンタクトとは、へ。時間と空間。超えられるのか超えられないのか。イマジネーションが全ての原動力となる。ワクワクして一気に読みました。☆
18.08.22奏弾室
(徳間書店)
(文学913)
★★
仁木英之ピアノを軸に音によるセラピーの物語かと思えるが、場所も登場人物もとてもあやふやな設定。幻影なのか幻想なのか。はたまたお化けの類か。夏季休暇の前後で読む期間が分かれたこともあり、よく分からないまま読了。 ☆
18.08.21落語家魂!
(中央公論新社)
(芸術779)
★★★★
柳家権太楼噺家の本は面白い。噺家の人生も面白い。ヘンにタレントに成りかけながらも自分は何が何でも噺家なんだ、という筋の通った生き方が清々しい。生涯の伴侶とのエピソードも出来すぎ!一気に読めました。また落語が聞きたくなった。☆
[ページトップへ]
18.08.03知の古典は誘惑する
(岩波ジュニア新書875)
(哲学102)
小島毅編著「源氏物語」とかの解説かと思っていたら「知の」古典を紹介する本だった。古事記・論語から始まって老子、仏陀、ヒンズー教、ユダヤ教、そしてプラトン、方法序説まで。酷暑の中で生真面目な本書はちょっとツラかった。 ☆
18.08.01激動の世界をゆく
(小学館)
(社会科学304)
★★★★
大越健介NHKキャスターが今、世界で築かれつつある壁を各国からレポートする。ジャカルタで亡くなった無名の日本人女性の姿勢が胸を打つ。どの国も侵略されたり凌辱されたり、苦難の歴史の上に今があるのだ。しかもそれが結構最近のことだったりする。そしてどこにでも、普通に暮らす喜怒哀楽を持った市井の人がいるんだけど。ポピュリズムとナショナリズム。威勢のいい話には何か胡散臭さを感じてしまう。 ☆
18.07.27特権キャリア警察官
(講談社)
(社会科学317)
★★★
時任兼作キャリア警察官僚の人生パスを垣間見ることが出来た。実名で書籍になってしまうんだなあ、国家公務員って。仕事で少し関係したことのある人の現職が出ていたり、もう退職されていたり。各都道府県警察の主な事件・事案・失態なども網羅。全国でなんとも多くの事件が起こっているんだなあ。不祥事も多いが、それは官民問わず、他の職場でも同じ程度なのかなあ。 ☆
18.07.24ルポ保育格差
(岩波新書1712)
(社会科学369)
★★
小林美希重苦しくなる内容。無限の可能性を秘めた子供たちが大人の都合で苦しめられているさまが何とも痛々しい。0歳児の保育や学童保育、その制度や施策を掘り下げての非常のきめ細かい調査報告。こんな余裕のない国に明日はあるのか、と思ってしまう。 ☆
18.07.19高学歴モンスター
(小学館新書)
(哲学145)
★★
片田珠美様々な事例を引いて、無自覚・特権意識・ナルシスト・共感の欠如・状況判断の甘さ・自信過剰・拒絶過敏性・自己保身・現実否認などなど。病気なのか性格なのか。そもそも、だから高学歴、とは直接結びつかない気はするが。同じような話を丸々一冊続けていてスゴイ。 ☆
[ページトップへ]
18.07.17火刑列島
(光文社)
(文学913)
★★
森晶麿イケメン予現者と美人現象学者、と消防士崩れ。炎に魅せられた怪事件を追う。AIとVRが出てきて、もう一人の主人公であるメグミとは一体誰、何なのか。とにかく、よく分からない。結局、25年前の一つの情景が発端らしいが。☆
18.07.15吉原はスゴイ
(PHP新書1138)
(社会科学384)
★★★★
堀口茉純背徳感、なぜか後ろめたい気分になる吉原という地名。社会通念が異なる時代・場所の夢の国。大女優・アイドル・ファッションリーダーのすべての発信地。江戸260年間の変遷、その遊郭としての性格もどんどんと変わっていったのか。カラービジュアルが多用されてとても楽しく読めました。冷やかし、乙なもの、くだらない、の語源も。 ☆
18.07.13中国の世界遺産を旅する
(中公新書ラクレ623)
(芸術709)
★★★
湯浅邦弘中国の世界文化遺産7か所を歴史を紐解きつつ紹介。最初に殷墟と孔子廟があって面白みに欠けたが、後半は、万里の長城、兵馬俑、敦煌、明の十三陵など、有名どころが目白押し。とにかくスケールが大きい。中華帝国三千年のパワーは凄い。行ってみたいなあ。☆
18.07.10日本人は知らない中国セレブ消費
(日経プレミア365)
(社会科学361)
★★★
袁静日本の観光ガイド雑誌を編集する著者がプチ富裕層の考えや行動を解説してくれる。中国は広大なので、そもそも中国人と一括りには出来ない階層があり出身地がある。そして総じて奥床しいところは全くなく、自己主張が強く、競争社会を生き抜くバイタリティも半端ない。著者は女性でした。最後の方で判明。☆
18.07.08京大芸人式日本史
(幻冬舎よしもと文庫)
(歴史210)
★★
菅広文宇治原の相方、日本史を探る。物語を語るように。タイムマシーンに乗っていき、それぞれの時代の寵児に何を考えていたかを語ってもらうという構成。たった200ページで日本の通史なのでどんどん進む。ポイントは押さえてるが端折り過ぎ。 ☆
[ページトップへ]
18.07.06ルポ東大女子
(幻冬舎新書489)
(社会科学377)
★★
おおたとしまさ超高学歴の女子の悩みは社会的な構造の問題そのもの。「東大」という「競争」、すなわち資本主義至上主義、の象徴と「女子」という「ケア全般」、つまり動物としての営みそのもの、の象徴という相反するベクトルが熟語になって何とも言えない違和感を持つ、と。で「働き方改革」と「大学入試改革」が重要、と。つまり「専業主婦に頼らないで社会を成り立たせること」と「偏差値偏重主義を無くすこと」。なるほど。間違った方向には行ってほしくない。 ☆
18.07.04いずれの日にか帰らん
(山川出版社)
(芸術723)
★★★
安野光雅故郷・津和野への思慕。昭和初期の挿絵とともに、しみじみとした筆致で往時を偲ぶ。自宅は宿屋で、周辺には金物屋、呉服屋、鋸屑屋、薬局や怪しい薬の店など。街を流れる川、周辺の社寺、峠への道。同じ時間を過ごした旧友たち。そうか森鴎外の生家があるのか。もちろん安野美術館も。そして先に逝った弟へのレクイエムとなる。 ☆
18.06.28幹事長秘録
(毎日新聞出版)
(社会科学312)
★★★
大下英治田中角栄から現在の二階俊博まで。自民党、あるいは非自民連立政権、自社さ政権、などの与党幹事長列伝。時の総理総裁に信頼されつつ、または恐れられつつ、来る選挙を統括する。面倒見の良さが角栄さんの良いところ。剛腕・小沢一郎は常に筋を通していたんだなあ。寝技と言えば、金丸、そして二階。野中は切れ者。やっぱり新聞はしっかり読まないといけないんだなあ。☆
18.06.22隠蔽人類
(光文社)
(文学913)
★★★★
鳥飼否宇「江戸の骨」の話を読んだすぐ後に、また同じようなDNAに絡んだ話。ホモサピエンスと似ているが別の種類の人種が近くにいた、という想定。南米アマゾンの奥地とは言え、ちょっと無理筋がある。主人公と思しき人が次々と殺されていき、謎が深まる。最後はとんでもないスケールに。読んでいて、まあ面白かった。 ☆
18.06.20日本でいちばん大切にしたい会社6
(あさ出版)
(社会科学335)
★★★★
坂本光司小さなキラリと光る会社を紹介するシリーズものの第6巻。読んでいて目頭が熱くなるエピソードばかり。人の優しさが途轍もない力となるんだなあ。人への優しさが溢れる会社は社員にも優しい会社。無理するための余分なコストがかからず業績も良くなるんだ。不安なく余裕を持って、自信を持って業務に専念出来るから。マコセ、但陽信金、コーケン、柿の実、アポロガス、アイワードの6社。 ☆
[ページトップへ]
18.06.17江戸の骨は語る
(岩波書店)
(歴史210)
★★★
篠田謙一東京の切支丹屋敷跡から発掘された人骨の同定する過程を描く。何とちょうど300年前に新井白石と会話したイタリア人宣教師シドッチであることが確定したという話。DNAの解析でイタリアのトスカーナ地方の人であることが分かるのだ。もうすぐネアンデルタール人のことでも、DNAから顔形までが再現できるようになるらしい。PCR法とかDNAの選択的増幅とか、次世代シークエンサによる塩基配列の決定とか、どうしてもイメージできないが。 ☆
18.06.15リベラルアーツの学び
(岩波ジュニア新書871)
(総記002)
★★★
芳沢光雄ジュニア新書で、この書名。とりあえず借りる。著者は何と数学者。数学に絡む話が面白い。数字の出現確率があるという「ベンフォードの法則」って本当なのかな。あみだくじの仕組みやマークシート問題の裏技とか。3桁の掛け算は教えるべし。☆
18.06.12核心の中国
(朝日新書出版)
(社会科学312)
★★★★
朝日新聞中国総局習近平総書記の政治手腕を人事の面からあぶり出す。二期目となる5年に一度の共産党大会の前年からの動きを辿る。人事の階段を上る者、規律違反に問われて失脚する者。反腐敗キャンペーンは凄まじい。メディアやインターネットの規制も。毛沢東と鄧小平に並び立つ「核心」となった習近平の支配はいつまでも続くのだろうか。☆
18.06.07本屋という「物語」を終わらせるわけにはいかない
(筑摩書房)
(総記024)
★★★★
松本大介熱い、とは言え引っ込み思案でコミュニケーションに難のありそうな書店員の心の叫び。途中で「Title」という荻窪の本屋が出てきて、平田オリザの「坂を下りる」本の話も出てきた。人知れず本屋が無くなるとは、取返しの付かない「何か」が無くなること。でも本を買わずに図書館で済ましているのは良いことなのだろうか。「思考の整理学」「殺人犯はそこにいる」「慈雨」「まちの本屋」など。読みたくなりました。 ☆
18.06.03りゅうおうのおしごと!8
(GA文庫)
(文学913)
★★★
白鳥士郎今回のメインは山城桜花戦三番勝負。竜王と弟子たちの物語は少ない目。途中には過去のドラマCDエピソードのノベライズなど。アイドルの話が冗長でつまらなかった。次を期待。
[ページトップへ]
18.05.31歴史の余白
(文春新書1162)
(歴史210)
★★★
浅見雅男副題に「日本の近現代のこぼれ話」とある。歴史のすぐ裏側の事情、特に一風変わった皇族・華族や政治家、軍人の人となりの話が面白い。そして、エピソード豊かな人物が紹介されて、最後に、その孫が誰それなのです、とか。人の世は繋がっていくんだなあ。☆
18.05.26一〇五度
(あすなろ書房)
(文学913)
★★★
佐藤まどか椅子オタクの男女の中学生の物語。親子の葛藤、職人気質、コンペという目標に向かって進む姿。少しだけすれ違いもあるが、全般に一本調子なところが小説としての奥行きは感じられないがとても読み易く仕上がっている。著者はイタリアで活躍するデザイナーなんだ。納得。☆
18.05.24ギロチンハウス
(小学館)
(文学913)
★★★★
大石直紀京都の老舗メーカを舞台にしたビジネスミステリー小説。数年前に問題になったリストラ・追い出し部屋に異動した3人の奮闘と思いきや、最後に二重に種が明かされる仕組み。気軽に一気に読めた。著者名で選んだが間違いはなかった。 ☆
18.05.22下り坂をそろそろと下る
(講談社現代新書2363)
(文学914)
★★★
平田オリザまことに小さな国が衰退期を迎えようとしている。今でも成長戦略と言っているが、人口が減り、かつ高齢化していく社会が分かっているのかなあ。すでに人材難。明るい未来って何なんだろう。文化芸術政策や本物志向がセンスを磨き、自己肯定感と自信を育む。真面目な本です。☆
18.05.20千年の田んぼ
(旬報社)
(産業616)
★★★★
石井里津子山口県萩市の沖に浮かぶ見島。全く知らなかった離島だが、不思議な溜池と区画整理された田んぼ、そして古墳群。なんと7世紀に遡る田んぼが現代まで連綿と続いているのだ。水を確保する工夫や収量を確保する工夫、そうして命をつないできた島の生活に厳然と過疎化・高齢化が忍び寄る。何とか残していけないのかなあ。中学生の夏の課題図書。☆
[ページトップへ]
18.05.18断層の森で見る夢は
(講談社)
(文学913)
★★★
藤本ひとみスーパー中学生による事件もの。主人公の中学生が事件に巻き込まれるシリーズものらしい。伊那谷の奥でのヤクザの動きに戦争中の伏線と高速道路建設問題。ヘリ墜落事故や大雨による大規模な土石流の中でちょっと現実離れした設定ではあるが、動物や昆虫を愛でる学究肌、数学好き、目立ちたがり屋、などの中学生主人公軍団が絡む。内容たっぷりのミステリーでした。☆
18.05.15修羅の都
(文藝春秋)
(文学913)
★★★
伊東潤源頼朝の生涯。鎌倉に武士の府を設立し義経や数多の障害を亡き者にして権力を握る。その後の疑心暗鬼になる過程はいつの時代のどこの為政者も同じ道を辿るかのよう。晩年は本当にボケが高じて統治能力が全く無くなっていたのかなあ。となると最後の拠り所は血筋になるんだなあ。 ☆
18.05.13ナポレオン
(岩波新書1706)
(歴史289)
★★★
杉本淑彦ナポレオンの生い立ちから波乱万丈の一生を追う。読書家、稀代の軍才、そしてアフリカ戦線での苦戦を都合良く覆い隠す才も。敗軍の将がなぜか熱狂で迎えられる不思議。アウステルリッツ、ワーテルロー、トラファルガー、それぞれそういう戦いだったのか。ロシア戦線での退却からあっと言う間の没落と百日天下。本当に歴史の中の一閃という感じがする。 ☆
18.05.11幕末史 かく流れゆく
(中央公論新社)
(歴史210)
★★
中村彰彦黒船来航から西南戦争の終了まで。細かなものも含めて幕末の動きを一冊にまとめた労作だが、あまりにも多くの名前が出てくるので、記録としては良いが、読み物としては平坦な感じでつまらなかった。博多から新大阪への車中で何とか読了。 ☆
18.05.06藤井聡太はAIに勝てるか?
(光文社新書939)
(芸術796)
★★★
松本博文流行りの将棋本。答、勝てない。それでも人間の将棋はとてつもなく面白い。加藤一二三が去り、正にぴったりのタイミングで藤井が現れた。加藤、羽生、そして藤井。ちょうど31歳ずつ離れているとのこと。天才は巡るということか。コンピュータと人間との戦い・電王戦を描きつつ、棋士を自ら辞めた変わり種の永作氏も取り上げられる。将棋の世界は面白い。福岡への機内で読了。 ☆
[ページトップへ]
18.05.03続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう
(文春新書1158)
(歴史281)
★★★★
池田理代子・平田オリザ・彬子女王・大隅良典・永田和宏京都産業大学の講演・対談シリーズ第2弾。自分を大切に。異文化コミュニケーションの醍醐味。発言すること。流されずに自分で考える。どれも納得できる大切なこと。オリザさん話の、「旅行ですか」というたった一つのセリフに込められた意味の深さ、多様性には読んでいて目からウロコ。手元にあってもいい本ですね。 ☆
18.05.02<どんでん返し>の科学史
(中公新書2476)
(自然科学402)
★★★
小山慶太今ではちゃんちゃらオカシイとされる錬金術や天動説、熱素「カロリック」の考え方など。それぞれ原子核が崩壊して別の元素が誕生するし、地動説と言っても宇宙に絶対の座標はなく、素粒子の世界では質量を持たない光子が基礎となっている。そもそも生命の誕生も摩訶不思議。「どんでん返し」はまだまだ途中。 ☆
18.05.01天才棋士加藤一二三 挑み続ける人生
(日本実業出版社)
(芸術796)
★★★
加藤一二三脈絡なくお話するヒフミンの口述筆記本。将棋の対局や棋譜のことに加え、本で読んだことも心に響けば大抵覚えているらしい。凄い。全方位に対して前向き、かつ純真。妬みはなく感謝のみ。神様のような人。そしてもちろん天才。 ☆
18.04.20名画の謎 陰謀の歴史篇
(文春文庫)
(芸術723)
★★★★
中野京子西欧史を縦横に教えてくれる絵画の本。イギリス、フランス、スペイン、それぞれの王朝の歴史。加えてロシアも。市民が主役になってロマン派が絵画を変える。スーラって不遇だったんだ。画家自体、超有名どころをあまり揃えてはいないが、充分に読み応え、見応えあり。 ☆
18.04.12藤田嗣治 手紙の森へ
(集英社新書044V)
(芸術723)
★★★
林洋子残っている膨大は手紙や絵葉書を丹念に追う。暇さえあれば何かを書いていたような人生。挿絵がとても楽しい。戦前のパリから放浪を経て一旦帰国して戦争画に関わり、戦後は日本を飛び出して、アメリカ、そしてフランスへ。日本国籍を捨て、最後にはキリスト教への帰依。太く長い81年の生涯だったんだ。☆
[ページトップへ]
18.04.08クラシック音楽とは何か
(小学館)
(芸術762)
★★★
岡田暁生クラシック音楽の時代変遷、作曲家、演奏者、聴衆や街、様々な角度から読み易くまとまった本。バロックから古典派、そしてロマン派へ。バッハ、モーツァルト、ベートーベンがやっぱり軸になるのだ。フランス革命の前後で音楽家や聴衆の性質が変わるのか。現代においても70〜90年代に19世紀の音楽家の息吹が感じられなくなる変わり目があると。やたらに長い音楽は途中で寝てもいいということは分かった。 ☆
18.04.04「ななつ星」「四季島」「瑞風」ぜんぶ乗ってきた!
(河出書房新社)
(産業686)
★★★
中嶋茂夫トワイライトエクスプレスが無くなって、今はクルーズトレインの時代。海外旅行に行くつもりなら金銭的には問題にならない。その上でおもてなしや上質な空間を考慮すると、これは乗るしかない、という筆者の心意気が伝わってくる。そりゃ、乗りたいけど、やっぱり難しいなあ。 ☆
18.03.27かちがらす
(小学館)
(文学913)
★★★★
植松三十里佐賀鍋島藩の鍋島直正の一代記。サブタイトルが「幕末を読み切った男」。薩摩長州土佐に隠れてはいるが、どうして重要な役回りをしていたのだ。反射炉、鉄の鋳造、大砲の製造、蒸気船の造船、とにかく西欧列強に侵略されないことが究極の目的で、いくら新しい技術を取り入れて軍備を整えても、それを使わないことがさらに大切。ましてや国内で争うことの愚かさを肌感覚で感じ取り中立を貫く。技術立国の礎なのだなあ。「かちがらす」とは「かささぎ」のこと。 ☆
18.03.23りゅうおうのおしごと!7
(GA文庫)
(文学913)
★★★★
白鳥士郎買ってしばらく置いてあった人気シリーズを一気に読んだ。やっぱり面白い。順位戦の悲喜こもごも。世代を超えた戦いとコンピュータソフトとどう向き合うか、という流れも。そして女子小学生の弟子たちや姉弟子の女子中学生に若き高校生の竜王の掛け合い。引退する大物はひふみんと内藤國雄を彷彿とさせる。熱い。
18.03.21有楽斎の戦
(講談社)
(文学913)
★★★★
天野純希織田信長の弟として生を受けた男の生涯。戦国の世、本能寺・関ケ原・大阪の陣という節目を生き続ける。博多の商人・島井宗室、関ヶ原の問題児・小早川秀秋、そして家康の孫・松平忠直。戦しか知らない武骨なもの以外も活躍しようとしていたのだ。少し傍流の登場人物のエピソードを巧みに救い上げた有楽斎との絡み合いが面白い。 ☆
[ページトップへ]
18.03.17幕末雄藩列伝
(角川新書)
(歴史210)
★★★
伊藤潤続けて幕末もの。有名無名の14藩を取り上げる。なので、14回、幕末の動きのおさらい。ペリー来航から幕府が、朝廷が、各藩がどう考えて行動したか。尊王攘夷、公武合体、生麦事件、薩英戦争、安政の大獄、禁門の変、8.18政変、薩長同盟、大政奉還、王政復古、鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争、、、勇躍するもの、付き従うもの、取り残されるもの。最後のいきなり歴史に学べという上から目線のまとめ方はどうかと思うが。☆
18.03.14維新の商人
(毎日新聞出版)
(歴史210)
★★★
古川薫長州、下関の商人、白石正一郎の日記を紐解いて幕末から明治維新にかけての歴史の裏側を読み解いている。十年足らずの期間でどれだけの政争や政変、衝突、戦闘が行われていたことか。そして維新の志士が二十代で散っていく動乱の世。高杉、西郷と親交のあった商人から見た日本。信念を貫く人、権力に阿る人、権力を借る人、動きが直接的でダイナミックだなあ。 ☆
18.03.11編集長の条件
(新潮社)
(文学913)
★★★★
長崎尚志往年の辣腕マンガ雑誌編集長の死を巡り、マンガ雑誌の編集の現実や組織の運営、社員の描写、そして、昭和史に残る事件の新しい解釈を織り交ぜつつストーリーは進行する。どんでん返しに加えて姉との確執など、いろいろな味付けがあって新しい形のミステリーで読み易く最後までハラハラしました。シリーズ3作目らしい。☆
18.03.09死ぬまで好奇心!
(海竜社)
(哲学159)
★★
川北義則とにかく前向きに。短所は見方を変えれば長所でもある。ただし短所と欠陥は全く別物で、欠陥は即直すべし。酒乱、遅刻、威張る、自慢だけ、など。切り抜きとメモ、こういうローテク、手動が良いみたい。乗り換えのヘルシンキで読了。 ☆
18.03.09世界は四大文明でできている
(NHK出版新書530)
(哲学160)
★★★★
橋爪大三郎宗教と文明の関わりをうまく説明していて目からウロコの内容に感激。まず文明とは何か。そしてキリスト教とイスラム教の関係、イエスやムハンマド、アッラーの関係など。さらに儒教、仏教、道教にヒンドゥーとの関係。最終的には日本人の考えてきたことから現在の価値観にまで及ぶ。リベラルアーツの講義録。手元にあってもいい本ですね。 コペンハーゲンのホテルで読了。 ☆
[ページトップへ]
18.03.05等身の棋士
(ミシマ社)
(芸術796)
★★★
北野新太藤井聡太一色の華やかな将棋界の報道の中で、日々繰り広げられている凄惨な戦いの世界。とんでもない才能のぶつかり合い。順位戦の影で繰り広げられる一喜一憂。それでも頂点を極められる一部の棋士は何が違うのだろう。阿久津が中座が今泉が、外国人初の女流棋士が、人生を掛けて将棋に打ち込む姿を捉える。ヘルシンキへの機内で読了。 ☆
18.03.05歌丸ばなし
(ポプラ社)
(芸術779)
★★★★
桂歌丸歌丸さんの高座を書籍化。井戸の茶碗・おすわどん・鍋草履・紙入れ・壺算・つる・竹の水仙・紺屋高尾を収録。枕があってするすると古典の世界へ。江戸の息遣いがリアルに伝わってくる。文字で読んでも面白いがやっぱり噺として聞かないといけない。また落語を聴きに行きたくなりました。ヘルシンキへの機内で読了。 ☆
18.03.03夕暮れもとぼけて見れば朝まだき
(岩波書店)
(芸術772)
★★★
高見のっぽのっぽさんの縦横無尽の自伝風エッセイ。楽天的で真面目でブキッチョな人。親父も芸人、母は相撲茶屋の出身でいわゆる普通の勤め人の常識外にいる人だったみたい。どれだけ変わっていても全く頓着せずに生きていける人たち。「できるかな」で育った者には懐かしい人ですね。 ☆
18.02.28浅田真央私のスケート人生
(新書館)
(芸術784)
浅田真央目標をもつこと、あきらめないこと。スケートに捧げた人生の前半。清々しい。で、この語り口で著者が浅田さんというのがよく分からない。ざっと拾い読み。☆
18.02.27三国志
(サンエイ新書)
(歴史222)
★★
上永哲矢諸葛孔明の名前は知っているが、中身はあまり知らなかった三国志。卑弥呼の時代の魏呉蜀の3国鼎立の時代を活写。それにしても広大は中原をいつ果てるともなく戦乱を続けていたのだなあ。固有名詞が多過ぎて付いていけない。成都の武候祠に行く前にもう少し頭に入れておけば良かった。 ☆
[ページトップへ]
18.02.23きみはぼくの宝物
(幻冬舎文庫)
(文学913)
★★★
木下半太いつものドタバタかと思いきや、「恐怖の」シリーズよりも少し落ち着いた感じ。破天荒で非常識、冒険家のパパの家族を軸に、息子の 主人公とその友達、京都の怪しげな老人が入り混じる。夢に向かってスケールの大きなことに憧れはするが。大阪市内に京都、そして茨 木市内までが出てきて、とても身近に感じた。 ☆
18.02.21世界を変えた暦の歴史
(PHP文庫)
(自然科学449)
★★★★
谷岡一郎太古の人は太陽や月や星を見て、何も教わらずにどうなって正確に記録し予測できるようになったのか。太陽を基準にすると一年は365.25日。月を基準にすると一月は約29.5日。暦を、つまり時間を合わせることが近代化の根本なんだなあ。古代メソポタミアやフェニキアの人達は地球が丸く太陽の周りを回っていたと考えるに足る人たちだったようだ。 ☆
18.02.15ふしぎな総合商社
(講談社+α新書774)
(社会科学335)
★★
小林敬幸「ミサイルからラーメンまで」と言われた総合商社は、それに加えて事業投資型ビジネスを躍進させてバブル以降の勝ち組になっていたのか。手数料ビジネスだけではいまどき危なくて渡れない、ということもあるのだろう。新しいビジネスに商社あり、ということか。ものつくり以外のすべての機能があるみたい。 ☆
18.02.11中学生棋士
(角川新書)
(芸術796)
★★★
谷川浩司藤井聡太現五段の彗星のような登場に呼応した一冊。デビュー以来の29連勝という大記録のすぐあとに上梓された真面目な人の真面目な本。勝負師、芸術家、研究者の融合が大棋士の証。渡辺棋王には辛口のコメント。☆
18.02.09蒼のファンファーレ
(小学館)
(文学913)
★★★★
古内一絵地方競馬所属、青目の取っ付きにくい馬フィッシュアイズと騎乗する女性ジョッキーの成長物語。競馬の世界はあまり分からないが、馬って賢いんだなあ。一つ二つ勝った後、最後にはもう中央競馬のGIが舞台に。現実はもっともっと厳しいのかなあ。☆
[ページトップへ]
18.02.07自動車会社が消える日
(文春新書1147)
(技術537)
★★★
井上久男クルマのスマホ化。ハードよりソフト。商品よりサービス。そして新興の異業種からの参入。100年続いた自動車産業に大革命が起ころうとしている。生き残りを賭けた彼らの戦略を追う。生々しい報告であり、仕事にも関わることなので興味津々でした。☆
18.01.31プラスチックの恋人
(早川書房)
(文学913)
★★★★
山本弘ダッチワイフと言っていたものが人口意識を持ち、かつ、少年少女にまでそのターゲットを広げた近未来を描く。芯のあるSFは久しぶり。まったく自然な性欲と道徳観や美意識、さらには認知や認識の領域の世界に若い女性ジャーナリストが切り込む。恋人とは、愛とは一体なんなんだろうか。☆
18.01.28鳳凰の船
(双葉社)
(文学913)
★★★★
浮穴みみ明治維新の函館が舞台。北海道開拓を進める新政府の官吏やお雇い外国人。そして関係する女たちの生き様。トーマス・ブラキストンやエドウィン・ダンなど函館で活躍した外国人の史実を織り交ぜ、北の大地の厳しい風土の中、しっとりとした中に熱い気持ちが溢れる連作短編。☆
18.01.25マイ・ディア・ポリスマン
(祥伝社)
(文学913)
★★★★
小路幸也久しぶりの小路ワールド。いつもの如く少しずつ関係性が狭まってくる絶妙な加減がよろしい。軽妙な語り口。ちょっとあり得ない設定。さわやかな人たち。稀代の掏摸(スリ)、視覚の超記憶、人を見分ける力と3世代に渡る関係。読み終わって優しい気持ちに成れる物語。 ☆
18.01.19イギリス王家 12の物語
(光文社新書907)
(歴史288)
★★★★
中野京子枕詞「名画で読み解く」ハプスブルグ、ブルボン、ロマノフに続くシリーズもの。絵画は添え物程度になって、中世から近代にかけてのイギリス王家を軸にした歴史のおさらい。ピューリタン革命や名誉革命の顛末が良く分かる。それにしてもいつになっても親子でどうしてそんなにいがみ合っているのか。放蕩の限りを尽くしていても民衆からは王家として崇められるのはどうしてなんだろう。今のエリザベス2世の御代はとんでもなく長いんだなあ。 ☆
[ページトップへ]
18.01.16人間の値打ち
(集英社新書903)
(哲学159)
★★
鎌田實生きる意味とは何か。お金で換算できる値打ちなど一部でしかないはず。分かっているはずのことだが、仕事に追われ、集団の論理に囲まれ、そして五里霧中になってしまう。誰か人のために生きることが出来ればその人の生は輝いていると言えそうだ。「がんばらない」の著者が全力疾走中。 ☆
18.01.13森家の討ち入り
(講談社)
(文学913)
★★★★
諸田玲子津山森家と赤穂浅野家の浅くない関係を紐解く物語。討ち入りした47人の中の3人が森家の家臣だったという。津山の大名の座からお家断絶を免れたとは言え小藩に成り下がってしまった森家家臣とその家族の矜持。歴史の隙間を巧みにあぶり出した好著。☆
18.01.09ニッポン宇宙開発秘史
(NHK出版新書533)
(技術538)
★★★★
的川泰宣チームワークのニッポン、ここにあり。戦後、糸川ロケットから始まった宇宙開発。X線観測やハレー彗星観測、そして「はやぶさ」の劇的な成功まで。有人宇宙飛行は行っていないが限られた予算の中で精一杯、かつ最先端の偉業を次々に成し遂げていたのだ。国際宇宙ステーションの次には何がくるのか。元気になる話でした。 ☆
18.01.07そのバケツでは水がくめない
(祥伝社)
(文学913)
★★★★
飛鳥井千砂アパレル業界で新作ブランドを立ち上げる話だが、女性デザイナーとマーチャンダイザーの友情と心の葛藤を描く。パワハラ・セクハラが一件落着して順風満帆の中にも陰りが。徐々に明らかにされるデザイナーの過去と対処の仕方に苦慮する主人公。悪意があるのかないのか。内容の割にスリリングな展開に一気に読みました。人を信じ信頼し合うことは大切だが、完全に依存してしまうのは破たんにつながるのだ。愛憎とはよく言ったものだ。☆
18.01.03りゅうおうのおしごと!1・2
(GA文庫)
(文学913)
★★★★
白鳥士郎新年からTVアニメがスタートすることになっていて年末年始に軽く読める本作の1巻と2巻を再読。ロリ系でドタバタのところはあるが、主人公・九頭竜八一竜王と弟子、姉弟子、師匠親子を中心に将棋の魅力がたっぷり詰まっていて面白かった。アニメがどうなっているのかも楽しみ。


[ページのトップへ]
[ホームへ]

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください