このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

早春の愛媛2004年「しおかぜとみかん山の風景」その3


しばらく国道11号線を走り、川内インターより松山自動車道に乗る。
自動車道は山沿いを進むためところどころ霧がかかった状態で雨
が激しさを増す。「最悪だな・・・これは」 次の「いよ小松インター」
にて再び国道11号に出る。伊予小松、伊予氷見、石鎚山の各駅を
通過後、しばらくして伊予西条の市街地に到着。そういえば、石鎚
山をバックにもしたかったのだな、と思い出す。当然のごとく、山影
すら見えない状態。気を取り直し、西条の「うちぬき」という名水め
ぐりをする。 うちぬき
どこにでもある地方都市の、あちらこちらに水が湧く名水地。
石鎚山に磨かれた水は澄んでいた。

町中を巡っているうちに雨は小降りになってきた。伊予西条の町を
離れる頃には雨はあがった。「よし!!」次はナビを「菊間駅」に
セットする。伊予小松より国道196号線を今治方面へ。道もすいて
いる。快適なドライブが続き、今治を過ぎると海沿いに出る。

ナビの案内どおりにまずは菊間駅に立ち寄る。まだ曇っているもの
の雨は完全にやんで明るくなってきた。ここから松山方面へは絶景
ポイントがいくつか存在するはず。まずは国道から小道に入ってみ
る。するとみかん山から線路を見渡せるポイントに着く。ちょうど家
から出てきた農家の方に、車を置かせていただくようお願いすると
みかん山へ登ってもよいと許可をいただいた。さらに「みかんはいり
ますか?」とのこと。恐れ多いことだ。ちょうど小腹も減ってきたとこ
ろだったので、ありがたくお願いすると・・・なんと、みかん箱を持って
出てこられた。「これ全部どうぞ。持っていってください。」「・・・」
と言われても、今は車だが、飛行機ではちょっと無理だ。
「あの〜、すみません。飛行機で帰らなくてはならないので、持って
帰れません。少しだけいただきます。」ということで、3個ばかり頂戴
した。どこから来たかも知れないよそ者にここまで親切にしてくれる
のはなんともありがたく、温かみがあるものである。さらにお言葉に
甘えみかん山に登る。「夏みかん」がなっている木があり、それを
前景に置いて撮影。

さらに松山方面へ進む。浅海(あさなみ)を過ぎ、大浦駅が近づいた
ところで、再び予讃線をくぐり小道に入る。ここもみかん山で作業を
していた方に許可を得、三脚を立てる。上り線も下り線もどの角度
で撮っても絵になるのだが、以前見た写真にはなかった電柱が立
っている。これをクリアするにはみかん山の頂上近くまで登るしか
ない。下の方で何本か撮ったあと、前夜の雨でゆるくなった急斜面
を一歩一歩確かめながら登っていく。何度か振り返りながら電柱が
クリアできる高さまで登る。頂上近くまで登った時、とうとう陽が差し
てきた。それまでの海の色がどんどん変わっていく。まさに絶景だ。
沖合いを船が行くのが見える。ぼんやりとかすんだ瀬戸の島々が
「春」を思わせる。息を切らせながら登ってきたので少々暑い。しか
し、思いっきり深呼吸したくなるような風景が広がっていた。何本か
撮影し、一度、車まで戻り、朝コンビニで仕入れておいた昼食をとる。
山の上で食べようかとも思ったが、斜面が急で立っているのが精一
杯。座って食べるスペースなどない。すっかり風景を堪能し、農家の
方にお礼を言うと、次にここからそんなには離れていない大浦駅へ
向かった。


この駅へは入り口が見つけられず、何回か往復したが、おそらく地元
の人しか使わないような小道を入っていくと大浦駅はあった。駅の脇
のスペースに車をとめ、前方に見えるみかん山に向かって歩き出す。
今度は舗装された道だが、それでもかなりの急坂だ。大浦駅が見下
ろせる場所まで来た時、今度は声をあげてしまった。「うお〜〜!!」
こちらも絶景。完全に晴れ渡り、青く輝く海。そこを行き交う船舶。先
程撮影したところから左にカーブしレールは大浦駅へとすべりこむ。
大浦の集落も静かなたたずまいを見せ、風景の中に溶け込んでいる。
完璧な「絶景撮影地」。列車の撮影が終わってもしばらく動くことがで
きなかった。観光名所になっている絶景は全国に多数あるが、今、こ
の場所には自分ひとり。当然誰かが来る気配も無く、今日はだれも来
ないだろう。こんな景色をまさに独り占め。こんな贅沢をしてよいのだ
ろうか・・・。何か妙な疑問がわいてきた。次の列車の時間までは少し
あるので、1回山を下り、大浦駅の車のところまで戻る。大浦駅をスナ
ップ撮影した後、車をみかん山のふもとまで移動させる。まもなく普通
列車がやってくる時間だ。13:32。しかし、その時刻よりもだいぶ早い
時間に列車はやって来た。早く出発するはずはない、ということは、
交換か! 程なく特急「しおかぜ」が通過していく。予想していないこと
だっただけにとてもラッキーな気分になった。時刻表はよく見ておかな
いと(汗)。

今日は4:30分発の便で帰らなければならない。そのためレンタカーも
3:00ごろまでには返却ということになっていた。夕暮れ時はまた違っ
た景観になるのだろうが、そろそろ戻らなければならない。さらに松山
方面へ行き、堀江〜光洋台のポイントに立ち寄る。ここまで来れば松
山まではそう離れておらず、時間まで撮影することができる。海沿いで
釣りをしている人がいる。そして、お遍路さんが歩いていく姿が見える。
頭を出したばかりのつくしを積みながら歩いている地元の方と言葉を
交わしながら列車を待つ。2:40分の列車を見送るとレンタカーを一路
松山空港へ走らせた。
また、秋になったら来たいものだ。今度は一面のみかんや伊予カンの
なる中を走る列車を見に。 (完)

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