このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

「やはり広い」北海道2004年夏(4)


7時過ぎには出発。連日の強行軍のため、体もかなり疲れているのがわかる。
最終日の今日は日高本線方面へ向かう。道央道から道東道、道東道は途中
から無料になる。北海道といえどもさすがに高速を使っての移動は速い。鵡川
で降りて国道へ。まずは海の俯瞰ポイントを探し厚賀〜大狩部の間をうろつく
が、勝手に前に見える丘の上だろうと小道に入る。そこは放牧地のようで、
車をとめ、草の上を歩いて行くが、周りの草の背丈が高く線路が見える位置か
らではどうやっても海が入らない。結局海はあきらめ来る列車を撮る。
少し戻って門別灯台の脇のポイントへ行ってみる。ここは海をバックに絶景が
広がる撮影地だった。30分ほど待ち上り列車を撮影。ほかにも海を入れられる
撮影地はあるようだが、次に撮りたかったのは馬だ。

ここ日高は言わずと知れたサラブレッドの産出地。沿線には多数の牧場が
広がる。静内を過ぎしばらく行くと、線路すぐ脇に牧場があり馬が放牧されて
いた。列車が来るまでまだしばらく時間があるのでここで先ほど仕入れておい
た「ジンギスカン弁当」を馬を見ながら食べる。馬たちは放牧地の真ん中で
ゆったりとした時間をすごしている。弁当を食べると構図を決めようと牧場の
道を線路方向にゆっくりと歩いて行く。するとなんと馬たちもついてくるでは
ないか。「真ん中にいてくれ!!」と言ったところで馬に通じるわけがない。
なんとも人懐こい馬たちだ。もしかしたら一度車に戻ればまた真ん中に戻って
くれるかも・・・。しかし、そんな期待は見事に裏切られ馬たちはそこから動こう
としなかった。もう1箇所、日高三石を過ぎたところでも放牧されていれば、馬
と列車を撮れることを知っていたので再び20kmほど移動。思ったよりも早く
着き、途中で列車を抜かしたようだ。同じ列車を撮ることができた。




いよいよこの旅も終わりに近づいてきた。このまま戻って空港近くの千歳線で
も撮るか。それともせっかくここまで来たのだからあと20kmほど進めば東町
と日高幌別間のこの時期にしか見ることのできない日高昆布を浜に干してあ
る風景を撮るか。少し考えたあげくにさらに進むことにする。東町はなぜか
メルヘンチックな街並み。さらにしばらく進み「白泉」という集落に出る。空き地
に車をとめ、線路に出てみる。一面とはいかないが昆布が干してある。本当に
線路のすぐ脇に干してある昆布。よいポイントはないか線路の上を歩いていく。
この場所では線路上が唯一歩ける場所なのだ。昆布が一番多く干してある
場所でしばらくたっていると地元の昆布漁師の方が通る。軽く会釈し、近づいて
いくととても気さくに話してくださった。たずねてみるとやはり時々写真を撮りに
来る人がいるようだ。昆布の話などをしていると、私のつまらない質問にも
とても親切に答えてくださる。この干した昆布が完全に乾くと、まずは等級
A〜Cに分けるそうだ。そして、それを決められた長さにそろえて切り、出荷す
る。すべて手作業の工程。作業小屋では奥様が昆布を切りそろえている作業
中だった。ただの写真を撮りにきた気ままな旅人がだいぶお仕事の邪魔をし
てしまったのだが、いやな顔ひとつせずに相手をしてくださる。甘えついでに
車をお宅の前に置かせていただけるかをたずねると、「どこでも置いてくださ
い。」とのこと。まったくありがたいことだ。車のところまで歩いて行き、車を
移動。車内に置いてあった「鉄道の旅」などの雑誌をお見せすると、「あ、これ
は○○のじいちゃんだ。」というお話とか、白い旗が立っていると漁に出てよ
い、などのことを教わった。奥さんが家の中からビニール袋を持ってきて、干し
てあった昆布を詰め始めた。「これ、持っていって下さい。」
「え?!」 するとご主人が「なーんもねぇから持っていって。」
「でもこれ日高昆布ですよ!そんなもらうわけにはいきません。」
「なーんも。昆布ならいくらでもあっから。」
列車が来る時間が近づいてきたので三脚を立て準備をする。するとさらに
缶コーヒーを持ってきて、「これ飲んで。」と。もうただただ恐縮するだけであ
った。日高に暮らす人々の暖かさに触れながら列車を撮る。列車を見送ると
丁重にお礼を言い、日高を後にした。


途中来るときには見つけられなかったポイントを見つけたが、列車までには
かなり時間がありあきらめて空港方面に戻る。鵡川から日高自動車道に乗ろ
うと右折したが、さすがに疲れもかなりたまっていて少し休憩。今日の飛行機
は最終便。9:50発だ。レンタカーも8:30までに返せばよい。ゆっくり休みな
がら日高自動車道を途中で降り一般道を走る。途中コンビニに寄りまた休憩。
休み休み走らなければならないほど疲れていた。ゆっくり走ってもまだまだ
時間にはならない。空港まであと数キロまで来たとき、なんとなく右折してみ
る。この先に千歳線が走っていることは知っていた。千歳線の踏切近くで車を
とめ、ゆっくりと休む。空港近くとはいっても周りには森が広がる大自然の中。
あたりも暗くなってきた。北海道は広い。とにかく広い。いいかげんそのことを
学習しなければならないなぁ。そんなことを考えながらゆっくりと空港へと向
かった。

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