2015年3月21日(土) JR最高峰をめぐる旅(1)
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これまでの旅で、今シーズンの青春18きっぷの残りは2日分となりました。
あと2日分、できればどちらも日帰りで、かつ今後使うであろう「休日おでかけパス」や「週末パス」の範囲外の部分を塗りつぶしておこう、という考えで計画を立てました。
今回のスタート地点は、戸塚駅。
何か、絵になりそうな駅前のアングルが見つからなかったので、とりあえず壁にあった歌川広重作の「東海道五十三次 戸塚宿」の写真を撮っておきました。
今後、西方への出発や帰着の際に何度も使用するであろう駅です。
青春18きっぷ4日目。
これまでのような中身の濃い旅を5日間体験できて、料金はたったの11,850円なのだから、完乗を目指す者としては本当に有難い切符です。
もちろん、今回の旅も様々な路線に乗る予定です。
まずは5時58分発、東海道線の普通列車沼津行きに乗車します。
土曜朝早くの列車にも関わらず、車内は満員状態。
いつもながら、大都会の人の多さにびっくりしてしまいますね。
30分程乗車して、途中の国府津駅で下車します。
この駅で下車する目的はもちろん、御殿場線の乗車。
そういや、1ヶ月前のJR完乗の旅初日、鶴見線の海芝浦駅に行った時にこの駅のことを思い出したんだっけ。( 2015年2月21日の旅日記第2話 を参照)
国府津駅の東海道線ホーム。
・・・記憶にあったほど、「ホーム眼前の一面に海!」って程ではないな。
一応、家の間からチラリと見える海。
ま、海に近いのは確か。
さて、今日は国府津駅で海を見る為に、乗り換え時間を多く確保しました。
せっかくなので、改札を出て海を見に行くとします。
国府津駅前。
今日は早朝雨が降っていましたが、この時間になると、ほとんど上がっていました。
予報では曇りとのことで、何とか傘を持ち歩かなくても良さそうですね。
ただ、富士山などの山の景色は望めないだろうなぁ・・・。
駅前通りから海の方へと降りる道。
上を走る西湘バイパスの橋脚をくぐり、砂浜に出ると・・・
一面の海。
国府津駅と海、という私のイメージは誤りではありませんでしたね。
湯河原・熱海方面の海を臨みます。
この日は朝から海釣りをする人達が何人も見受けられました。
私は釣りをしない人間ですが、この景色を見ながら趣味に明け暮れる楽しさというのも、分かる気はします。
茅ヶ崎・平塚方面。
雨が止み、雲間から青空が見える天候になってきました。
今日はこの海抜0メートルから、一気に山奥まで列車で巡る予定です。
一通り海を堪能したところで、次の列車に乗る為に国府津駅に戻ります。
ああ、そうそう。御殿場線はICカード類が一切使えないんだったね。
それを知らずに、以前横浜方面からSuicaで入場してしまい、改札を出る行列に並んで10分くらい待った経験がありました。
今回は18きっぷ使用なので、全く関係ないんですけどね。
2番線:7時6分発沼津行き、3番線:7時7分発沼津行き。
同じ沼津行き、どっちやねん。とツッコミたくなる駅表示。
ここは当然、3番線にて乗車。
御殿場線沼津行きの列車。
そもそも、御殿場線は開業当時は東海道本線の一部だったのですが、1934年に熱海-函南間に丹那トンネルが完成。
より速くかつ電化されている熱海経由の路線が東海道本線となり、箱根の山を迂回して時間のかかる非電化路線だったこちら側が「御殿場線」と名を変えて、東海道本線から切り離されたという経緯があります。
さらに、1943年の戦時中の金属排出の為に単線化させられ今に至るという、時代の流れに翻弄されてきた路線でもあります。
御殿場線はJR東海の管轄である為、JR東日本の週末パス等は使えず、手頃に完乗しようと思うと18きっぷの使用が便利ということで、今回の乗車となりました。
途中の御殿場駅。
東海道本線の駅だった頃には賑わっていたと思われますが、現在では地方路線としての静かな活躍の様相を呈しています。
御殿場駅から見る、箱根の山方面。
本来なら、ここへ来る途中で富士山も綺麗に大きく見えるのでしょうけど、あいにくの天候により、ほとんど景色を堪能できませんでした。
まぁ、天候ばかりは仕方ない。
今後、天気が良いときにまた改めて見に来るとしよう。
国府津駅を出て1時間半後、終点の沼津駅に到着。
単に沼津へ来るだけなら、朝イチで乗った電車に乗り続けていれば7時半には着いていたのですが、それよりも1時間以上かかっての到着。
それでも、御殿場線を完乗できたのは大きいです。
駅のホームにある立ち食いそば屋。
電車の待ち時間などに急いで食べる立ち食いそば、風情がありますねぇ。
今日はまだ朝ごはんを食べて間もないので、食事は控えておきます。
ここ沼津駅からは東海道本線に乗り換え、富士駅で下車します。
富士駅到着。
ここからは、山奥を走り抜ける身延線へと乗り換えます。
富士駅始発、甲府駅行きの身延線。
東海道本線を離れて南アルプスの山々を抜け、中央本線の甲府駅へ到るという、どこか飯田線と状況が似ている路線でもあります。
ちなみに、飯田線は天竜川と並行していましたが、身延線は富士川と並行しています。
「山」と「川」が織り成す風景、期待できそうですね。
身延線始発ということで、どん詰まり撮影。
さて、身延線に乗車して出発を待っていたところ、この電車に接続する別の電車が遅延しているとのことで、出発は8分遅れになるとのこと。
気になって本日の行程表を見直しましたが、次の甲府での乗り換えはだいぶ余裕があるので、恐らく計画に影響は無いでしょう。
電車は8分後、国府津駅を出発。
身延線の車内はこれまた満員状態で、特に小学生と思しき集団が多く乗車していました。
この子達も朝っぱらから秘境めぐりをするのだろうか?と考えましたが、途中の富士宮駅で大多数が降りていきました。
おお、これで車内が静かになったし、椅子にも楽々座れるようになった。
ここから2時間強、たっぷりと身延線を堪能するとしよう。
電車は富士駅を出てしばらくは平地を走っていましたが、富士宮を出た辺りから次第に山登りを始めました。
いよいよ山中に突入。
いいね、そうこなくてはね。
次第に姿を現してきた富士川。
車窓からも富士川の流れがしっかりと確認できます。
いや〜、やっぱりこういう景色が手軽に楽しめるのが電車の旅の醍醐味ですよね。
山奥を流れる富士川。
ひたすら富士川。
富士川とともに山めぐりが続きます。
今日の、この曇って鬱蒼としている風景も、味があって良いですね。
前回の飯田線は完乗に最速でも6時間以上かかる一方、身延線は3時間弱で都心からも近いし、手軽に山川の風景を堪能したい時には、いい路線ですね。
富士川を一時離れ、時折見える田園風景。
そのうち、古風な建物(でも造りは新しい感じ)の建ち並ぶ街が見えてきました。
身延線の名前にもなっている、身延駅。
何でも、20年ほど前の区画整理により、先ほどの風景のような町並みが出来上がったのだとか。
ここも、ぜひ下車してのんびりと過ごしたりしたいですね。
身延駅を出た後も、電車は山奥を進み続けます。
終着駅の甲府に到着。
身延線は18きっぷ以外の手段だとこれだけ割安で乗車できないので、ぜひ今のうちに乗っておきたい路線でした。
景色も、充分に楽しめましたしね。
甲府駅のホーム内にあった「かふふ来の鐘」
どうやら「こうふく(甲府、幸福)」と掛けているらしく、鐘自体は昔から(明治時代から)甲府駅内にあるのだとか。
こういうのって、それらしく説明されると由緒正しい感じがしますが、要はダジャレですよね。何で鐘なのかよくわからないし。
まぁ、私自身は理系人間ですし、その辺のわびさびとかは分かりませけどね。
ちなみに、甲府駅北口前では何だか祭りのように屋台が並んでいました。
バンド演奏も複数箇所でやっていたようだし、何かのイベントでもあったのでしょうか?
確か、北陸新幹線は甲府駅とは無関係だったはずだし。
甲府駅南口側。
こちらは特にイベントのような雰囲気はなく、日常的な様子でした。
駅の入り口から歩いて1分の所にある、「武田信玄公像」。
甲斐の国と言えば、このお方がおられましたなぁ。
立てば3メートルはあろうかという、巨像。
鎧兜や顔の表情まで細かく造られており、その威風堂々たる様を見事に再現しています。
某観光サイトによると、「待ち合わせスポットとして有名」なんだとか。
・・・まぁ、目印としては最適だけど、この前で待つって落ち着かねぇな。
ここ甲府の街は、宝石でも有名らしいですね。
他にも、名物の「ほうとう」が有名だったりと、色々と観光要素はありそうです。
今後も中央線のこの辺りは何度か立ち寄るので、もし余裕があれば特に「ほうとう」は味わってみたいものですね。
甲府駅の様子も一通り探ったので、この辺で次の列車に乗ることにします。
中央本線に乗り、終点の小淵沢まで行きます。
沿線の果樹園(多分)の様子。
完乗の旅を始めてから中央本線を使うことが多くなったけど、こちらも海側の東海道本線とは違った良さがありますね。
46分後、小淵沢駅に到着。
ここからは、本日のメインイベントである小海線乗車です。
小海線のホーム。
小海線の小淵沢駅名標。
前回(2015年3月8日)にも見た駅名標だけど、やたらコミカルな絵は何なのだろう?
小海線の車両。
調べてみたところ、世界初のハイブリッド鉄道車両なのだそうです。
その世界初のハイブリッド鉄道車両、名前は「こうみ」くん。
・・・まぁ、分かり易いことは重要だよ、うん。
他にも、萌えキャラ?らしき女の子もイメージキャラクターとして描かれていました。
小海線だから車両の名前が「こうみ」なら、このキャラの名前は何だろう?
公式サイト(http://www.jreast.co.jp/NAGANO/wakuwaku/index.html)を調べてみると・・・
「ぶりっと」ちゃん だそうです。
・・・
・・・
・・・ああ、「ハイブリッド」だから「ぶりっと」なのか。
架空のキャラなんだけど、この名前の子どもがいたら、学校でいじめられて大変だろうなぁ。
これらのキャラクターは、車内の座席にも登場しています。
この小海線、雰囲気のゆるさに反して、見られる景色は素晴らしいんですけどね。
ちなみに、ここ最近では非公認キャラクターである「ハイぶりっ子ちゃん」なるものも存在するのだとか。
画像を検索してみると・・・
もうこうなると、小海線関係ねぇな。
確かに「ゆるい」キャラではあるけれど・・・。
とにかく、色々と盛り上がりを見せる小海線。
何故こうも注目されるのか、その理由は後で分かります。
ホーム内にある小屋の看板。
小淵沢の名物は駅弁です
ほう、それはぜひ買ってみなければ!と、窓口に回ってみると・・・
冬季休業中でした。
一応、改札口まで行けば買えるようですが、時間も無いことですし、スルーします。
実は、駅弁に関してはこの後でアテがあるので、そちらに期待します。
とにかく、ゆるい雰囲気はさておいて、小海線乗車開始。
駅を出発してすぐに、どんどんと山道を登っていきます。
小淵沢駅も標高881mと、なかなかの高所にあるのですが、それよりもさらに高所を目指します。
高原であるこの辺りは、別荘と思われる建物が多く点在しています。
そういえば、立っている看板が「別荘の不動産」関係のものが多いです。
・・・まぁ、私には縁の無い世界ですね。
その後、列車は山中を進みます。
この辺りにはまだ雪が残っています。
今日は平地での最高気温が15度くらいあるらしいのに、一方の山奥ではまだ雪が残っているんですね。
山奥を抜け、一気に視界が開けてきました。
見るからに「山の頂上」という感じの景色です。
それもそのはず、これから通る場所はJR線の最高地点である場所です。
車内のアナウンスでも、これから最高地点を通る事を事細かに説明してくれます。
そして、アナウンスが終わるくらいの頃に、列車はJR線最高地点を通過。
動画からの切り抜きなので解像度がイマイチですが、一応は瞬間をとらえました。
左側に立っているのが、最高地点を示す標識。
場所は清里駅と野辺山駅の間で、標高1,375m。
今日は、朝に国府津駅で海を間近で見てきた訳だから、そこから鉄道だけで1,375mも登ってきた訳か。
手軽に登山が楽しめる鉄道の旅って、改めて良いもんだなぁ。
ここは、ぜひ途中下車して再訪しなければならない場所ですね。
列車はその後、JR線で最も高い所にある駅の野辺山に到着。
野辺山駅名標と、最高駅であることを示す標識。
標高は1,345.67mとのこと・・・ですが、コンマ67って誤差の範囲じゃん。
単に「1-34567」って覚えやすい表記にしたかっただけでは・・・?
ちなみに、JR線で最も低い所にある駅は、昨年3月までは青函トンネル内の吉野海底駅(海抜-149.7m)でしたが、同駅の廃止にともない、営業している駅としては東京駅の京葉線ホーム(海抜-29.19m)とのこと。
京葉線ホームといえば、完乗の旅の初日に早速訪れていましたね。
一応、これでJR線の最高駅と最低駅を制したことになるのか。やけにあっさり。
さて、JR最高峰を制するというメインイベントも終わったことだし、あとは帰路について流し運転だな、と思っていましたが、そうでもありませんでした。
やがて見えてきた、山中を流れる川。
あれは何という川なのだろう?と思っていたら、
千曲川 と、ご丁寧に土嚢で書いてくれてました。
位置的に、電車で見ている人にわざわざ教えてくれているんでしょうかね。
ちなみに、この千曲川(ちくまがわ)、一般には「信濃川」と呼ばれて日本で最も長い川として有名ですが、新潟県流域では「信濃川」、長野県流域では「千曲川」と呼ぶのだそうです。初めて知った・・・。
この千曲川こと信濃川、思っていたよりも豪快な流れを見せてくれます。
線路の直ぐ近くを勢い良く流れる川。
線路の下を、右へ左へ何回も交差する川。
段差があって、轟々と音を立てて流れる川。
列車とともにひたすら山中を下る川。
いやぁ、これは思ったよりも素晴らしい川の光景が楽しめました。
JR最高峰にある小海線、川も堪能できる是非お勧めの路線です。
列車はその後も、川と並行したり、高原ののどかな風景の中を進んだりと、全く飽きさせない展開でした。
全国を巡る旅、こういう予想していなかった景色が見られるのも、魅力の一つですね。
途中駅、新幹線停車駅である佐久平。
東京方面から、手っ取り早く小海線に乗ろうと思えば、この佐久平まで新幹線で来てから乗り換えることもできます。
逆に言えば、ここから東京方面へ1時間かそこらで帰ることもできるのか。
今後、週末パス使用時などには便利かもしれませんね。
そうこうしているうちに、列車は終点の小諸駅に到着しました。
今日は、身延線・小海線と、大きなイベントを終えたので、ここから帰路に着くとします。
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