このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 サイドワーク (旧 東海型)
80系
西湘車輌は、本来東海型マスクのメーカーですが、実は、オーナーが秘匿している、ある製作部門では、気分転換に違う
マスクの電車も作っています。このHPで紹介している伊豆急もそうですし、 ”競作企画” のページでも記載しているように
旧型国電も製作しています。
実は、80系は、東海型マスクの一方で、製作意欲が持続していたシリーズです。子供時代の思い出といえば、ほとんどの
図鑑や絵本で、電車といえば、80系の”湘南型マスク”が描かれていました。
また学生時代には、初期製造車輌を含む6輌編成の80系が、広島を中心に山陽路を快走していたシーンが強く印象に残っ
ています。
中でも、80系第1次型のクハ86は、いわゆる湘南型ではなく、半流線型旧型国電の車体寸法でデザインされたマスクを
もち、ポピュラーな湘南型マスクと異なるがゆえか、昔から作ってみようと思っていました。
80系電車は、さすがに最近はキットも市場にないようですが、オークションでは、時々見られる形式です。
一方、ペーパーキットは、といえば、小高模型が、今も80系300番台(シルヘッダーのなくなった最終製造ロット)をリリー
スしていますが、屋根板等、一部のパーツが欠品状態となってきた、とのうわさも聞かれます。
その他のペーパー製80系キット(?)といえば、歌川模型の型紙があります。厚さ0.5mm以上もあろうかと思われる
ボール紙に前面、側面、妻面の図を印刷し、これを切り抜き、木製屋根と木製の床板を組み合わせ、適宜ディテールを
すけると完成となる、というものです。プロトタイプは、1次および2次型(側面窓配置は同一)であり、いわゆる湘南型前面
と、第1次の3枚ガラスを擁する半流線型のような前面の図がそれぞれ存在します。
ちなみに、歌川模型の80系の型紙は、ほかに、中間車(モハ、サハ)と、クモユニ81があります。
で、以下の今回製造したクハ86は、その歌川模型の型紙から制作しました。
一方、上の画像で写っている、クモユニは、なぜかつぼみ堂の生地完成をオークションでゲットし、完成させています・・・
80系は、昭和24年から製造された、わが国初の長距離
運用向け車輌。第2次世界大戦前から製造されていた国電をベースにしながら、電車としての駆動系(つりかけモーターによる駆動システム)は、技術的に完成の域に達した。
また、車体は、新製車輌として中間電動車を設定、先頭車は制御車のみとなり、編成を前提とした車輌構成となった。
最終製造ロットでは、内外装の設計も大幅に変わり、技術的には、後の新性能電車のさきがけ的なモデルである、といえる。
このように、わが国の電車の歴史上、エポックメイキングな80系は、やはり動態保存の声が上がり、当社は、各製造時期の車輌を含む数編成のレストアを受注し、イベントやその他、実際の営業運転用車輌としてリースすることとした。
80系が画期的であった他の特徴として、荷物電車をその
シリーズに組み込んで製造していることがある。
80系は、東海道本線の客車による長距離列車を置き換える
べく製造されたが、客車列車で併結されていた郵便・荷物車をも置き換えるため、専用の車輌を新造することとなった。
これにより、湘南電車には、荷物電車が併結されるようになり、これは、後の153系、113系の運用にあわせた、
クモユニ74の投入へと引き継がれていく。
晩年のクモユニ81は、飯田線で、クモニ83 100代として運用されていたが、今回の当社でのレストアにあわせ、
飯田線で廃車となったクモニ83 100を1輌入手し、クモユニ81(湘南色)として復活させた。
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昭和24年に登場した80系のクハは、旧型国電の半流線
型の前面寸法を用いた3枚窓、非貫通のデザインであった。
しかし、その印象が旧型国電のイメージを反映したものであ
ったことから、新型長距離電車のイメージアップのため、現
在よく知られる2枚窓の”湘南型”マスクが急ぎデザインされた
といわれる。湘南型マスクの登場は昭和25年以降である。
車体は、シルヘッダーも残り、窓割りは長距離仕様から、
客車のそれを踏襲したものであった。
東海道での活躍後、新性能電車の配備に伴い、首都圏から
中京、上信越、山陽へ転属していったが、それらの転属先で、
窓サッシ、客扉、前面窓のHゴム支持化などの更新がなされ
た。
ということで80系の最初に、クハ86の第1次車を、歌川の型紙から作りました。
上で述べたとおり、型紙は側面、前面、妻面の図が印刷されています。しかし、当社は、可能であれば、車体の重心を下げ
るため、ペーパールーフ化を目指すことから、次のような作業を行いました。
型紙のコピーをとり、別のアート紙(今回は0.4mm厚)に、側面−屋根を合わせた展開幅を踏まえ、先のコピーされた
側面を貼り付ける。また、前面、妻面のコピーもアート紙に合わせて貼り付ける。

アート紙に貼り付けたコピーの図に沿って窓、ドア、外周を切り抜き、それを組み立てる。
ということで、アート紙に貼り付けた型紙のコピーは、結局窓抜き後も、剥がすことなく、そのまま組み立てていきます。
すると、車体の肉厚は増すばかりですから、アート紙は、さらに薄いものが良いと思います。
その他は、ペーパーキットの組立てに対して、大きな違いはありません。
なお、台車、床下機器は、日光モデルを使用しています。
型紙は、車体更新後をプロトタイプとしたようで、前面は、H
ゴム支持の窓サイズとなっています。そこで模型も、窓の
アルミサッシ化や、客扉のHゴム支持形態に製作しました。
妻面も、更新後とすると、貫通路両脇の窓もアルミサッシ化
され、また元の窓より大きくなっているらしいのですが、見や
すい写真等がなかったことから、思い切って窓自体を省略
してしまいました。実際は300番台の妻面などが参考となる
のでしょうか?
その他、ベンチレータの配置等、種々の写真を見ても詳しい
ところはわからず、いつもの”フリーランス”と、ご容赦下さい。
80系をいよいよ製作することになると、やはりクモユニ81もラインアップに加えようと考えました。
しかし、この車体、上記のとおり、クモニ83 100として飯田線で活躍したスカ色のものがあまりに有名です。また、大糸
線に行ったスカイブルー1色もよく知られています。となるとへそ曲がりの当社オーナーは、即湘南色に塗ることを考え
ました。前面がHゴム化されるなど更新された湘南色のクモユニ81は、都落ち後、山陽ローカルで活躍した時代もあった
ようで、一応、この時代のイメージをプロトタイプとすることにしました。
模型は、先に述べている、歌川模型の型紙を使用する予定でしたが、湘南型マスクの立体イメージを見てみたく、
オークションで80系のキットなどを物色していたところ、つぼみ堂のクモユニ81生地完成車体を入手でき、とりあえず、
これを塗装し完成させることとしました。
手すり等は取り付け穴があけられていたことから、できるだけそれにあわせて取り付けました。それ以外は、特別な
ディテーリングを行っていません。動力の搭載は迷いましたが、今回は省略。床下機器は日光モデルを採用、パンタは
エンドウのPS13を取り付けています。
実は80系も、学生時代からターゲットとしていましたが、先
の競作企画で旧型国電の資料を見る機会が増え、その
最中で80系の資料を見たことで、ようやく最初の2輌の竣工
まで至りました。
作りたかった80系は、まさに今回のクハ86 1次型と湘南
色のクモユニ81だったので、オーナーは満足しています。

もっとも、これらだけでは客扱いもできないことから、4ないし
6両編成となるよう、他の車輌も増やしていく予定です。
どなたか、からもよく言われますが、確かに、旧型国電は、
1輌だけ竣工させても違和感がないのが不思議です。特に
80系は編成を前提とした形式なのですが・・・・・・・

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