このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 八.2等車

 ’58-10改正までは普通2等車、それ以降は2等自由車として運用されていた車両であり、大きく分けて固定座席車と転換座席車の二つに分類できる。当時東海道本線の急行で主に運用されていた形式のうち、前者(固定)はオロ36・40・オロフ33、後者(転換)はオロ35・42・オロフ32である。この他に、オロ30・スロ33・スロフ30(固定)、オロ31・スロ33・34・オロ41・マロ38・スロフ31(転換)といった車両が存在した。

 オロ35
 戦前に70両製造された代表的2等車の一つで、旧番号はスロ30850である。転換式座席らしい700mm窓がずらっと並んだ外観の車両で台車はTR23、リベットに関してはある車両とない車両がある。具体的にどこで線引きが出来るか、と言う問題だが、1〜21がリベット有、22〜70がリベット無、と思われる。製造年と他形式からの推測なので断定は出来ないが、恐らく間違いないと思われる。少なくとも、16以前は有り、48以降は無し、これは確実に言えると思われる。ちなみに、5・17・38・39・63は、戦災で廃車となっている。
 製品だが、ハセガワの客車セットに含まれているものがリベット有のスタイル、タヴァサからコンバージョンキットで発売されているもの(製品名 「スロ43(オロ35近代化改造車)」)がリベット無しのスタイル、となっている。実車は戦後の比較的早い時期(’55〜’56)に7・60の2両を除く車両に近代化工事が成されており、時代考証的にはタヴァサのキットのほうがあっている、ということになる。ハセガワの製品を使う場合は、窓枠に銀色を差し、ドアをHゴム支持窓のタイプ(タヴァサ PN-507 客車用Hゴム窓 等)に換装する事をお勧めする。ただ、銀を差そうとすると窓セルをはがさなくてはならなく、少々面倒くさい。また、タヴァサのキットに含まれているドアは、窓が一回り小さいタイプ(PN-506 客車用標準型Hゴム窓)のようで、この時代PN-507タイプのドアを使った方がいいのではないか、と思う。

 オロ36
 2軸ボギー車としてはじめての広窓、それも当時としては最大の1300mm巾の窓を持った固定式座席2等車で、38両が製造された。このうち、34・35の2両は戦災により廃車となっている。台車はTR23。
 全車、リベット無しの全溶接車体を持ち、車両による個体差はない。製品も、ハセガワから完成品が、KSモデルからキットが、それぞれ発売されており特に困らない。ただ、残念ながらこの車両は、この時代の東海道急行にはあまり頻繁には用いられなかったようだ。

 オロ40
 オロ35とならんでこの時代の代表的2等車の一つ。オロ35と違い、こちらは固定式座席を持ち、外観も同じ固定式座席のオロ36と酷似している。ただ、窓配置は同じだが、窓巾がオロ36よりも100mm狭い1200mmとなっている。戦前に1〜37の37両が製造され、2・6・16・18・23・29の6両を失った。戦後に38〜82・98〜102の50両が製造され、そのうちの98〜102はジュラルミン製車体として落成するも、車体の腐食が激しく、はやくも’54(S29)にオロ42に改造されてしまっている。
 形態的には大きく分けて3タイプに分ける事が出来る。まず、戦前製の車両のうち、1〜23が、長柱構造(いわゆる張上げ屋根)、24〜37が一般的な折妻車、そして、戦後製の38〜82・98〜102がいわゆる半切妻構造、となっている。その中で、張上げ屋根車の中で13だけが雨樋が出入り口上部にしかない変形車となっている。そして、戦後製の車両は更に3タイプに分ける事ができ、38〜67が屋根が布張り、68〜82が、同鋼鈑屋根、そしてジュラルミン製の車体を持つ98〜102は、屋根が布張りで車体にリベットが、しかも、ご丁寧に縦にまで走っている。ちなみに、他のタイプの車両にはリベットはついていない。ちなみに、台車は戦前製がTR23、戦後製がTR34…のはずなのだが、オロ40 51・100の写真を見ると、明らかにTR23を履いていた。ただ、76・81は、TR34(とおぼしき台車)を履いていたので、布張り屋根を持つ車両はTR23なのかも知れない。
 製品化の状況だが、タヴァサとKSモデルからそれぞれ発売されている。どちらもコンバージョンキットで、リベットはないので24〜37・38〜82のタイプには組む事が出来る。ただ、正直なところ、1〜23の張上げ屋根として組もうとした場合、実車は雨樋が細いので、そのまま組んでしまうと雨樋が太く、いまいちしっくり来ない。プラキットなら屋根と接着してしまった後に雨樋を削って付けなおす、という芸当が出来るが、相手が金属キットならなかなかそういうわけにもいかない。オロ40がまだ発売されていなかった時に、ハセガワのオロ36を用いて、「張上げ屋根と半切妻のオロ40」をでっち上げた事はある。窓の巾をいじっていなかったのであくまでオロ40タイプではあるが、雰囲気は出せた。まぁ、参考程度の戯れ言である。

 オロ42
 先述した通り、オロ40 98〜102は外板に用いられたジュラルミンの腐食が激しく、この台枠を用いて普通2等車の整備のモデルかつ軽量客車の試作として製造された車両である。98〜102のそれぞれが1〜5に生まれ変わった。形態的にも、ノーシル・ノーヘッダーと言うなかなか「そそる」特異な形態をしている。台車はスハ42から接収したTR40を改良したTR40Cを履いている。
 モデルではBONA FIDE PROJECTがエッチングキットを出している。しかし、この製品が発売されたときにはかなり驚いたが、今のNゲージ界の状況を見ているとまったく不思議には感じないのは、いいことなのか、悪いことなのか…。

 オロフ32
 オロ35を緩急車にした形式であり、製造時はオロフ31050を名のっていた。11両製造されたが、4・10の2両を戦災で失い、残る9両で戦後を迎えた。1〜5がリベットあり、6〜11がリベット無しとなっている。台車はTR23。オロフ33とともに’58-10改正まで「瀬戸」に使用されていた。
 うっかり解説を失念するような車両で、何故思い出したかというと先日レボリューションファクトリーからコンバージョンキットが発売されたからである。リベット無しのタイプを発売した。

 オロフ33
 オロフ32がオロ35なら、こちらはオロ36を緩急車にした形式であり、製造時の形式はスロフ31100、5両が製造され全車無事終戦を迎えた。TR23を履き、全車全溶接でリベットなしというスマートな外観を持つ。「オロ36」を緩急車にしたような車両であるから、当然窓巾は1300mmを誇る。
 オロフ32が発売されたから思い出したものの、そうでなければ忘れていたような車両ゆえかどうかは知らないが、当然のごとくどこからも製品は出ていない、という思い込みはよくなく、よくよく見たらKSモデルがコンバージョンキットを出していた。

七.特別2等車 に戻る

八.伍.2・3等合造車 に進む

車輌に戻る

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください