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 九.3等車

 この時代、東海道線の急行に主に使用された3等車は、いわゆる43系シリーズと、10系シリーズの車両である。このうち、43系がスハ43・スハフ42・オハ46・オハフ45、10系がナハ10・11・ナハフ10・11である。

 43系
 戦後の日本の鋼製客車の代表、といってもいいだろう。その3等車がスハ43・オハ46、3等緩急車がスハフ42・オハフ45である。スハとオハ、スハフとオハフの外観上の差はほとんどない。オハとオハフに共通していえることは屋根が鋼板張りになったために妻面のキャンバス押えがないこと、デッキドアの窓がHゴムになっていること、スハ・スハフよりも雨どいが細いこと、であるが、スハ43から編入されたオハ46もおり、これらにはキャンバス押えがあった。ただ、スハフ編入のオハフ、という車両は存在しない。また、スハ・スハフにもドア窓がHゴムの車両がいた。ちなみに、ハをハフに改造した車両はまだこの時代には出現していない。
 Nではスハ・スハフがKATO・GMから出ている。KATOの製品は両方とも原型(ドア窓がHゴムではない)タイプだが、GMのスハフだけはドア窓がHゴムになっている(スハは原型)。これはこれで結構なのだが、トイレ窓までHゴムになっているのが難点か。少なくともこの時代には、トイレ窓がHゴムになった車両というのは存在しないと思われる。スハ・スハフをオハ・オハフにするのは結構簡単で、ドアをHゴムにして(タヴァサ・レールロードからパーツが出ている)、キャンバス押えを削り、屋根をねずみ色1号で塗ればオリジナルのオハ・オハフらしく見える(と思う)。スハからの編入のオハはもっと簡単で、ドアだけ変えればOKである(と思う)。

 10系
 日本の鉄道車両史上に残る車両であろう。スハ43の自重33.5tに比べてナハ10(試作車)の23.0t(量産車は23.8t)は驚異だった。’55に落成した試作車(1〜8)は’56-6に量産車が落成すると901〜908に改番されている。
 東海道本線では、主に東京-大阪間急行以外に使用されていた。量産車と試作車の、目立つ外観上の違いは
 I)試作車はドアが無塗装(銀色、ナハネ10と同じ)、量産車は車体と同色
 II)試作車のドア窓のほうが、若干天地幅が大きい
 III)試作車のドア上部にはRがあるが、量産車にはない
 IV)試作車の妻面にはリブがあるが、量産車にはない
 V)試作車の台車はTR50Xだが、量産車はTR50
 VI)試作車の蓄電池箱は、量産車より車体中心寄りにある
といったところだろうか。また、ナハ・ナハフ10とナハ・ナハフ11の外観上の差はドアの形である。といっても、10と11の外観上の違いというのはこの時代の話であり、後になって10のドアは11と同様のものに交換されている。
 Nゲージだが、ナハ・ナハフともに、KATO・GM・マイクロエースから発売されている。ただ、残念なことに、いずれの製品も、ドアの窓が開閉可能なサッシ型の、この時代における11であり、特徴的な折戸の製品はどこからも出ていない(昔のGMのナハ10は試作車をプロトタイプとしており、これは折戸だった)。ただ、長らくパーツとしても出ていなかった特徴的な折り戸が、最近ようやくキングスホビーから発売された。KATO製に適合しているらしいが、GM製に合うかどうかは不明である。また、GMのナハフ11のドアはどうも変な気がする。あのようなHゴムの窓のナハフ11、というのは存在したのだろうか?少なくともこの時代にはいない、と思われる。したがって、この時代の10に仕立てるのなら、せめてドアを交換したいところである。先にも触れたが、量産車のドアは車体と同色であり、これはナハフ10も同様である(ナハフ10に試作車はない)。

 以下にまとめて、’58-10現在の、東海道線関係の基地の、43系・10系三等車、および主に急行に使用された特ロ・並ロ等の配置をあげる。
東シナ
マロネ391〜3
スロ5316〜31
スロ547〜13 18〜21 39〜47
オロ3561 62
オロ421〜5
ナハ10901〜907
ナハ1116〜20 35〜53
スハ4311〜17 154〜163 199〜202 217〜219 246〜261 367〜369
434〜448 475〜486 629〜633 644〜653
ナハフ1013〜25
ナハフ111〜7 11〜15
スハフ42174 175 194〜196 221〜225 251〜260 306〜308 326〜330
オハニ363〜6 11〜13 22

名ナコ
スロ5311〜13
スハ4338〜42 94〜101 284〜286 298〜303 317 331 332 370〜373
オハ4623〜28 374〜377 514〜523 669〜675
スハフ42155 235 236 261〜265 295〜297 314
オハフ4513〜17

大ミハ
スロ606〜12 113〜116
オロ3535 52 53 55
オロ405 19 20 50 56 57 71〜73 75〜77 81
ナハ1121〜34
スハ4366 214〜216 240〜245 264〜270 304〜308 333〜336
オハ4629〜47 678〜690
ナハフ1116〜20
スハフ4267 68 102〜104 110 121〜123 150〜153 197 198 303〜305 309〜313 323〜325

大ヒメ
スハフ4299〜101

天リウ
スロ531 2
スハ43102〜109 487〜489
オハ46378〜386 501〜503
スハフ42237 238 300〜302
オハフ459〜11 18〜20

天ヤマ
スロ534 5 9
スロハ3213 14
スハ43271〜273
スハフ4269 156〜158 199 200

岡イト
スハ43233 262 263
スハフ42136 137 275

岡オカ
スハ43490〜493
スハフ4296〜98

広ヒロ
スロ511〜4 16 21 39
スロ5314 15
スハ43130〜139 203 204 337 338 399〜406 554〜558
オハ46600〜607 659 691〜698
スハフ4233〜39 128〜135 201 202 207 208 239 240 276〜278

広セキ
スハ43126〜129
スハフ4218〜20 40〜43

門モシ
スハ43125 169 170 206 570 571 577 578
スハフ42107 146 147 215

門タケ
スロ54*23〜30
ナハ11*1〜9
スハ43229 230 232 410 413 417〜423 559 560
ナハフ11*8〜10
スハフ42148 203〜206 211〜214 219
*:「かもめ」用
門サキ
スロ5117 18
スロ5414〜17 22
スハ43122〜124 408 409 414〜416 565〜567 572 573
オハ4648〜53 60 546〜553
スハフ42119 120 220 332〜335
オハフ4522〜25

門ハイ
スロ5132〜38
オロ356 8 9 48〜50
ナハ1010〜16 77〜86 91〜99 110〜114
オハ4658 59
ナハフ1042〜48

熊クマ
スロ5140 58〜60
オロ3540〜42
オロ4015
ナハ1017 18
ナハ1193〜97
スハ43311〜316 586〜588
ナハフ1125〜28
スハフ42176〜181

鹿カコ
スロ5122〜25
スロ533 6〜8 10
オロ3510〜13
オロ4082
ナハ101〜9 25〜41
ナハフ1029〜32 36〜41

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