チルダーズから車で40分程先にあるバンダバーグという街は、ピッキングの仕事がある街という事で、貧乏なワーホリの 人たちの中で、知らない人はいないであろうと思われる有名な地名だ。ピッキングだけではなく、スキューバダイビングのライセンスを安く取得できるという事でも有名 であり、「地球の歩き方」の片隅にも登場しないチルダーズとは違って、3ページに渡って紹介されている 知名度の高い街である。しかし、ピッキングの仕事がある街という事から想像がつく通り、もちろんオーストラリアの中では田舎に分類される街であるらしい。
でも「地球の歩き方」の片隅にも登場しないチルダーズに居る私からしたら、大都会だ。 チルダーズに居る、主にイギリス人たちは、週末や休日の前の晩には車でバンダバーグまで遊びに 繰り出す事もあるようだが、お金を貯める事に堅実な私たちにとっては遠い街だ。 そんな場所から、ある日訪問者がやって来た。一体全体こんな田舎町に何の用事があるっていうんだ、 「地球の歩き方」に3ページも登場している大都会から!(しつこい)
という前置きは、もうこの辺でいいとして。
バンダバーグでスキューバダイビングのライセンスを取ったり、ピッキングをして過ごしていた 帰国の日が迫るマユミは、バンダバーグを出て次の旅路へ進む前に、チルダーズにやって来る事になった。 シドニーを出てから、ラウンド中のほとんどの街で会っていたが、ブリスベンで別れてから1ヶ月。 もうオーストラリアで会う事は無いだろうと別れたが、 「近いじゃん!しかもアヤカも居るんでしょ!会いに行くよ!」「おぉ!会いに来てーや!」と言うことで、 「チルダーズ1泊旅行」と称して計画が立ち上ったのである。
今日もスノーピーズの収穫をして、赤土まみれの汚い服で帰って来ると、マユミが既に到着していた。 「自称、ピッキングを1ヶ月して少しは痩せた私」は、1ヶ月ぶりに会うマユミに「あれ?痩せたねー!」と言われる事を 期待していたが、そんなセリフがマユミの口から発せられる事はなく、自分から「痩せたと思わへん?なあ、なあ!!」と必死に言い、 渋々「そんな気もする・・・」と言わせたのであった。
そしてアヤカちゃんとマユミは、考えてみればマユミがシドニーを出た1月以来会っていないわけであり、 約半年ぶりの再会に盛り上がりを見せた。 いつものメンバーにマユミも加わって、夜ご飯を食べることになった。 私は、シドニーに居るときから貧乏な姿しかマユミに見せて来なかったが、ここチルダーズで びっくりするぐらい稼ぎ、裕福になりつつある事を自慢気に話した。
マユミはバンダバーグでの生活や旅の事を話してくれた。なんと、あのブリスベンの10ドルバッパーで出会った 「怖い人」と2人して呼んでいた人と、あれから何度か出会い、バンダバーグでも一緒になり、仲良くなったと言うではないか! 「怖い人って呼んでた人は、カヨちゃんと言う人で、同い年だったの。他にも同い年の子が居て、皆で仲良くなったよ。全然怖い人じゃないよ!」 、って言うじゃなぁ〜い!言うじゃなぁ〜い!私は疑いながらもそれを聞いた。人は、少し関わったぐらいで印象を決めてしまってはいけないものだ。
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涙の別れ(ウソ泣き) |
帰国が1ヶ月後に迫るマユミは、明日バンダバーグへ戻り、明後日バンダバーグを出てケアンズをめざし、 ケアンズからアリススプリングスまで飛行機で飛び、エアーズ、ダーウィン、カカドゥ、とツアーに 入って巡り、8月10日にオーストラリアを去る予定だと言うので、オーストラリアで会うのは今度こそ本当に最後だ。 シドニーの語学学校でクラスが一緒になった事がないのに、仲良くなって、よく一緒に飲み、絡み、旅に出てからも一緒に居ることの 多かったマユミも、ついにワーホリの1年間を終えて帰国するのかと思うと寂しくないわけがない。 マユミがシドニーを出る時にも書いてもらったけど、改めて出会い帳を書き合い、泣いているフリをして写真を撮った。 サヨナラだ、日本で会おう。
ズッキーニ畑で働くアキ、おじいちゃん、タカシは、明日の仕事が休みなので「マユミをバンダバーグまで送って行こう」という事になり、 次の日、おじいちゃんの車で皆でバンダバーグへ行った。私とアヤカちゃんはスノーピーズ畑での仕事があるので行けず、涙を飲んだ。 バンダバーグへ戻ったマユミから「バンダバーグがすごい都会に思えたよ」というメールが来た。 アキ、おじいちゃん、タカシからもバンダバーグの都会ぶりを聞いた。「コールス(ウールワース?)があったよ!」という事だけで、 「すごーい!!」と感動する私たちは、すっかり立派な田舎者である。