このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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9.来る者、去る者
Childers JULY

鼻歌を唄いながらキャラバンパークへと帰って来ると、 新しくキャラバンパークに来た日本人青年を囲んで、みんなが芝生に座っていた。 それはゴールドコーストから一人で車で来たという、コウイチという人だった。 私は、挨拶代わりに、「ここで貧乏の底から這い上がって、今じゃ残高3000ドル!」 と、お決まりの自慢話をした。 コウイチは、オーストラリアへは大学を休学して、5月に来たばかりなので、私たちの知らない 日本の情報を知っていた。「日本語の歌詞も入っているのに、全部英語に聞こえる ラブサイケデリコ」というグループの曲が流行っているという噂を聞いてはいたが、 実際に聴いた事がなかった。コウイチが「ラブサイケデリコ」の 曲の入ったMDを持っていると言うので、みんなでMDプレーヤーを取り合いながら聴いて、 「おぉぉぉー!!これが、ラブサイケデリコかー!!」と、必要以上に感動した。 他に、今流行っているという「三木道山」の曲も聴いた。

キャラバンパークのテーブルに座って。チズと私。(逆光)

夜になり、チズと一緒にモニカのキャビンへ行った。チズとモニカと3人で写真を撮ったり、 少し話をしたりして、チズはモニカと別れを惜しみながらキャビンを去った。 明日、チズはチルダーズを去るのだ。そして、その2日後、モニカもチルダーズを去る。

キャビンから帰る途中、チズに「私はEnglish peopleが嫌いだ。でも他の国の人と 話をするのは楽しい。あなたもtryしろ!!」と言われ、ひどく納得した。 この所、日本人の仲間たちが居るので、益々外人と話していない。というか、居なくても話してなかったけど。

チズとは、同じ日にここへ来て、同じファームで7週間働いた。
日本に居る、ある友達に似た感じの、ふてぶてしさが好きだった。
怒らせる事を冗談で言うと、「Give me 5dollers!!」と、よく言う。
私がタバコを吸うと、「ゴホゴホ」と咳をする真似をする。
チズのおかげで、楽しい時間を過ごせた。
特に、日本人が他に誰もいない時は、チズの存在が心強かった。
英語が上手く、恐れずに誰とでも話をする姿を、いつも尊敬していた。

チズは明日の朝5時のバスでチルダーズを去る。出会い帳を書いてもらい、 サヨナラを言った。寂しさが募った。 外人を恐れず、英語を恐れず、アジア人として誇りを持って、チズを見習って旅をしていこう。 シドニーに居るときにも韓国人の友達は居たけど、これだけ色々しゃべれる友達ができたのは 初めてだ。サヨナラだ、チズ。また会おう。(そして、チルダーズを去ったチズから メールが来たが、英語の文章を考えるのが面倒くさくて、返信をしなかった。 1年後、ソウルに旅行へ行く直前に、「チズはソウル在住のはずや、メールしてみよう」と送信してみたら、 既にそのアドレスは使われておらず、音信不通となってしまった・・・。ガーン!)

チズは、マリアンに手紙を渡していた。マリアンは、それを険しい顔をして部屋のベットで読んでいた。 「あなたはアジア人の悪口ばかり言っていて、失望した」とでも書いてあるのだろうか?と私は妄想した。 チズは、マリアンの事を嫌な奴だと言い続けていたので、私は疑いの目で見ることをやめる事はできなかった。 しかし、数日後の朝、今日もいつものように仕事があり、バスは6時45分に出発するというのに、 起きたら6時半・・・。マリアンと私は、しばし顔を見合わせ、「えぇぇー!!」「Oh!No!」と飛び起き、 急いで身支度を整える。マリアンが私の分まで朝食のサンドイッチを作ってくれて、 サンドイッチ片手にバスへと走り、間に合って、一安心。 という出来事があり、疑いの目で見るのは間違いだと思った。マリアン、いい人や。

モニカがチルダーズを去った日 、いつものように仕事をしていると雲行きが怪しくなり、 雨が降りだした。風も吹き荒れ、大雨だ。「やったー。今日は仕事これで終わりやな」とニヤけた私であったが、 農業を舐めたらいかんぜよ。Lynさんの手から黄色のレインコートが労働者たちに手渡され、 雨風の中、寒さに震えながらスノーピーズをとり続けた。いつもより、45分だけ早くは 終わったけど・・・。

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