今日でピッキング連勤10日目だ。昨日から10人ぐらい新しい労働者が加わったLynさんのファームで 私はなんとか首にならずに働いている。この前、トマトをもいでいる時に、「あれ?これぐらいの傷のあるトマトは取らんでいいんやったっけ? 捨てるんやんな?これは無理やろう、捨てよう。」と、未だに判断基準をいまいち理解していない私は次々と「これも捨てる、これもいらんな」と 、もいだトマトを地面に捨てた。たまにチェックに来るLynさんが私の捨てたトマトを拾い集めてきて、「これぐらい傷のトマトは捨てなくていいのよ、バケツに入れてね。」と 言うではないか!!「ソーリー!ソーリー!」と言う私に、Lynさんは優しい笑みをたたえながら「You are ファジー!」と言った。 (「ファジー」ってどういう意味?と帰ってから辞書で調べたけど載ってなかった。聞き間違い?!「レイジー」と聞き間違えたのか?!永遠に謎。) あー首になるかなーと思ったけど、それでも首にならずに働いている私。ミキが働いたというトマトファームに配属されていたら、間違いなく 1日で首になっていることだろう。優しいLynさんのファームになって運が良かった。
最近、Lynさんのファームではトマトの収穫の時期はほぼ終ったらしく、スノーピーズ(さやえんどうの一種。 さやえんどうよりも豆が大きく、全体的にもふっくら大きい。日本では”スナップエンドウ”という名称で売られているものと同じだと思う。) の収穫をする日が多くなり、 明日からは完全にスノーピーズだけの収穫になるようだ。トマトの収穫も嫌だけど、収穫したトマトを機械にかけて 選別していく作業が、どれぐらいの傷がどの階級に分ければいいのかを理解していなかった私には一番やばいものだったので、 スノーピーズだけの収穫になると聞いて安心した。スノーピーズはトマトと同じようなスタイルで収穫するので 体への負担はそんなに変わらない。だが、トマトはすぐにバケツが一杯になって運ぶのも重いが、スノーピーズはなかなか一杯にならないし 運ぶのもトマトより軽いので少しはラクだ。しかし出来高制ではなく、時給制なので、どっちにしても給料は変わらない。
同じファームに例のスキンヘッドの日本人はいるものの、全くしゃべらないため日本人が一人もいないのと同然の生活の中で、 耳も慣れてきて、言っている事も、なんとなく初めよりは分かるようになってきた気もするが、話を振られると分からない。 イギリス人は何を言ってるか分からないし、何かを言っても私の発音が悪すぎて分かってもらえないので 初めは少しはしゃべろうと努力したけど、最近はもうしゃべらない事に徹しているという様である。 チズは、色々な人にしゃべりかけていて、相変わらず凄い。私が英語を使って親しく会話できるのはチズぐらいだ。
今日の夕食はチズがコリアン風パンケーキと言ってチゲを作ってくれ、同じファームで働いている イギリス人のジェイド、そして同じ部屋でもあるマリアンと4人で食べた。 同じファームの他のイギリス人は、イギリス人グループで固まっているけど、最近入ってきた ジェイドはイギリス人だけで固まらず、誰とでも親しくしゃべるので感じが良い。 でも私は4人で食事中もあまり会話に入れず、あっはっはーと笑ったり、 会話が理解できた時だけ、「あーあーあー」と言うのでチズに笑われる。
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スノーピーズ畑と広がる空 |
ブリスベンでひいた風邪のひどい咳がまだ止まらず苦しいし、 シドニーで抜いた親知らずの抜歯した糸が中途半端に取れてきて、完全に取れずに気持ち悪いし、 日本が恋しくて仕方ないし、もう嫌だ。夢にも日本のことばかり出てくる。 日本が恋しい。嫌いだったはずの故郷、近江八幡市のことや、幼い頃の場面や、帰ったら東京に住みたいという事など、 日本のことばかり仕事中でも考える。
もう辞めたいー!と思うのは自由で、毎日思っているけど、いつのまにか手持ちのお金が250ドルになった今、 どこかへ移動しても生きて行けるはずもなく、ここで働くしかない。20日には、シドニーでのホームページのバイト 5月分の給料が入るし、2週間ごとに入るピッキングの給料も25日に入るので、それまでは続けるしかない。 とりあえず、3週間はここで働こうと決めた。(あれ?はじめ1ヶ月半って言ってた?) そのあとは「ケアンズに行って日本食レストランで働いてからアジアの旅に行こうかな」とか「シドニーに戻って、またあの日本食レストランで働いてからアジアの旅に行こうかな」とか 「もうシドニーに戻って、すぐ日本に帰ろうかな」というような事を考えるようになってきた。 オーストラリア、もういい。
日本にいる友達は、皆日本で働いているわけで、私はなんでこんな所で毎日スノーピーズを取っているの?何やってんの? 7月に帰国して、派遣社員で働く日々を過ごして春ぐらいに東京に行こうかなーなど と、スノーピーズを取りながら広すぎる空を見上げて、ぼんやり考えたりした。
ここでの生活は本当に外国生活体験という感じの日々だ。それにしてもLynさんは素敵な人だ。こんな言葉のわからない外国人労働者に対して笑顔で優しく接してくれる。 外人だらけのキャラバンパークでの生活。ちょっと弾けた人も多い。ミキが言っていたように精神修行になりそうだ。でもシドニーにいた頃よりも、どこか気持ちが満足しているのは 外国で外国らしい生活をしているからかもしれない。