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9.Asian people
Childers JUNE

Backpackes'dayのメモリアルがあった日、仕事の帰りにスーパーで買い物をして、 チズと一緒にキャラバンパークまで歩いて帰る時に、何かとても気分が重くなるような話を聞いた。

チズは西洋人が嫌いだという話をはじめた。「でもマリアンはいい人やん」と私が言うと、 「そうは思わない。ウワベだけ。」と言うチズ。「奴ら西洋人は、『アジア人は英語が しゃべれないのに、なぜここへ来たんだ?!』と馬鹿にしている。」と続ける。 同じファームで働く人たちが、そういう事を言っていたことがあるとチズは言う。 「アジア人は、仕事中はしゃべらない。何が楽しいんだ??!」という内容のことも言っていたと チズは言った。

私は、疑いもせず、その話を間に受けて、ショックを受けた。ブルーになった。 皆がメモリアルに行って静かになったキッチンでパスタを作りながら、芝生でタバコを吸いながら、 色々考えた。ここに来た事を心底後悔しそうになった。 でも、来なければ分からなかった事、感じなかった気持ち。人種の違い。 言葉の重さ。心の中と表の違い。でも、心に裏表があるのは「西洋人だから」ではなく、 日本人であっても何人であってもあることだけど。見下されたとしても、惨めな気持ちになる 必要はない。ふざけんなー!馬鹿にすんなよー!英語がしゃべれへんだけやん! 君ら日本語しゃべれへんやん!!アッハッハー!・・・・と、小学生のようなまとめ方を してみたけど、悔しい気持ちは消えなかった。

チズは、色々な人に話しかけて、無視されたり、裏表があると分かっていようが、 アジア人が馬鹿にされていると知っていようが、負けもせず、笑顔でまた話しかけている。 本当に強い人だと思う。私はすぐに引いてしまうけど、彼女は引かない。めげない。 「クレイジー!!」と怒って言いながらも、西洋人たちに加わっていくことを忘れない。 あんな強さが欲しい。逃げる事で誤魔化してしまうのではなく。

次の日、それは最低な気分を味わった日だった。
ランチタイムにチズが、同じファームで働く、女性かと思う程美しいオーストリア人男性に 「Do you mind if ask you・・・」と丁寧な口調で質問をした。「あなたの隣に座っている 女の子が、さっき話している中で『Asian people is crazy』と言っていたのが 聞こえたけど、どうなの??」とチズは言った。びっくりした。

その『隣に座っている女の子』とは、カナダ人の女の子なのであるが、チズもなかなか嫌味な言い方をするなー と今さらながら感心。そのカナダ人の女の子の顔を見ると、そういう事を聞いた後だからなのか 、とても意地悪い顔に見えた。そしてその意地悪い顔で「NO!!」と言った。でも、 チズは確かに聞いたと言う。めっちゃむかついたけど、何も言えない私であった。

その後の休憩中も、その後の仕事中も、ブルーで、泣きそうだった。もう帰りたいと思った。 人種差別だと思った。人生の中で一番最低な気分になったと思った。 どうして人は、国によって心の中で段階をつけてしまうのだろう。 私は日本にいる時にフィリピンやブラジルの人が日本で働いている事を、 あの西洋人たちが私たちを見下しているのと同じように、見下して見ていた。最低だ。 アジアの中でも、他の国を見下したりしている。 日本人同士でも、「あいつは変わっている」などと見下したりする。 本当にバカバカしい事だ。

どんな差別も嫌な事だが人種によっての差別は、本当に何とも言えない気分だ。 「差別をしてはいけない。」そんなことは分かっているつもりでいた。していないつもりでいた。 でも心のどこかでしていた自分にこの時気づいた。

シドニーで出会ったヤスコの話を思い出した。 「カナダに行った時にアジア人は入れないクラブがあった。でも私はカナダ人の友達がいたので 口を利いてもらって入れた。差別と言えば、黒人の人が差別されていて、 アジア人は、黒人の人より上という感覚を持っているかもしれんけど、白人にとったら 黒人もアジア人も同じ。」と言う事に驚いた。 この事を、自分には関係ない事のように聞いていたが、今、やっと分かった気がした。 誰もが、誰かよりは上であろうとする。 そして差別主義者ではないはずの私も、どこかで差別する心を持っていた。 そして、自分がアジア人である事を、日本人である事を、黄色人種である事を、強く感じた。

ここにいる西洋人たちも、差別主義者ではないかもしれないし、軽い気持ちで言っただけなのかもしれない。 それでもこれだけ嫌な気分になってしまうのは、一般的に神経質だとイメージされるA型だからだろうか?いや、関係ない。 どうしたらいいのだろう、このムカつきを。 これを英語で伝える事ができないのが、よけい虚しい。でも多分英語ができても、私には言葉にして 発する度胸がない。考えただけで、終わり。 だいたい、直接聞き取れず、チズ経由で聞いたというのも情けない話だ。とチズを尊敬した。

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しかし、これが聞き間違えだったら・・・というのは、数年たって、やっと思った事であるが・・・。 え、そんなんただの被害妄想やん・・・。という感じになりますけど・・・。 え、ただ英語ができない事をコンプレックスに思いすぎ??という気もしますが・・・。 でも、アジア人差別は確かに存在すると感じた。

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もう、西洋人と一緒に働きたくないし、ますます嫌な気分で仕事をする毎日になったが、 シドニーでやっていたホームページのバイトの給料も入り、このままあと 3週間ぐらいピッキングを続ければお金も貯まるし、もう二度とピッキングせずに旅を続けることが できるかもしれない。ピッキングはやりたかった事やし、お金も必要やし、負けていられない。 見下されていると考え出すと、すべてが嫌になり、同じ部屋の人さえ、いい人だと思っている マリアンさえ嫌な感じに思えてくる。「あかん、あかん、深く考えても考えなくても しゃべれない事に変わりはないし、考えんとこ!」と自分を納得させる事にした。

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