このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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4.山小屋の明かり


サングラスをなくして目が痛いというカヨさんに、下山の大砂走りで必要だと思って持って来ていた スノーボード用のゴーグルを渡す。一気に怪しい外見になったカヨさんと9合目を目指して出発。 下山者はいるものの、この暗く強風の吹き荒れる中、登山する者は居ない。 下山してくる人に聞くと、上でもこの強風は吹いているし、霧もあるし、9合目まで1時間はかかるとの事。 不安になり、少し登ったけど8合目に引き返し、行っても大丈夫なのかを8合目の人に聞いてみると 「大丈夫なんじゃない??」との事。そりゃー、そう言うしかないだろう。 自分を信じて行くか、ここに泊まるか、また迷ったが、今登らなければ明日の夜中にまた暗い中 登るのだから同じ事だ。という結論に達し、登ることにした。

本当に大丈夫かな??と2人で泣き言を言いながら少しずつ上っていると、 後ろから5人組ぐらいの人達が登って来る姿が見えて安心する。しかし登るペースが遅い私達は すぐに追い抜かされて焦る。他に登山者は居ないので、「この5人組についていかなければ!」と 頑張って追いつこうとする。霧と強風、寒い、辛い、でもカヨさんは息苦しそうなのに 頑張っている。私も頑張らなければ。弱音を吐いてはいられない。前に進むだけだ。 時々吹き荒れる突風は、死を予感させるほどのものであった。しかし 登っているうちに霧が少し晴れて下界の夜景が見えた。信じられない綺麗さ。感動。 「これが見れたから富士山に登ってヨカッタと思えるよ」と、(まだ山頂にも行っていないし 下山もしてないのに)カヨさんは言った。

霧で見えなかった9合目の山小屋の明かりが見えた。すぐそこのようで、遠くにある明かり。 夜景を見て自分達を励ましながら、進む。立ち止まって休憩しているときに 「タカコちゃん、ありがとうね、ごめんね」と普段はあり得ないような弱々しく素直な セリフを吐いたカヨさん。「え??どうしたん?!」と驚く(引く)私に、 「こんな時ぐらいしか言わないしね」と言った。納得。

もう辺りはすっかり真っ暗。5人組と私たちは、追いついたり、追い抜かしたりしながら 同じぐらいのペースで登っていた。すれ違うときに、「がんばりましょー!」などと声を 掛け合ってきた。体力的にはまだ平気だが、テンションがおかしくなってきた私は、 5人組が休憩している所ですれ違うときに「頑張りましょー!オー!バンザーイ!」などと まるで酔った時のようなテンションで声をかけると、5人組は「オー!」などと 答えてくれた。(多分、引いていた事だろう)大声で声をかけたため、その後すごい息切れがして すぐに立ち止まって休憩して追い抜かされた。アホや。

寝床
そんなことを繰り返しながら、カヨさんは息苦しいのに頑張りながら、20時前、 やっと9合目に到着!!!!チェックインし、寝床に案内される。凄いひどい場所を想像していたが 2段ベット風の造りで、私達は4人入れる2段の上の場所へ案内された。 先にそこに居たのは1組のカップルだった。2mくらいの幅に布団がひいてあって、雑魚寝という感じだ。 この幅で4人なら余裕という感じで、安心。

寝床を確認してから、ご飯を食べる場所へ行く。鏡を取り出して自分の顔を見ると、砂埃で真っ黒だ。 汚い。鼻の穴も、真っ黒。汚い。ウエットティッシュで拭く。夜ご飯は手作りおにぎりを用意していたけど 寒さに凍える私は、「卵うどん」を注文した。800円。暖かくて、とてもおいしかった。 冷えた体が温まり、疲れた体が癒される。トイレへ行くと、仕方がないことだけど驚くほど汚かった。 便座も冷たくて、半泣き。トイレから帰って来ると、カヨさんは山小屋で働くおじさんと話をしていた。 80代のおばあさんでも毎年富士登山している人がいるとか、山で出会って毎年葉書のやりとりをしている人がいるとか、 そういう話を聞いた。そして「富士登山の秘訣は何なんですか?やっぱり体力作りなんですかねー?」と訪ねる私に、 「毎日を精一杯生きることだよ!一生懸命働いて、頑張って生きること!」と、おじさんは言った。 きっと普段なら臭いと思えるだろうセリフも、ここまで登って来て熱い心になっている私は、ひどく納得し、感動し、鳥肌をたてた。

おじさんの話によると、ご来光を頂上で見たい人は午前2時に起きて山頂をめざすらしい。午前2時に山小屋の明かりがつくので 起こされなくても起きれるらしい。ご来光は4時半だが、山頂まではご来光を見ようとする人達で渋滞するので2時間はかかると言うことだ。 寒い中、2時間は辛いかもなーと思ったが、せっかくなので行くことに決め、20時半に寝床へと向かう。 すでに消灯時間は過ぎて真っ暗。さっき確認した私たちの寝床では既にカップルは寝ている。 そして、私たちの寝るスペースは全体の1/3ぐらいしか残されていなかった・・・。(カヨさん曰く50cm) カップルは頭を同じ方向にしてスヤスヤ眠っているが、私たちは50cmのスペースに頭を同じ方向に入れるはずもなく、 頭と足を逆方向にして、なんとか2人入れた。真っ暗で何も見えず、私は掛け布団2枚の下に潜り込んだつもりが、 2枚とも敷布団で、とても重くて仰向けのまま身動きがとれないまま時間が過ぎた。 隣ではバカップルが寝息を立てている。憤慨。

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