このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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5.山頂へ


身動きがとれず眠れないまま、夜中12時頃になったようだ。時計を持っていないので時間は不明だが人の話し声が聞こえてくる。 「11時?12時か」と。これから山頂へ向けて出発する人達もいるのか、今到着した人達もいるのか、騒がしい。 小声でしゃべるとかいう気を遣うことなく普通にしゃべる人の声も聞こえてくる。それはまさしく、関西人。3人ぐらいの話し声。 「そうやねん、そうやねん。・・・2回繰り返して言うことに意味があるねん。ちがうねん、ちがうねん」などという会話の 端々が聞こえてくる。

ほとんど眠れないまま、午前2時になり、山小屋の明かりが灯り、山頂をめざす人達が出発の準備をはじめた。 悪気も無く2/3のスペースを思う存分使ってスヤスヤと寝ていたカップルが起きて準備をはじめた。 カップルが居なくなって私は起き上がる。カヨさんも起き上がる。カヨさんも同じく、ほとんど寝れなかったようだ。 「私たちのスペース30CMぐらいしかなかったわよね!!全く!なんなのよ!」と怒るカヨさん。 30CMという事は無いやろー!と笑って怒りもやわらいだ。そして周りの人達の声がうるさかったよなーという話になり、 例の関西人の「2回繰り返して言うことに意味があるねん」発言、カヨさんも聞いていたようで「あんなつまらない事を言う男、いやだわ!!」と 言っていた。しかし、この「2回繰り返して言うこと」が山頂までの道のりと、下山時に2人の間で大流行したのであった。

ほぼ眠れなかったカヨさんは頭痛を訴えた。高山病なのか、寝不足なのか分からないけど、立ち上がれないほど痛いようだ。 「もう2度と富士山には登らないわ!これが最初で最後よ」と繰り返すカヨさん。 私もほぼ眠ってないし、外では台風かと思うぐらいの強風が吹き荒れる音が聞こえる。 こんな寒い中、体調が悪いのに無理して山頂をめざしても仕方がない。頂上でなくても、ここから 10分ほど歩けばご来光が見れる場所があると宿の人に聞いたので、今出発することは諦めて、 4時半のご来光までカップルが出発して広くなった寝床で休む事にした。

寝ていないくせになぜか元気な私は、外の様子を見に行った。凄い人・人・人。 山小屋の前にも人が大勢いるが、山頂へ向かう道、下から登って来る人、すべてはご来光を 頂上で見るために暗い登山道をヘッドライトをつけて歩く人で溢れている。これが噂の渋滞か。 しばらくすると雨が降り出したので山小屋に入った。カヨさんは頭痛が益々ひどいようだ。 まだ寝ている人がいるのに、気にせず普通にしゃべる人がまた居た。 外人さんだ。ぼーっとしながら久しぶりに英語を聞き続けた。しかし内容は不明であった。 この過酷な感じ、汚い姿でも気にしない自分、英語が聞こえてくる環境、まるでオーストラリアでワーホリしていた頃のような状況で 少し嬉しくなった。

いつの間にかカヨさんは眠りについていた。私は眠れず、ぼけーっとしているうちに 4時になった。まだ雨は止まない。ご来光は無理そうだ。本当に2時に出発しなくて 良かった。日の出は4時半頃の予定らしい。目を覚まして、今なお頭痛で苦しみ身動きのできないカヨさんに 「外の様子をデジカメで撮ってきて。後で見るから。」と言われ(命令)、外へ出てみる。 小雨ではあるが、雨は止まない。それでも外には人がたくさん居る。とても寒い。 そしてやはりご来光を見ることはできなかった。4時半を過ぎ、薄明るくなってきた。小雨の中、それでも 山頂をめざす人は多い。カヨさんの頭痛は治らないし、私も眠いし、雨が止むまで寝床で 休むことにして、私もやっと広くなった寝床で眠りについた。

金剛杖に焼印
6時半頃、頭痛が治って元気を取り戻したカヨさんに「治ったよー!行くよー!」と起こされ、動き出す。雨も止んだようだ。 準備をして、手作りのおにぎりを食べて、出発だ。ここでカヨさん、軍手が無い事に気付く。 (カヨさん持ち物紛失騒動第3幕)「おかしいなーここに入れたはずなのに」と繰り返すが、 見つからない。宿の人に聞くと忘れ物で軍手がたくさんあったらしく、その中で一番綺麗な 軍手を手に入れて安心。そして金剛杖に9合目に泊まった証として焼印を押してもらい、 8時20分頃に山頂めざして出発!

「9合目から9合5勺が辛い」という声も聞こえていたが、 昨日の暗く強風の吹きつける8合目から9合目を経験した私達には、それほど辛いものではなかった。 風も昨日ほど強くはなく、晴れ間も見えて下界の景色や雲や青空が綺麗に見える。 9時半頃、余裕な感じで9合5勺に到着。「山頂まであと30分」と書いてあるが、それは大嘘であるという噂は 聞いていたので、しっかりと肝に銘じて9合5勺を出発。

へばるカヨさん
鳥居を過ぎてからが、噂通り、地獄。「がんばれ!あと30分!Hang in there 30min」という看板があったが、 嘘である。空気が薄い、霧が立ち込める、寒い。下界の景色も何も見えない。5分も歩かないうちに休憩が必要になる。 さっき元気を取り戻して爆発炸裂トークを取り戻したかのように見えたカヨさんだが、 またもやクタクタになる。もちろん私もクタクタであるが、カヨさんがあまりにクタクタにへばって休憩する姿が 面白かったので写真を撮っておいた。

「あと少しですよ!がんばって!」と言う下山者の励ましの声は神様の声に聞こえた。 そして多くの人に追い抜かれながら、9合5勺を出発して1時間半後、11時すぎに、ついに山頂に到着!! 昨日の9合目までの時間と合わせると合計約9時間かけての登頂成功だ! 時間、かかりすぎ!!

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