バスは幾人かの客を乗せ、今までの街とは明らかに違う アリススプリングスの風景を窓に映しながら、 街の中心から結構離れたバッパーへ到着した。レセプションで順番を待ち、1泊分の宿泊費を払い、毎日何本か走っているという街へのピックアップバスの時間を 教わり、キーを受け取って部屋へ向かう。部屋のほとんどをベットが占める、狭い4人部屋。荷物を置き、 バスで1泊したダルさを紛らわそうとシャワーを浴びる。時計を見ると、まだまだ午前中、 空を見上げると、青く晴れ渡る。洗濯日和だ。ここ数日分の洗濯物をかき集め、もちろん手洗い。
一仕事終え、ホッと一息つき、コーヒーを作ってタバコを吸うことにする。このバッパー、部屋は狭いが、外にタバコを吸ったり、 ご飯を食べられるテーブルがあり、広いスペースを取ってあるところが良い。 そこには、なんだかダルそうな日本人の女の人がいた。気だるいような色気を漂わせるように見えたその人は、 意外にも私より1歳年下で、マサヨと言った。しゃべってみると、色気などとは縁遠い、アホな話の通じる人であり、安心。 マサヨは、このバッパーに1週間分の宿代を払ったが、明日からエアーズロックツアーに行くつもりだと話すと、一緒にツアーに 参加するよと言い、さっそく予約をするために街へと向かうバスに乗った。
ツアーの予約ができる場所へ行き、アキに教えてもらった
アドベンチャーツアー
の、2泊3日で エアーズロック、オルガス、キングスキャニオン、アボリジナルカルチャーを巡るツアーを予約する。 夜は寒いから、「スワッグ」という大きい寝袋みたいなものが必要だと言われ、それを借りることにして合計406ドル。
マサヨが「富山さんの言う、安いスーパーに行こう」と言い、何のことかと思えば、「地球の歩き方」の 「聞いて!わたしの体験談」という読者からの情報欄に載っている「アリスのおすすめスーパー」 についての情報提供者である「富山さん」という人のことを言っていたのだった。その情報を読んではいたので、 名前まで覚えていることに笑った。トッドモール沿いにある、そのスーパーへ行き、「富山さんの言う通り 安いなー」とか言いながら必要なものを購入。
カプチーノを飲んだり、ネットカフェにメールチェックしに行って夏の高校野球で、地元滋賀代表の高校が 準優勝だと知ったりした。バッパーへ帰り、ご飯を作る。カレー風味チャーハン。普通のチャーハンにカレー味の粉末のようなものを 振りかけただけ。見知らぬ外人が「パスタが余ったから、あげるわ」と、マッシュルーム入りの高級感漂うパスタをくれて、 ラッキーであった。しかし、チャーハンもパスタも食べて、必要以上に満腹になった。デブまっしぐら。
ご飯を食べ終え、タバコを吸っていると、チルダーズの同じファームでピッキングし、 アヤカちゃんと同じ部屋だったリサというイギリス女性が居て、驚く。リサは、チルダーズに居た、全体的に弾けて騒がしいイメージだった イギリス人とは一味違う、優等生っぽい、感じの良い女の子であった。マサヨと3人、同じテーブルに座って、しばらく 懐かしいねーなどと話すが、ネイティブスピーカーとの会話は続かず、沈黙が流れたので、慌てて部屋からチルダーズの 写真を持って来て、持ち直すも、また訪れる沈黙。明日はツアーのバスが来るのが朝6時10分と、朝も早いということで 解散することにした。そして、なぜかホッとして部屋に戻ると、リサも同じ部屋であった。