このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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仕事-3-


2月13日、ジャパレスでバイトを始めて3週間が過ぎる日、この前受けに行ったホームページ編集のバイトの合否が明らかになる日だ。 夕方になっても電話がかかってこない。ガッカリしながらバイト先へ向かう電車に乗ろうとしたその時、電話がかかってきた。「あなたに決まりました。来週からお願いしたいのですがご都合の方はよろしいですか?」 驚いた。絶対落ちると思ってたのに。気合を入れてスーツを着て行った甲斐があった。 一日4時間しか働けないが、時給が12ドルだ。そして月曜から金曜日まで毎日働ける。今のジャパレスよりも完全に稼げる。それに、何より興味のある仕事だ。ちゃんと仕事をこなせるのか不安はあるけど、 興味のあることだから、絶対にやりたい。ますます日本語しか使わない生活になりそうだけど。

喜びと、ジャパレスを辞めることを言わなければいけない気の重さをかかえて、ジャパレスへ向かった。

週5ぐらいでバイトに入っているのに、いまだにぜんぜん上達しない。にんじん切りも、オーダーも、要領も。3週間がすぎ、4週間目からは時給が最高額になるはずだったが、「オーダーも取れないし、電話も取れないようじゃねー。もうちょっと頑張ってもらわないと。 それまでは時給上げられないから。」とおかみさんに言われた。当然だけど、ショックだった。

辞めるつもり満々だから、よけいやる気がなくなる。そして2月14日。今日はバレンタインデー。そんな行事に関係の無い私はもちろんバイトだ。お店はカップルが来たりして、忙しい日となった。 よく一人で食べに来るオージーのおじいさんが今日も来た。あまりの慌ただしさに、おじいさんにジュースをオーダーされたのにすっかり忘れて、テーブルの後片付けや料理を運ぶことに追われていた。 しばらくして、恐ろしい形相でこちらを見る目に気づいた。おじいさんだった。「しまった!忘れてた!」「ソーリー」と言いながらジュースを持っていった。ジュースの注文を受けるときも何を言っているか分からず何度も聞きかえした上に、注文を忘れた。もちろん形相は変わらない。

おじいさんが食べ終わって店を出る時、おかみさんに英語でペラペラーっとしゃべりかけた。私の対応が悪かったから、おかみさんに怒るのかなーと不安に思ったが「今日も鮭がおいしかったよ!」そんな褒め言葉だった。 その後、おじいさんが私の方をちらっと睨み見て、おかみさんに何か言った。私は聞き取れなかったけど、おかみさんが笑った。後でおかみさんに聞くとおじいさんはこう言ったそうだ。 「Her English is very bad!!!!」「もっと勉強した方がいい」

当たり前のことを言われたわけだけど、ショックだった。英語は直接的すぎて傷付くと思った。英語なんて嫌いだ、オージー嫌いだ、オーストラリア嫌いだ。 ここに書き切れないぐらい悔しかった。すべて自分の力の無さのせい。その場で泣きたいぐらいだった。涙を堪えた。

次の日、電話でおかみさんに辞めることを言った。「私はにんじんを切ることも下手で遅いし、オーダーも英語も下手やし、もうやっていく自信が無いから辞めさせてください。」 と正直に言った。次の仕事が決まったことは言いわけみたいだと思ったので言わなかった。あのオージーのおじいさんに言われた言葉によって、もう働きたくなかったが、 最後に一日どうしても人手が足りないのでバイトに行くことになった。おかみさんに「いきなり辞めると言ってすみません」と言うと「まあ、代わりの人は募集すればすぐ見つかるだろうからいいけど、 ちょっと嫌だからってすぐに辞めてちゃだめよ!次は頑張ってね。」とおかみさんは言った。やっぱり、人間的に尊敬できる人だった。ますます自分が情けなく思えた。

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